芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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COLUMNコラム

何故イタリア料理?何故ナポリ?

 皆様ご存知の通り、僕はナポリをこよなく愛しています。
一番近い感覚は、熱烈な阪神ファン。勝っても負けても(うおー、うおー、うおうおー、はーんしーんタイガースー!フレッ、フレ、フレ、フレー!!!)

一体、今まで何回聞かれた事でしょう?なんでナポリなん?
日本だけではありません。イタリアを色々旅してまわっている時も、行く先々で仲良くなった人たちに、ナポリでコックをしてると言っても何でナポリなん?

ローマより北のイタリア人は、ナポリを良く思っていない人が結構います。
先入観以外の何物でもありません。
もっと言えば、ミラノを中心とした大都会の若者で、ナポリや南イタリアを馬鹿にする人のお爺さんは、案外ナポリ人だったりカラブリア出身だったり。
アイデンティティーも誇りも、あったもんじゃありません。

確かに、ナポリには沢山の問題がありますし、ネガティブな面もあります。
しかしそれを上回る魅力があります。
この魅力は、ナポリに行く前から知っていた訳ではありません。

むしろ、泣きたい位嫌な思いをしたり、思いっきり腹が立ったり、裏切られたり、ドロボーに入られたり、ゲイに追いかけられたりしながら、気付けば僕もナポリの一員だったとある日実感しました。

ナポリは、ナポリを愛する人を倍返しで愛してくれる街です。
ナポリで快適に、楽しく過ごすにはナポリ人にならなくてはいけません。
肌の色や、国籍ではありません。
小さい声でも、心の中でも良いから、song' e' Napule 俺はナポリ生まれとつぶやいた瞬間、全てが輝いて見えます。

そして、ナポリの最大の魅力は人々です。ナポリ人。はまると抜けられません。

今でもはっきり覚えています。ナポリでの生活1日目。

ナポリ中央駅について、下宿までタクシーに乗りました。
いきなり洗礼を受けました。
普通、タクシーって後部座席に座りますよね?
当然後ろに乗ろうとしたら、一人だったら前に乗りな!と気さくなお兄ちゃん。
今日は暑いなーと、素晴らしい笑顔で話しかけられ、飲みかけの缶のコカコーラを差し出されました。ちょっと飲むかって!?
4秒位の間で死ぬほど色んな事を考えました。
・病気は持っていないか。
・その前に、これは社交辞令でホンマに飲んだら失礼なのでは?
・いやいや、こんな親切な人に俺はなんて失礼な事考えてんねん!
・でも、睡眠薬とか入ってて気が付いたら全部取られる可能性もゼロじゃない。
・そうなったら、ここは外国。全部自己責任や!
・でも初日からこんなに疑ってかかって、友達できるんやろか?
・大体こいつゲイちゃうか?(完全に妄想が暴走してます)
・アカン、なんて失礼な事を。やっぱり一口だけ飲んでみようか?運だめし!
・いやいや、どう考えても普通ちゃうで!飲みさしのコーラやで。しかもぬるそう。
・ここは男らしく断ろう。なんて断る?
・コーラ嫌いやねん。
・別に否定せんでもええがな。
・ありがとう、でも今のど乾いてないねん。
・これや!大人なノーサンキュウ!

ah,
no grazie, non ho se....
結構です、有難う。今のど乾いて。。。
位なとこで、タクシーのお兄ちゃん一気に飲み干しました。
少なくとも睡眠薬は入っていなかったようです。

あっという間に下宿先に着き、タクシーの支払いをし下宿先のピンポンを押しました。
なかなか出てきません。
・僕が東洋人なの見て、部屋貸すの嫌になったんちゃうか?(完全に被害妄想)
・もしくは怪しい物売りと思われてるとか?
・ひょっとして僕が今日到着すんの忘れてるんちゃうか?
・そもそも下宿の手続き上手い事出来てなかったとか?
・ここはホンマに僕がお願いした住所なのか?
・。。。。
尾崎豊の歌みたいに自問自答する事、小1時間。
小心者故、1時間でピンポン3回くらいかな、押したの。

