COLUMNコラム
春から初夏へ

今年は沢山取れました。シルヴィオのピゼッリ。
いわゆるグリーンピースですが、嫌いな方結構いらっしゃいますよね。
外食でお金払ってわざわざ嫌いな物食べなくていいと思いますが、逆にプロの技術で調理されたもので好きになる事もあるのではないでしょうか。
アレルギーやお体に触るものはダメですが、あまり好きじゃない位なら試してみて頂きたい。(死ぬほど嫌いな方は結構です)
肉、魚、野菜オールジャンルの中でも、最も得意な食材の一つです。
しかもこのイタリア種、日本のエンドウ豆の様に粉質感がありません。
チュルンとした食感で、甘さもくどくありません。

そして極め付け。
イタリア種のそら豆!!!!!!
そら豆の旬は短いです。収穫期間1カ月位ですかね。
ずーと使いたいけど、また来年の楽しみ。
イタリア人のそら豆好きは、多分こんな愛で方をしてると思います。
イタリアでは、そら豆を生で食べる習慣があります。
特にローマは有名ですね。ペコリーノと一緒に食べます。
こんな情報はインターネットの普及でもうずいぶん前からありました。
しかし、信じられない位間違ったとらえ方をされています。
まず、日本のそら豆を同じように生で食べても、全く美味しくありません。
むしろ、食べれないと断言しても良いと思います。
しかも、それを日本で流通しているペコリーノ ロマーノと合わせる。
ちょっとした罰ゲームです。
硬く、青臭く、粉っぽいそら豆と、ちょー塩辛い羊のチーズを一緒に食べる。
そして、この経験で、生のそら豆を食べるイタリアの習慣を否定する、もしくはあまりのイタリア愛ゆえに、旨いという。
悲しくなります。
イタリアのそら豆は、全く粉っ気がありません。粒も小さく日本の半分以下。
イタリアでは、さやはもちろん食べませんが、中の皮は家庭では、むかない事が多いです。
めんどくさい3割、美味しいから7割位の理由です。
結構違うんです。そら豆自体が。。。
そしてペコリーノ。ローマのペコリーノと一般的なペコリーノロマーノは別物です。
一般的なペコリーノロマーノはローマ近郊とサルデーニア産が多いです。そしてこのロマーノはローマのではなく古代ローマの方です。
イタリアでは、ペコリーノよりロマーノという名称で呼ばれる事が多い気がします。
これは白い皮の物です。
ローマのペコリーノは皮がクロです。
生のそら豆と合わすのは、5月1日。若く柔らかいそら豆と、まだちょっと熟成の若い、ちょっとすりおろしにくい位のペコリーノの新物、これを一緒に食べるのが元々らしいです。
じゃあ、白いロマーノは、質が低いのかというとそうではありません。使い道が違うのです。
白い方は塩気も風味も強いので、パスタや肉料理の詰め物等にも使われます。
長時間加熱しても風味が残りますし。
もう一方は、日本での入手が難しいという値打はありますが、そのまま食べても美味しいし、もちろん調理にも使います。
ちょっと、関西の薄口醤油、濃い口醤油に似てますかね。
薄口と言いながら、塩分は薄口の方が濃いですね。
主に煮たき物に使います。
間違っても、刺身には使いませんし、焼魚等にもかけません。からいです。
外国人が、生のアマダイを刺身にして薄口醤油付けて食べて、SASHIMIは不味いと言われたら、気が悪いというより滑稽ですよね。


んー!たまらん!!

何故イタリア料理?何故ナポリ?
皆様ご存知の通り、僕はナポリをこよなく愛しています。
一番近い感覚は、熱烈な阪神ファン。勝っても負けても(うおー、うおー、うおうおー、はーんしーんタイガースー!フレッ、フレ、フレ、フレー!!!)
一体、今まで何回聞かれた事でしょう?なんでナポリなん?
日本だけではありません。イタリアを色々旅してまわっている時も、行く先々で仲良くなった人たちに、ナポリでコックをしてると言っても何でナポリなん?
