COLUMNコラム
今年は更に魚介と向き合います。
テ個人的に好きな料理です。マグロのグリル。ホホ肉が入るとサイコーです。マグロのホホ肉食べた事あります?
名残のジビエ
男は背伸びをしがちです。
特に若いころ、技術や経験が浅ければ浅いほど背伸びしていました。
自分の事を思い出すと、恥ずかしくもなりますが
背伸びした分、本当に成長してやろうとギラギラもしておりました。
日本で西洋料理に関わっている者にとって、ジビエは背伸びの対象でしょう。トリュフもそうです。
10代後半に車や女性の話で、少しでも周りの一歩先を行きたかったように
憧れの対象でもあり、絶対物にしてやるという越えなければならないハードルでもあります。
背伸びをしている間は、自分だけのジビエやトリュフに対するアプローチや、未だ誰もしていない組み合わせ等を必死に考えたものです。
今振り返ると、稚拙なアイデアばっかりです。
でも試作もかなりしました。
そして色々気付きます。
定番は、やっぱり旨いなーと。
定番だから旨いのではありません。旨いから定番になれるのです。
サッポロ●番や
焼そばU●O
この恐ろしく流行り廃りのあるこのご時世に、究極のスタンダードとして君臨しています。
昔は、このスタンダードのカッコよさが分からなかった。
しかし今は、料理人ですが同時に経営者のはしくれ。
職人としても、経営者としても憧れてやまない存在になりました。
そして、ジビエに対するコンプレックスもいつの間にか消えていました。
入荷した食材を良く見る、匂いを嗅ぐ、少し食べてみる。
そこから、どうするか考えます。 むしろ食材が教えてくれます。
他のお肉みたいに、焼いたものになんか付け合わせ添えて、なんかのソースかけるという曖昧さがありません。
このジビエだけの出汁、このジビエだけの付け合わせ、このジビエだけのソースというのをジビエごとに作ります。
ジビエは手間がかかると言われる所以です。
去年は、例年に増してジビエに取り組みました。
雷鳥から始まり
山ウズラ
山鳩
キジ
本州鹿
エゾ鹿
イノシシ
青首鴨
と楽しみました。
やはり、大変だけど楽しいですね。
全て個性的で、その個性を余す事無く表現したい。
来年、又こんな事試してみよう等思いつつ、ジビエのメニューも減ってまいりました。
名残のジビエメニューをご紹介します。2月中には無くなると思います。
O'RRAU ナポリ風ラグー
O' RRAU
O'rrau ca me piace a me
m''o ffaceva suolo mamma'.
A che m'aggio spusato a te,
ne perlammo pe' ne parla'.
Io nun songo difficultuso;
ma luva'mmel' 'a miezo st'uso.
si, va bbuono:cumme vuo'tu.
Mo ce avessem' appicceca'?
Tu che dice?Chest'e' rrau?
E io m''o mmagno pe m''o mangia'...
M''a faie dicere na parola?
Chesta e' carne c''a pummarola.
Eduardo de Filippo
皆様、明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いします。
月に3回更新目標で、コラムを書いていこうと思っていますが、
毎度、前書きに頭を悩ませる今日この頃です。
最近定番化してきた、我が家の恐妻ネタは新年早々は控えさせて頂き、ナポリのポエムでスタートです。
このポエム、その名も(オ ラウ―)ナポリ方言でラグーの事です。
僕はナポリに偏愛を抱いておりますが、その大きな理由にユーモアセンスと、文化レベルの高さが揚げれます。
このユーモアセンスが曲者で、日本人にはブラック過ぎます。
皆様の想像を凌駕するほど、口が悪い人が多いです。
慣れるまで、これが人種差別か!とへこむくらい色々言われます。
今でも家族付き合いしているジェンナーロの所でも、働き出して3日目位に(ジャッロ、イエローの意)と呼ばれました。
結構効きましたね。
イタリア生活もかなり慣れて、イタリア語もほぼ苦労しなくなった頃ですので、カウンターパンチを受けた気分でした。
その頃、料理と同じくらいかそれ以上に頑張っていた事があります。筋トレです。
いい加減、腹をくくりました。
今度、ひどい事言ってきたら、倍にして言い返してやろう。
口の悪さなら、僕も自信はありました。
僕の親父の口癖は、何さらしてけつかんどんねん。
これ、何してんの?と同じ意味ですよ。
吉本新喜劇以外で生で聞いたのは、親父から位です。