当時23才の僕の人生経験すべてを振り返った上での結論として、不在。
何回か心が折れそうになって、日本帰ろうかなと思った第一回目。

仕方ない。今日はホテルに泊まろうと決意。幸い下宿先の真横がホテルでしたのでその日はそこに泊まりました。

実際、明日また下宿先行ってみて誰もおらんかったらどうしよう?家賃も数カ月前払してるのに。

外国の一人ぼっちの寂しさをいきなり感じまくった夜でした。

・翌日、午前10時。
・一晩じゅう考えて考え抜いた訪問時間。
・朝早すぎず、かといってこれ以上遅いと昼食の準備なんかで忙しくなるかもしれない。
・もし僕が大家だったら、何時に来て欲しいか。
・まずは、相手の立場になって良く考えました。
・しかし。。。
・もし僕が大家だったら、到着の日に不在なんてマネはしない。
・僕を悲しませるような事はしない。
・僕を一人にはしない。

・僕は、僕が大好きだ。
・こんな僕をきっと大家さんも気に入ってくれる。
・さあ、勇気をだしてピンポン!って。

家賃払って住むのに、いつの間にか自分で里親の所に来た養子みないな気分になっていました。
アカン、アカン!ホテル一泊分損してるのはこっちの方や。最初が肝心。ガツンとかましてやる!
家賃も1日分かえせよって言ってやる!!!

ふてぶてしく、右手の中指でピンポンを押してやりましたよ。
ワイルドでしょ?

するとインターフォンから≪si? chi e'??≫はい?どなた?と返事が!!!!

会いたかった~会いたかった~イエイ!って歌は未だ存在していませんでしたが、嬉しいような、ホッとしたような、でも何で昨日おらんかってんというのが入り混じり、普通に下宿をお願いしていた日本から来たkazuyoshi sugiharaです。
と答えると(まだ、インターフォン越しです)
・Dove sei stato ieri?!"!!(昨日どこ行ってたんや!)
・Ti ho aspettato fino a notte!!!(夜遅くまでずっと待ってたんやぞ!!!)

なんか。。。怒ってはる?
ダメな日本人。何故か謝ってしまいました。

まあ、取りあえず上がって来いとのこと。
6階なのでエレベーターに乗ろうとしたら動かない。
エレベーターの中でごそごそしていると、6階から大家がなんか叫んでます。
多分壊れているから、階段で来いって言ってるんや。
重たいスーツケース抱えて6階まで上がると、
mamma mia,
sei salito a piedi??
えー、階段で歩いて来たんかいなー??
と又怒っています。
エレベータ―が動かなかったと伝えたら、このエレベーターは有料やから乗るだけ乗ってじっとしてたらこっちから呼び出してタダで上がれるのに―!とちょっとご立腹の様子。
知らんがな。

なんか、1泊分の家賃返せよと言えない空気のまま、なんか飲むかと聞かれ、全く遠慮なくヴィーノ下さいと言ってやりました。
全くリアクションもないまま、赤ワインを一本明けてくました。
お、ラクリマクリスティ―ロッソ!流石ナポリ!
一口頂くと、ぬるっ!マズッ!
何がさすがなんだか。。。
後で近所のスーパーで同じもの見かけましたが、日本円で300円しない位でした。
コーラとほぼ同じ値段。。。

無理やり3杯くらい流し込んで、反撃開始です。

僕  > 昨日のうちにここに来て、100回位ピンポン押したけど誰も出なかった!!(昔から大げさ野郎と言われてましたが、役に立ちました)
大家 > え!何時くらい?
僕  > 夕方の3時過ぎくらいかな?
大家 > その時間は、毎日必ず昼寝やわ。
僕 > 。。。
大家 > ところで中央駅からここまで何で来たん?
僕 > 大荷物やからタクシーで来ました。
大家 > えーマジ?なんぼ払った?
僕> 日本円で3000円くらいかなー
大家 > マンマミーア。お前もぼったくられてる。普通なら800円までや。ほんまイタリアのタクシーはアカンわ。
僕>。。。あのお兄ちゃん。。。せめてコーラ飲んどいたら良かった。

大丈夫かな。僕。  

続く

最近、僕の周りがこぞってイタリアに行っています。ルーポの森さん、アンティカ オステリア トトの本田さん、シルビオ。。えーなー!