ローマより北のイタリア人は、ナポリを良く思っていない人が結構います。
先入観以外の何物でもありません。
もっと言えば、ミラノを中心とした大都会の若者で、ナポリや南イタリアを馬鹿にする人のお爺さんは、案外ナポリ人だったりカラブリア出身だったり。
アイデンティティーも誇りも、あったもんじゃありません。
確かに、ナポリには沢山の問題がありますし、ネガティブな面もあります。
しかしそれを上回る魅力があります。
この魅力は、ナポリに行く前から知っていた訳ではありません。
むしろ、泣きたい位嫌な思いをしたり、思いっきり腹が立ったり、裏切られたり、ドロボーに入られたり、ゲイに追いかけられたりしながら、気付けば僕もナポリの一員だったとある日実感しました。
ナポリは、ナポリを愛する人を倍返しで愛してくれる街です。
ナポリで快適に、楽しく過ごすにはナポリ人にならなくてはいけません。
肌の色や、国籍ではありません。
小さい声でも、心の中でも良いから、song' e' Napule 俺はナポリ生まれとつぶやいた瞬間、全てが輝いて見えます。
そして、ナポリの最大の魅力は人々です。ナポリ人。はまると抜けられません。
今でもはっきり覚えています。ナポリでの生活1日目。
ナポリ中央駅について、下宿までタクシーに乗りました。
いきなり洗礼を受けました。
普通、タクシーって後部座席に座りますよね?
当然後ろに乗ろうとしたら、一人だったら前に乗りな!と気さくなお兄ちゃん。
今日は暑いなーと、素晴らしい笑顔で話しかけられ、飲みかけの缶のコカコーラを差し出されました。ちょっと飲むかって!?
4秒位の間で死ぬほど色んな事を考えました。
・病気は持っていないか。
・その前に、これは社交辞令でホンマに飲んだら失礼なのでは?
・いやいや、こんな親切な人に俺はなんて失礼な事考えてんねん!
・でも、睡眠薬とか入ってて気が付いたら全部取られる可能性もゼロじゃない。
・そうなったら、ここは外国。全部自己責任や!
・でも初日からこんなに疑ってかかって、友達できるんやろか?
・大体こいつゲイちゃうか?(完全に妄想が暴走してます)
・アカン、なんて失礼な事を。やっぱり一口だけ飲んでみようか?運だめし!
・いやいや、どう考えても普通ちゃうで!飲みさしのコーラやで。しかもぬるそう。
・ここは男らしく断ろう。なんて断る?
・コーラ嫌いやねん。
・別に否定せんでもええがな。
・ありがとう、でも今のど乾いてないねん。
・これや!大人なノーサンキュウ!
ah,
no grazie, non ho se....
結構です、有難う。今のど乾いて。。。
位なとこで、タクシーのお兄ちゃん一気に飲み干しました。
少なくとも睡眠薬は入っていなかったようです。
あっという間に下宿先に着き、タクシーの支払いをし下宿先のピンポンを押しました。
なかなか出てきません。
・僕が東洋人なの見て、部屋貸すの嫌になったんちゃうか?(完全に被害妄想)
・もしくは怪しい物売りと思われてるとか?
・ひょっとして僕が今日到着すんの忘れてるんちゃうか?
・そもそも下宿の手続き上手い事出来てなかったとか?
・ここはホンマに僕がお願いした住所なのか?
・。。。。
尾崎豊の歌みたいに自問自答する事、小1時間。
小心者故、1時間でピンポン3回くらいかな、押したの。
当時23才の僕の人生経験すべてを振り返った上での結論として、不在。
何回か心が折れそうになって、日本帰ろうかなと思った第一回目。
仕方ない。今日はホテルに泊まろうと決意。幸い下宿先の真横がホテルでしたのでその日はそこに泊まりました。
実際、明日また下宿先行ってみて誰もおらんかったらどうしよう?家賃も数カ月前払してるのに。
外国の一人ぼっちの寂しさをいきなり感じまくった夜でした。
・翌日、午前10時。
・一晩じゅう考えて考え抜いた訪問時間。
・朝早すぎず、かといってこれ以上遅いと昼食の準備なんかで忙しくなるかもしれない。
・もし僕が大家だったら、何時に来て欲しいか。
・まずは、相手の立場になって良く考えました。
・しかし。。。
・もし僕が大家だったら、到着の日に不在なんてマネはしない。
・僕を悲しませるような事はしない。
・僕を一人にはしない。
・僕は、僕が大好きだ。
・こんな僕をきっと大家さんも気に入ってくれる。
・さあ、勇気をだしてピンポン!って。
家賃払って住むのに、いつの間にか自分で里親の所に来た養子みないな気分になっていました。
アカン、アカン!ホテル一泊分損してるのはこっちの方や。最初が肝心。ガツンとかましてやる!