言い返した後、乱闘になってもええ勝負してやる!と意気込んでいました。
しかし、外人は軒並み必要以上に筋肉質ですからね、真剣に互角の肉体を手に入れなければ厨房のトップには立てないと悟りました。
良い精神は、良い肉体に宿ります。
一回り体が大きくなると、心に余裕ができました。
その頃には、店でシェフの次の次くらいに、口の悪い奴に成長していました。(シェフの暴言は芸術でした。料理のメモを取る事は殆どありませんでしたが、彼の暴言は良くメモリました。知能の高さと、気品すら感じました。
今思えば、俳句や和歌に通じるような通じないような。。)
当然殴り合いになんかなりません。
悪口は、彼らなりのコミニュケ―ションの方法なんです。
例えば、朝一番の厨房のあの殺伐とした空気。
まだ、昨日の疲れが全く取れていない中、リーダークラスが若手になんかきっつい悪口をかまします。
そこで、トンチの効いた返答ができれば、こいつはもう目が覚めてるとみなされますし、やたらとブスッとすれば、未だ疲れているからほっとこうとなります。
全く悪気がないんですね。ゼロです。
信じられない位ゼロです。
ちょっとした悪口は、相手との距離を測る物差しですね。
むしろ、イタリア人は嫌いな奴は軒並み無視です。全く相手にしない。
もしくは、仲間、友達なら気に食わない所はすぐに言ってきます。
今年のクリスマスの営業中も、死ぬほど忙しい合間にイタリアから無数の電話がありました。
僕以外のスタッフがでて、イタリア語が分ろうが、分からなかろうがお構いなし。
皆、テンションが上がっているから(イタリア人にとってクリスマスは、1年で1番大切な日です)
凄まじい暴言です。
今年、頂いたボン ナターレ(メリークリスマス)の数例
ボン ナターレ おかま
ボン ナターレ 田舎っぺ
ボン ナターレ 肥だめ野郎
ボン ナターレ 足ふきマット
涙でそうですね。これを言うためにわざわざイタリアから国際電話をかけてくるんですよ!
クリスマスは、家族で祝います。その家族とのボンナターレのあいさつが終わると、毎年カトリックでもない僕に国際電話をかけてくれる。
(まあ、時間に問題はありますが。。。決まってディナーの営業中の一番忙しい時に2-3軒あります)
なんかもう、竹馬の友って感じですね。
この様に、彼らの暴言には愛が詰まっている事を念頭に置き、先ほどのポエムをナポリ弁から関西弁に意訳します。
ラグー
ワシが好なラグーは、オカンが作ってくれたやつだけやなー。
お前と結婚してからは、話題にのぼるだけや。
別にワシ、特別口うるさい訳やないで。
せやけど、もーええやろ。
よっしゃ、分かった。お好きなように。
夫婦喧嘩になるまで言い合うか?
ほな何かい、お前はこれがラグーや言うんか?
ワシこれでも食べるよ。食べるんは食べる。
せやけど一言だけ言わせてくれ。
これは肉のトマト風味煮込みや。
んー、すごいでしょ?
ナポリのコメディアンでエドゥワルド デ フィリッポという大阪の藤山寛美みたいな方がいました。
その方の作品です。
ラグーへの偏愛、
母への愛
嫁さんへのジレンマ
最後の気の効いた一言
凄まじいキレですね。
はい、写真コーナー!!!
ボローニャ風のラグーが嫌いな人はいないでしょう。
でも、ナポリ風ラグーは、初めて食べて感動する方と、無反応な方と結構分かれます。
お客様の場合、1度無反応ならそこでおしまいで残念ですが、僕の経験上3-5回食べると必ず虜になります。
今までの従業員達がそうでした。
最初から夢中になる子もいたら、何回目かになんじゃこりゃーと急に叫ぶ子。
実は僕もナポリで初めて食べた時、意外と印象に残りませんでした。
しかし、最近のジラソーレのラグーは一線を越えました。
初食の方も、恋に落ちると思います。
豆男
僕は、マメ男です。
信じないなら、嫁さんに聞いてみて下さい。
きっと、ハトが豆鉄砲食らったような顔をすると思います。
確かに、女性にも昔はもっとマメでした。
これは嫁さんには聞かないで下さい。
僕が、豆鉄砲以上の物を食らいます。
はい、食材の豆です。
毎度、しょーもない前書きにお付き合い頂きありがとうございます。
これからもがんばって、前書き中心のコラムを綴ってまいります。
豆嫌いな方多いですよね。もしくはすごい好きな方。普通に豆と社交的に大人な付き合いの方はあまり見受けられません。
憎悪か偏愛か。
豆って地味なようで実はこんなにキャラが立っているのですね。
オリーヴもそうですね。すっごい好きで、突き出しお代わりする方もいますし、全く召し上がらない方もいらっしゃいます。
たま―に、黒オリーヴのパスタご注文して、オリーヴを全部残す方もいらっしゃいます。
なんかのおまじないですかね?