春のこの時期思いっきりアーティチョークが食べれます。

ナポリは夏も良いです。
とある夏の思い出のお裾分けでもどうぞ。

 

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ここで働いていました。TORRE DEL SARACINO
サラセン人の塔という意味です。
 
海まで15メートルくらいですかね。
僕が働いていた時は、完全に魚介専門店でした。
生ハムすらなかった。
 
毎朝出勤すつと、まず海水を海に汲みに行く事から始めます。
 
ちなみに今ではイタリア全土で5本の指に入る名店です。
僕にとっては1番ですが。

 

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町の高台から、海を見るとこんな感じ。
真っ青でしょ!
 
働いている時は、仕事がハードすぎて景色どころじゃなかったけど、改めて良いとこやなーと感動します。

 

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で、この真っ青な海で海水浴。一緒に写ってるのは、シェフのジェンナーロと元ジラソーレマネージャーのマウリッツィオ。
海の中で、熱く料理談義。

 

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イタリアの夏のバカンスは、昼間は延々海水浴と日光浴。ディナーを食べてディスコ。
老若男女みんなです。
 
こんな時間まで延々海。
しかし綺麗な夕日。
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ちょっと寂しくなる時間。
童心にすっかり帰ります。
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綺麗な夕日を見ながら、ピッツァの差し入れを食べてます。
ちなみにこのデッキから直接海に入れるので、砂で汚れず快適です。
 
何故か革靴を履いていますが、決して石田純一のマネではございません。
このまま、さっと着替えてジェンナーロのとこのディナーです。これ、レストランのすぐ前なんです。

 

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この世の楽園。
神に祝福された食卓。

 

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有名なべスヴィオ火山。
ソレント側からのヴュー。
 

 

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スパッカナポリ。
大好きな通り。
酸いも甘いも全部ここで覚えたかな。

 

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プレビシード広場。
無茶苦茶広いし、綺麗。特に夜。
ロマンチックにライトアップされます。
最初の下宿先はこのすぐ近くでした。
 
今でもナポリに行く時は泊めてもらっています。

 

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ここが噂の下宿先で、彼が親愛なる大家さんカルロ。はや、15年の付き合いになりますね。
ウチの娘を孫の様に可愛がってくれています。
 

 

ランチのシステムが変わりました

年始から予告しておりました通り、ランチのシステムを変えました。
 
僕的には、かなりしたかった事に近づけたんじゃないかと思っています。
 
2年前にランチのコンセプトを、トラットリアとしました。
かなり、漠然としたこのコンセプトをどう具体化して行くべきか?
正直未だ手探りの状態です。
 
日本におけるトラットリアのイメージは残念ながら歪んで来ています。
 
トラットリアと言うと、リーズナブルでお客さん本位に気軽に食べれるイタリア料理店というイメージが強いですが、
本来イタリア料理のカテゴリーでは、一番ディープで奥が深い、時にマニアックなカテゴリーであるはずなんです。
 
リストランテとレストランは言葉が似ているから同じ意味で、トラットリアはそれよりお手頃なカテゴリーと勘違いされてるかも知れませんが、
トラットリアに当たる適切な日本語が無いだけで、トラットリアも立派なレストランです。
 
逆にイタリアでリストランテと付く店に入っても、99%は泡アワな料理やごく少量で何品も出てくるという事はありません。
 
僕が思うにリストランテとトラットリアの一番の違いは、働いている人が制服を着てるかどーか、ナイフフォークの持つとこが、プラスチックか金属かですかね?
 
まあ、はっきり言って、僕にとってはあんまり大事ではありません。
 
昔は躍起になってガイドブック見ながら
点数や評価の高いレストランばかり食べに行っていました。
今もたまには行きますけど、あまり心躍る事は少ないかなー?
 