家賃も1日分かえせよって言ってやる!!!
ふてぶてしく、右手の中指でピンポンを押してやりましたよ。
ワイルドでしょ?
するとインターフォンから≪si? chi e'??≫はい?どなた?と返事が!!!!
会いたかった~会いたかった~イエイ!って歌は未だ存在していませんでしたが、嬉しいような、ホッとしたような、でも何で昨日おらんかってんというのが入り混じり、普通に下宿をお願いしていた日本から来たkazuyoshi sugiharaです。
と答えると(まだ、インターフォン越しです)
・Dove sei stato ieri?!"!!(昨日どこ行ってたんや!)
・Ti ho aspettato fino a notte!!!(夜遅くまでずっと待ってたんやぞ!!!)
なんか。。。怒ってはる?
ダメな日本人。何故か謝ってしまいました。
まあ、取りあえず上がって来いとのこと。
6階なのでエレベーターに乗ろうとしたら動かない。
エレベーターの中でごそごそしていると、6階から大家がなんか叫んでます。
多分壊れているから、階段で来いって言ってるんや。
重たいスーツケース抱えて6階まで上がると、
mamma mia,
sei salito a piedi??
えー、階段で歩いて来たんかいなー??
と又怒っています。
エレベータ―が動かなかったと伝えたら、このエレベーターは有料やから乗るだけ乗ってじっとしてたらこっちから呼び出してタダで上がれるのに―!とちょっとご立腹の様子。
知らんがな。
なんか、1泊分の家賃返せよと言えない空気のまま、なんか飲むかと聞かれ、全く遠慮なくヴィーノ下さいと言ってやりました。
全くリアクションもないまま、赤ワインを一本明けてくました。
お、ラクリマクリスティ―ロッソ!流石ナポリ!
一口頂くと、ぬるっ!マズッ!
何がさすがなんだか。。。
後で近所のスーパーで同じもの見かけましたが、日本円で300円しない位でした。
コーラとほぼ同じ値段。。。
無理やり3杯くらい流し込んで、反撃開始です。
僕 > 昨日のうちにここに来て、100回位ピンポン押したけど誰も出なかった!!(昔から大げさ野郎と言われてましたが、役に立ちました)
大家 > え!何時くらい?
僕 > 夕方の3時過ぎくらいかな?
大家 > その時間は、毎日必ず昼寝やわ。
僕 > 。。。
大家 > ところで中央駅からここまで何で来たん?
僕 > 大荷物やからタクシーで来ました。
大家 > えーマジ?なんぼ払った?
僕> 日本円で3000円くらいかなー
大家 > マンマミーア。お前もぼったくられてる。普通なら800円までや。ほんまイタリアのタクシーはアカンわ。
僕>。。。あのお兄ちゃん。。。せめてコーラ飲んどいたら良かった。
大丈夫かな。僕。
続く
最近、僕の周りがこぞってイタリアに行っています。ルーポの森さん、アンティカ オステリア トトの本田さん、シルビオ。。えーなー!
春のこの時期思いっきりアーティチョークが食べれます。
ナポリは夏も良いです。
とある夏の思い出のお裾分けでもどうぞ。
ランチのシステムが変わりました
春が来たー!