そういえば、うちの店もちょっとこんな感じかもしれません。
合う人、合わない人いらっしゃいます。
多分、こんな好き嫌いの分かれるオリーヴや豆を多用するからかもしれません。
ですので、常連さんは豆好きの方が多い気がします。
何を隠そう、僕もイタリアに行くまでは豆に別にそれほど興味があった訳ではありません。
むしろ、黒豆とか、和食の甘い豆は苦手でした。
そもそも、和食が苦手でした。だから西洋料理の道に進んだんです。醤油が子供の時から嫌いで、なんでも塩味で食べたい子でした。
イタリアで、何が美味しいって豆です。種類もかなり豊富ですし、料理のヴァリエーションも豊富です。
旬の生の豆を楽しんだら乾燥させ、1年中使えるようにします。
ざっと挙げてみても
そら豆
エンドウ豆
さやいんげん
ウズラ豆
ヒヨコ豆
レンズ豆
白インゲン豆
干しソラ豆
等など
そら豆と干しソラマメを分けたのは、あまりに干すと香りが強くなり、同じ感覚では使えないからです。
最初の3つは、春から夏にかけてのフレッシュな豆です。
春のジラソーレのメニューは青い豆と、アスパラ、アーティチョークで一杯です。
後半の5つは、乾燥させたものが一般的ですが、今年ウズラ豆のフレッシュが少しだけ入荷しました。
僕が約半分食べて、豆ラヴァ―の何組かのお客様であっという間になくなりました。
来年も入れば是非します。
今日はこんな感じで、豆好きを増やすプロモーションです。
後は写真付で、お楽しみくださいませ。
サルシッチャ(自家製ソーセージ)好き
イタリア語でソーセージをサルシッチャと言います。
鮨、サンドイッチ、唐揚げ、卵焼き、ソーセージ。
この共通点はなんでしょう???
答えは、お腹が空いていなくてもあれば食べてしまう食べ物ベスト5です。(杉原調べ)
え?僕だけですか???
それにしてもソーセージってなんか憎めないですよね。
どんな商品でも極端に裏切られる事もないですし、小さいころから大好きです。
遠足でも運動会でも、弁当にはいつも入っていたし、
大人になってビール飲む時も、バーベキューする時も、
初恋の思い出も、失恋した夜も、
ずっと近くにいてくれた。
なんか幼馴染みたいな存在です。
しかーし、イタリアのサルシッチャはそんな自己主張の少ない寄り添ってくれるような代物ではありません。
では、この前置きはなんだったんだ!という位、別物です。
チワワとドーベルマン位違います。
まず、練り物感が、ほぼありません。腸の中に、肉が詰まっているって感じです。
で、まースパイシーです。コショウだったり、フェンネルシードだったりしますが、異国の香りがします。
まずこれで白いご飯は食べれません。パンです。
そして、ちょっとおせっかい気味に塩が効いています。
この塩加減がサルシッチャの1番難しいとこですね。
イタリアで作ってた通りの塩加減で行くと、80%位の確率で塩辛いと言われます。
今はちょっと控えて作っていますが、塩気が物足らないと一気にサルシッチャ感が失われます。
20年くらい前、本物の生ハムは殆どの方にとって塩辛かった。ロースハムと比べるからですね。
日本は世界に誇る塩辛い食品が豊富な国です。
漬物も梅干しも、塩気がきつくて当たり前です。
それに見合った食べ方をする訳ですから、それ自体の塩分は議論になりません。
今は、生ハムを食べて塩辛いという方はいません。
生ハムの塩辛さに慣れたんではありません。生ハムの食べ方が分かったのです。
サルシッチャもそうです。パンなしでそんなに食べれる物でもありません。
お漬物がサラダでない様に、サルシッチャも肉のグリルではありません。
なんかサルシッチャをかばう様な内容になりましたが、
イタリア人にとっては幼いころから、パスタにも入っているし、
ピッツァにも乗ってるし、
パニーノにも入ってるし、
そのままでもそっちゅう食べるし、と
かなりのソウルフードな訳なんです。
出来るだけアレンジせず、作っていきます。