一方トラットリア、オステリアと呼ばれるカテゴリーは、実は時々目が出るほど高級店な事もありますが、基本的に地元のイタリア人がガイドブックなんぞ見ずに行きます。
残念ながら、古き良きイタリアでは、初めて入った地元のトラットリアで最高の食事ができる確率はあまり高くないです。
 
イタリアにはラッコマンダツィオーネというシステムがあります。
簡単に説明すると、イタリア人は基本的に、家族、親戚、親友、友達、知り合い、近所の人、知らない人、嫌いな人の順でどんな所でも区別します。
評判のレストランに行きたいけど、その店に知り合いが全くいない。このまま行ってもごく平均的なもてなししか受けられません。
そこでラッコマンダツィオーネの登場です。たまたま友人がそのレストランのオーナーの友達だとすると、その友人に予約を頼んだり、そこまでしなくても店に着いてすぐオーナーの所に挨拶に行って、自分は貴方の友達の誰々と仲良くて彼に勧められてきましたと挨拶します。
 
ホンマにゴッドファーザーの世界です。この一言で肉の硬い部分が出てくる事はありません。
就職なんか殆どコネと縁故で決まりますからね。
 
もし、全くコネが無く、でも地元民が集まるトラットリアで少しでも良い扱いを受けるにはどうするか?
まずケチらない。
嫌いな食材じゃない限りお薦めに従う。
料理、サーヴィスを褒めちぎる。
 
変わったとこでしょ?
理解できない方も多いと思います。
イタリアはお客さんも強いですが、基本、店はもっと強いです。
でも、僕も含めイタリアに心を奪われている人たちは、このハードルを越えた人たちです。
気が付けば、その店のシェフの家に夕食に招待されている。
そんな国なんです。
これを的確に表す格言が、tratta bene chi non paga
お金払わない人を一番もてなすように。
 
ジラソーレにお越し頂くのに、ラッコマンダツィオーネは全く必要ありません。普通にご予約頂ければ十分です。
その際、食べれない物や、苦手な食材、逆にお料理のリクエストなんかもあれば是非、ご予約時にお申し付けください。
皆様昔からのお客様だと思い、出来る限りの事を致します。(当日のお電話ですと、仕入れ、仕込みが終わっておりますので、ご要望が複雑な場合は前日までにご相談下さい。)
 
新しいランチの目玉は3800円のコースです。
3800円でイタリアにお連れいたします。をテーマにちょっとした食の旅のご提案です。
 
僕に店舗展開する甲斐性はありませんが、これで昼と夜2軒の店ができる気分です。
様子を見ながら更にエンジンの回転数を上げていきます。
よろしくお願いしますね!
 
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昼にやりたいのって、こんなんとか

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こんなん。
 
えー、こんなんイタリアン違う―という方もいるでしょう。
これはイタリアンではありません。
イタリア料理です。
 
pasta e patate con la provola
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店内は自慢のヴィエトリの皿を散りばめて、皆様をお待ちしています。

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カウンターだって同じように。
 
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3800円のコースは内容、品数共にお値段以上に充実させています。

その分、お客様の方でお取り分けをお願いしてます。
ヴィエトリのお皿をそのまま前菜の取り皿としてお使い頂きます。
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イタリア産エンドウ豆とパスタの煮込み ナポリの春の風物詩
 
豆嫌いな方、直して差し上げます。
これダメなら、醤油も味噌もダメでしょ。
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これはペスカトーラ。偉大なるクラッシック。
後は、この時期イカスミとか、カルボナーラとかプッタネスカとか順次して行きます。
大体パスタ系2種類出します。
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地鶏のロースト 写真で2人前。
後、子羊使ったり極み豚塊で焼いたり、ミックスグリルしたり色々やって行きます。
お楽しみに!
 
2800円
4800円
のコースもそれぞれ掘り下げて行きます。TPOに合わせてお使い下さいませ。

春が来たー!