未だ寒い日が続いていますが、春は確実に来ています。
10代、20代の時って、季節の移り変わりに対してもっと鈍感でした。
着たい服の為には寒いのを我慢したり、真夏の暑い日でも素麺なんか晩飯になるかーいと思っていましたし(それは今でも思っていますが)。
しかし、20年もコックをやっていると、まあまあ敏感になります。
まず、毎日パンを焼いていると、湿度、温度ともに顕著に生地に現れます。特に湿度ですね。
季節の移り変わりごとに、数日パンが上手い事焼けない日がありました。
ココ2-3年は完全にコツをつかみ、大体どんなコンディションでもなんとか良い結果に持っていけています。
あと、同じ生産者から食材を買い続けるのも、季節の移り変わりを敏感に感じる訓練になりました。
先ず野菜。
冬の青菜系、キャベツ等秋くらいから使い出して急に味が変わる時があります。本格的に寒くなった時です。
思いっきり冷気に触れることで、野菜が自ら凍らないように糖度を上げます。
それと同時に、ゆで時間、加熱時間がぐっと短くなります。
これは、日本の野菜、イタリアの野菜という問題でなく環境の問題です。
イタリアでもちょっと時期が外れてるのは、全然火が入りません。
また、イタリア野菜は日本の野菜より力強く、野性的で硬いからガンガン茹でなダメというのも間違いです。
小松菜を例に例えると、茎が太いのと細いの、太い方が茹でるのに時間が掛りそうですが、実は逆で細い方が繊維質で時間が掛ります。
早く火が入るから良いという訳では無いですが、ゆで時間が短いという事は加熱で壊れるビタミンの量も、水溶性ビタミンの流出も最小に抑えれれますし、味的にも苦みと甘みと香りのバランスもTHE小松菜って感じです。
魚介類も顕著に季節を教えてくれます。特に冬から春への移り変わりは、市場も急に楽しくなります。
魚は、冬に子を持つもの以外、冬に脂が乗るものが多いです。しかし、海が時化てる事が多いのと、日本海側は蟹ばっかり取りに行くようになって、案外兵庫県の魚の選択肢は減っちゃいます。
余談ですが、このイカナゴの時期もイカナゴ漁が盛んになる分、漁師の数は一緒なので他の魚はちょっと減ります。
あと、タコ。ジラソーレは年間800匹以上のタコを使います。1000を超える年もあるかも知れません。
このペースで10年間、淡路、明石産のタコを使い続けて、タコの生命サイクルを完全に掴みました。
自慢じゃないですが、生の状態で柔らかくなるタコ、あんまりならないタコ、最高に旨い奴が分かるようになりました。
残念な事に、生きてる段階では見抜けにくい!〆た後100%分かります。
仕入れの段階で100%の選別はできませんが、タコごとの個体の状態を把握できるので料理法を変えます。
そんな工夫の中、基本的に真冬はあまりタコはよろしくありません。
タコには脂が乗りません。
どんな良いタコを茹でても、表面に脂は浮きません。
でも、タコにも旬があります。
ジラソーレには、何らかのタコ料理があります。
タコが抜群の時は、茹でたてをブツ切りにしてレモンとオリーヴオイルで召し上がって頂きます。
初めて召し上がる方は、ほぼ100%、なんじゃこりゃーと松田勇作並みのリアクションをして下さいます。
とにかくタコは寒いの苦手みたいですね。活性が落ちると言いますか。
昔、大寒波で瀬戸内のタコは一回絶滅しかけたらしいです。
アフリカからタコを大量に輸入して、危機を乗り越えたとか。食用じゃないですよ。放流したんです。
結構こんな話あります。
ヨーロッパのブドウの木の下半身はアメリカのブドウの木が殆どとか、世界中の牡蠣かアサリか忘れましたが元の稚貝は日本産でそっから増えたとか。
何度か色んな危機を世界規模で知恵を振り絞って解決してきています。
原発問題も世界規模でまさに今、話し合うべきなんじゃないでしょうか。
この夏までに、原発が1基でも再開すると又原発頼りになるでしょうね。
綺麗に脱線しました。
とにかくジラソーレ流 春の定義
アサリなどの2枚貝の実が充実し出し、タコが良くなりかけると寒さのピークは終わる。
イカナゴが始まると春。
アスパラは真っ盛り。
そら豆は初夏。
僕の人生には春は来たのだろうか?