未だ寒い日が続いていますが、春は確実に来ています。

10代、20代の時って、季節の移り変わりに対してもっと鈍感でした。
着たい服の為には寒いのを我慢したり、真夏の暑い日でも素麺なんか晩飯になるかーいと思っていましたし(それは今でも思っていますが)。

しかし、20年もコックをやっていると、まあまあ敏感になります。
まず、毎日パンを焼いていると、湿度、温度ともに顕著に生地に現れます。特に湿度ですね。
季節の移り変わりごとに、数日パンが上手い事焼けない日がありました。
ココ2-3年は完全にコツをつかみ、大体どんなコンディションでもなんとか良い結果に持っていけています。

あと、同じ生産者から食材を買い続けるのも、季節の移り変わりを敏感に感じる訓練になりました。
先ず野菜。
冬の青菜系、キャベツ等秋くらいから使い出して急に味が変わる時があります。本格的に寒くなった時です。
思いっきり冷気に触れることで、野菜が自ら凍らないように糖度を上げます。
それと同時に、ゆで時間、加熱時間がぐっと短くなります。
これは、日本の野菜、イタリアの野菜という問題でなく環境の問題です。

イタリアでもちょっと時期が外れてるのは、全然火が入りません。
また、イタリア野菜は日本の野菜より力強く、野性的で硬いからガンガン茹でなダメというのも間違いです。

小松菜を例に例えると、茎が太いのと細いの、太い方が茹でるのに時間が掛りそうですが、実は逆で細い方が繊維質で時間が掛ります。
早く火が入るから良いという訳では無いですが、ゆで時間が短いという事は加熱で壊れるビタミンの量も、水溶性ビタミンの流出も最小に抑えれれますし、味的にも苦みと甘みと香りのバランスもTHE小松菜って感じです。

魚介類も顕著に季節を教えてくれます。特に冬から春への移り変わりは、市場も急に楽しくなります。
魚は、冬に子を持つもの以外、冬に脂が乗るものが多いです。しかし、海が時化てる事が多いのと、日本海側は蟹ばっかり取りに行くようになって、案外兵庫県の魚の選択肢は減っちゃいます。
余談ですが、このイカナゴの時期もイカナゴ漁が盛んになる分、漁師の数は一緒なので他の魚はちょっと減ります。

あと、タコ。ジラソーレは年間800匹以上のタコを使います。1000を超える年もあるかも知れません。
このペースで10年間、淡路、明石産のタコを使い続けて、タコの生命サイクルを完全に掴みました。
自慢じゃないですが、生の状態で柔らかくなるタコ、あんまりならないタコ、最高に旨い奴が分かるようになりました。
残念な事に、生きてる段階では見抜けにくい!〆た後100%分かります。

仕入れの段階で100%の選別はできませんが、タコごとの個体の状態を把握できるので料理法を変えます。
そんな工夫の中、基本的に真冬はあまりタコはよろしくありません。
タコには脂が乗りません。
どんな良いタコを茹でても、表面に脂は浮きません。
でも、タコにも旬があります。
ジラソーレには、何らかのタコ料理があります。
タコが抜群の時は、茹でたてをブツ切りにしてレモンとオリーヴオイルで召し上がって頂きます。
初めて召し上がる方は、ほぼ100%、なんじゃこりゃーと松田勇作並みのリアクションをして下さいます。

とにかくタコは寒いの苦手みたいですね。活性が落ちると言いますか。
昔、大寒波で瀬戸内のタコは一回絶滅しかけたらしいです。
アフリカからタコを大量に輸入して、危機を乗り越えたとか。食用じゃないですよ。放流したんです。
結構こんな話あります。
ヨーロッパのブドウの木の下半身はアメリカのブドウの木が殆どとか、世界中の牡蠣かアサリか忘れましたが元の稚貝は日本産でそっから増えたとか。

何度か色んな危機を世界規模で知恵を振り絞って解決してきています。
原発問題も世界規模でまさに今、話し合うべきなんじゃないでしょうか。
この夏までに、原発が1基でも再開すると又原発頼りになるでしょうね。

綺麗に脱線しました。
とにかくジラソーレ流 春の定義
アサリなどの2枚貝の実が充実し出し、タコが良くなりかけると寒さのピークは終わる。
イカナゴが始まると春。
アスパラは真っ盛り。
そら豆は初夏。
僕の人生には春は来たのだろうか?

 

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イカナゴです。瀬戸内以外あまりやいやい言わないみたいです。
この時期この辺のスーパーは、氷砂糖、保存容器と一緒にイカナゴを売ります。
各家庭で釘煮を作ります。
釘煮は甘いので僕はあまり食べません。

 

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釘煮は食べませんが、これは毎日食べます。
イカナゴで作ったロサマリーナ。
ロサマリーナはカラブリア州の特産物で、シラスの唐辛子漬です。
簡単にいうと、豆板醤にシラスが使ってる感じ。
 
当店では、そこまで唐辛子を効かせません。
保存が目的で無いので。

 

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イカナゴのロサマリーナのブルスケッタ。
こんな簡単な物ですが、毎年沢山のお電話を頂きます。
イカナゴはじまったー???って。
 
皆さん始まっていますよー!
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イカナゴと言えば釘煮ですが、鮮度のいい物は釜あげにもします。
そんな乗りで作った訳ではありませんが、スズキのアクアパッツァ イカナゴと菜の花添え。
 
スズキの旬は夏と言われています。
刺身の話です。
夏のスズキは加熱できません。
実が硬すぎます。
 
加熱するなら冬から今くらいがギリギリ。
こいつら、イカナゴを食い倒して、一気に実が充実します。
この時期のスズキは活けで、一晩活け越していないとイカナゴのにおいがします。
 
てなことで、ジビエって食べてるエサでソースを考えたりするように、魚も良くそうします。
そして、びっくりするくらい合います。
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ヨーロッパで良く食べるヒメジ。徳島のです。
米と卵、菜の花オリーヴを詰めて香草パン粉でオーヴン焼。
イカナゴのフリットをたっぷり付けて。

 

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グリンピース嫌いな方。
これ食べてみて下さい。
これ食べて嫌いやったら、僕が貴方は本当にグリンピースが嫌いだと認定書出します。
これが不味いはずがない。
 
イタリア産エンドウ豆とパスタの煮込み ナポリの春の風物詩

 

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春と言えばもう一つ、子羊。
そして春ならではの料理法 カチョエウオーヴァ。チーズと卵って意味です。
 
この子羊の煮込みにチーズととき卵を入れて卵とじみたいにします。
 
これよりナポリ人にとって春っぽい物は無いでしょう。

 

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今年もします。子羊の頭のオーヴン焼。
数に限りがありますので、ご希望に方は事前にお問い合わせください。
本格的にするのはもう少し先かな。

 

豚祭りの真実 NO,2 R15(多少ショッキングな内容が含まれております。自己責任でご覧下さい)

 今回もちょっときわどい写真が多いですが、ホルモン系嫌いな方はさっと流して下さい。

イタリアに住んでいる時、色んな国の若者とルームシェアしました。
休みの日に彼らに食事を振舞う事も多かったのですが、まーお国柄と申しますか、国それぞれで好きな物、嫌いな物分かれます。

1番無難なのはトマトのパスタ。これを食べれない国は、見た事ないです。
しかし、意外に魚介類は殆どの国の人はなんか食べれないですね。

海の無い国の人とか、あってもすごい内陸とか、びっくりしますよ。アサリのスパゲッティして、半泣きになった女の子もいました。
アサリが食べれる訳ない(食べ物のはずがない)と部屋に帰って行きました。なんか悪いとこした気分。
石ころにでも見えるのでしょうか?

海老系はもっとダメ。むき身ならまだしも原型は、見るのも無理。モンスターやと叫んでました。
そう思うと、イタリア、フランス、スペイン、ポルトガルあたりは日本に料理が浸透するはずです。これらの国の方は基本的に魚介大丈夫ですから。

意外なのがドイツ人。先進国だから結構なんでも食べてると思ってたら、魚介ダメな方結構いました。

逆にとあるドイツ人の男の子の家に夕食に招待され、10人位で押し掛けた事がありますが、寸胴山もりのジャガイモのピュレと、一人頭4-5枚のレバーステーキ。以上。
僕はあほみたいに食べましたが、2人くらい全く手を付けず、7割位の人は1切れくらい。ノルマ達成したのは僕と、作った本人ともう一人位。
作った人は傷ついてました。
分かるよ、、、その気持ち。
はっきり言って味は無茶苦茶美味しかったです。
僕の人生でレバー料理で1番かも知れません。

と、こんな感じで蓼食う虫も好き好き。
どうしようもありません。

僕は料理人としてこれらの食材にも全力で取り組みたいと思います。
お好きな方は是非。

 

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ナポリはあまりホルモン系を食べる地域ではありません。
食べますが、北イタリアの方が良く食べるんじゃないでしょうか。
 
その中で最も良く食べる内臓が、トリッパと豚レバーです。
トリッパはトマト煮の他、サラダで食べます。夏ごろ又ご案内します。
 
豚レバーは、ローリエと豚の網脂で包んで焼ます。
誓います。まったく嫌な香り、味ともありません。
非常に美味しいです。
これはナポリでも非常に良く食べます。

 

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メインでご用意しております、極み豚の盛り合わせ。
肩ロースの炭火焼き
上記のレバーの鉄板焼
モッツァレラチーズ入りサルシッチャ
チェルヴェッラティーネというナポリのサルシッチャ
カツレツ
 
これにフリアリエッリを添えてます。最強コンビ。
 

 

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豚の小腸です。

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ステンテニエッロ
詰め物をした豚小腸のオーヴン焼です。
サラミとチーズに腸を巻きつけるのですが、これがメンドクサイ。
イラチなんで爪楊枝刺しまくります。
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出来あがりです。
1時間くらい焼ます。
ジャンクさとエレガンスが入り混じったカオスです。
これははまる方続出。
僕も大好きです。

 

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今年はしませんでしたがサングイナッチョ。
豚の血のソーセージ。
カラスミを自家製してる時とサングイナッチョ作ってる時は、先人の知恵に言葉を失います。

 

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番外編
豚はもう十分でしょう?
もう一つ冬の定番のスッポンのご紹介。
 
僕は日本的な食材を殆ど使いません。
鮎とかハモとか(ハモはたまに使いますがハモらしく使いません)
竹の子とか。
スッポンも全く興味がありませんでした。
 
数年前、師匠のジェンナーロが来日した時、東京のホテル西洋銀座の吉兆さんで一緒に食事をしたのですが、こちらのお店は和食とワインがテーマでした。
その日はお世話になっている、とあるワインのインポーターの方にお連れ頂いたのですが、ジェンナーロも一緒という事でナポリのワインばっかりご用意いただきました。
 
全てのお料理が素晴らしかったのですが、中でもスッポンが素晴らしかった。お料理もさることながら、その時飲んだフィアーノと完璧なマリアージュ。
油脂分の殆どない料理でこんなにワインにあうのかとびっくりし、又これほどこのワインに完璧に合うナポリ料理なんやろう?と考え込みました。
 

 

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スッポンとカリフラワーのポレンタ スッポンのコンソメと共に
 
この時のフィアーノ自体、あまり古典的なフィアーノではありません。どちらかと言うとモダンな造り手です。
インターナショナルテイストと申しますか。
そう思えば、いわゆるインターナショナルテイストのワインは、元々の伝統料理よりレストラン料理の方が合います。
 
どういう事かと申しますと、ある程度古典的な造り方のワインは、そのワイン特有の個性、味わいがあります。
それは時折、酸味や渋みといったまろやかさの逆の成分である事もありますが、だからこそ合う料理があります。
双方を補うという考え方ですね。
油脂分に酸味や渋みをぶつける感じです。コントラストで合わせます。
 
最近のワインはバランスが非常に良く、料理もバランスの良いものが合います。
この場合料理とワインは調和で合わせます。
同じくらいの味のインパクト、同じくらいの構成といった感じですね。
 
これはスッポンから始まった料理で無く、このフィアーノに捧げる料理。
このワイナリーのオーナーは写真家でもあり、世界中をカメラ持って飛びまわっていた方。
自分のワインが、日本でスッポンと合わせられてると聞いても喜んでくれそう。
 
食材はスッポンですが、調理過程、調味料は全てイタリアの物です。もちろん日本酒も使っておりません。
是非お試しください。(もうすぐ終了ですが)
 

 

豚祭りの真実  R18(ショッキングな内容が含まれております。自己責任でご覧下さい)

蓼食う虫も好き好き。
fatti cazzi tuoi.

まあ、なんとなく同じ意味の言葉ですかね。
好みは人それぞれ。放って置きなさいってとこですか。

睡眠
食事
異性

人間の3大欲求の内、睡眠の好みは、96%くらいの方が同じ嗜好をお持ちではないでしょうか?
細かくいうと、コタツ派とか、片足のつま先だけ布団からチョロっと出すとか、
お気に入りの枕の角を吸いながら寝るとか、
案外聞いてみると皆さん、意外な癖はお持ちですが、へーそうなんや位で済みます。
フランスベッドより針のムシロ、西川の布団よりブルーシートというのは聞きません。

しかし、食と異性(時に同性)に関しての嗜好は時にとてつもなく議論になります。
信じられない!そんなん食べんの?
ええーこの方があの人と???

fatti cazzi tuoi.
蓼食う虫も好き好き。

話を食に絞りましょう。今回は少々お下劣になっても良いように防衛線を引いてみましたが、
ちょっとビビってきました。
呑みながら書くのは控えます。

ジビエは好きな方、苦手な方きっぱり分かれます。
しかしそれ以上に分かれるのが内臓系でしょう。

ホルモン系好きな方って焼肉屋いってもホルモン系ばっかりたべはるし、苦手な方は良く食べて牛タンくらいでしょ?

また、全内臓、脳ミソ込でなんでもOKなハンニバルな方から、
部分的にOK, 部分的にNGって方も多いですね。
何を隠そう僕もロニョン(腎臓)だけはダメです。
昔は食べれていました。
ある日、ある店で食べたロニョンがトラウマになり今は触るのも嫌です。

あと、肝刺しも好きではありません。
何言うてけつかんどんねん、お前なんかコックやめーと罵声が飛んでくるかも知れませんが、生は無理です。

ホルモンが大阪弁のほるもん(捨てるもの)から来ているかは定かではありませんが、いずれにせよ正肉よりは市場価値は低いです。
しかしながら、内臓類は適切な処理と調理をすると、においが香りに変わり
完璧に調理すると恍惚とする味へと変身します。

それでは快楽の画像をお楽しみ下さい。

 

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先ずは出来上がりの、見た目がまだましな物から。
zuppa di soffritto di maiale
ナポリ風ミックスホルモンの煮込みです。
 
これは、惣菜屋とか食糧品屋では売って無く、肉屋さんで売っています。
あまり家でも作らないです。
 
豚1頭を仕入れた肉屋が、単体で売れないのもを集め煮込んだのが始まりです。

 

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単体で売れない物とは、脾臓、肺、食道、喉軟骨等です。
レバー、ハツ等はそれら単体で商品価値がありますが、この辺は単体では買い手が付きません。
そこで肉屋がトマトと唐辛子でごった煮にして売っている訳です。
 
医学書か料理書でなかったら、只のホラーですね。

 

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こちら喉軟骨と気管。
このミックスホルモンの中ではスターです。
取り合いになります。
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脾臓。
脾臓ってなんの働きをしてるか知っています?
見た目の色合いの割にそんなに味に個性は無いです。
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はい、肺です。
ある意味こいつをどないしたら売れるやろうという逆算から始まったでしょう。
肺単体の料理は僕は、見た事、聞いたこと無いです。

 

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先ずこないしてフライパンで炒めます。
そらもう甘―――い香りですよ。
これは作ってすぐより数日寝かした方が旨いです。

 

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これが不思議な事に美味しくなるんだなー。
香りはあるけど臭くないです。
たくあんの方がよっぽど臭い。
もっというと豚骨ラーメンの香りよりもずっと上品です。
おでんのスジ位と言えば言いすぎですか?
 
 
内臓料理の決め手は鮮度です。
当店の内臓の鮮度は抜群です。
甘い香りすらしますから。
 
この料理は元々ズッパです。
トーストしたパンにぶっかけて食べますがこの様にパスタソースにも良くします。
 
この写真はスパゲッティですが、只今ディナーではミスタ ルンガという変わったの使ってます。良く合いますよ!!!

 

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炭水化物と合うのね。
と言う事でパンツァロッティにしてみました。
イーストの入っていない揚げピザみたいなもんです。
激ウマ。
リコッタとスカモルツァも入れてますんで、更に食べやすいです。

 

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