芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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COLUMNコラム

AMORE 仔羊

 ジビエ真っ盛りな今日この頃ですが、先日仔豚のお料理をご紹介した所、仕込みがおっつかない位仔豚がフィーバーして困りました。
がんばって仕込み続けますが、いかんせん2-3日仕込みに掛ります。売り切れの場合はご勘弁下さい。

まあ、この時期ジビエと相変わらず牛肉はほっといても注文がありますので、今回は親愛なる仔羊のご紹介を。

 ご存知の方も、ご存知ない方もいらっしゃると思いますが、2年くらい前、短い期間でしたが(羊飼いの晩餐)という名のコースをしておりました。
ディ ナーメニューのページにアホみたいに長々とコンセプトを書いておりますが(近々見やすく改造する予定です)、アブルッツォ州から南の地域(以下南イタリア と呼びます)の代表的な肉は、仔羊、山羊、ウサギ、仔牛、鳥、豚、牛ですが特に前3つが、代表的な地方料理として残っている物が多いです。

 最近はモッツァレラブームの延長で水牛の肉も良く使われているようですが、そのうちごく一部の水牛生息地を除いて、使われなくなるでしょう。
作り手側のテンションと食べて側のテンションに、結構な差がある気がします。

関西で(多分神戸で特に)肉といえば、牛肉の事です。西洋料理店では、しばしば普通のお肉とも呼ばれます。
神戸ビーフのお膝元、それも文化かなと思いますが神戸ビーフは高すぎて使えません。

以前、師匠のジェンナーロがお忍びで日本に来た時、軽ーい気持ちで何食べたい?って聞くと、そら神戸ビーフに決まってるやろ、友達2人連れてきてるから、4人でどっか予約しといてくれって。。。
何食べたい?って聞いた時、ご馳走するけどって言葉聞こえたんやろうか???
それとも神戸ビーフ4人で食べに行ったらなんぼするか知らんのやろうか????
弟子に払わす金額で無い事を知っているのだろうか?????

僕 は彼を良く知っています。料理以外全く気が回らない超天然記念物です。悪気は無いのでしょう。何より毎回イタリアに行く度、本当に良くしてくれるし、何倍 もご馳走になってるし、なにより恩人です。ここはひとつ嫁さんにばれないよう現金で支払って、レシートも捨てて、記憶から消し去りましょう。

数年前からずっと神戸ビーフを食べてみたいと言っていたので(毎回僕がイタリアに行く度、神戸ビーフ持ってきたかと本気で聞きます。当然持って行ってない訳ですが5分ぐらい機嫌が悪そうなのは気のせいでしょうか)
念願の神戸ビーフです。
さすが、ガンベロロッソで(イタリアのレストランガイド)1位になったシェフ、食べる時の真剣さが違います。
その時のコメント

E' buono. 
E' interessante.
Lo userei come foie gras.
ma basta poca roba,non riesco a mangiarene tanto.

意訳(関西弁で)
うん、ウマいな
おもろいやん。
フォアグラみたいに使こてみたろかな。
せやけどあれやな、ちょっとでええな。あんまぎょーさん食われへんわ。

。。。ぎょーさん食べはりましたけど。

また話が脱線しました。5分ほどパソコンの前で寝ていたようです。

関西で牛肉がどれほど愛されてるかの話で無く、子羊の話でした。

イタリアにはアペニン山脈が南北に走っています。東西の幅はイタリア半島の付け根の方まで行かないとあまりありませんので、3方を海に囲まれた地形の変化に富んだ国と言えます。
特に南イタリアは海から急に標高が高くなる地形が多く、あまり平野がありません。

牛は体が大きいのであまり急斜面が得意ではありません。
僕も10代の頃(痩せていた頃とも言います)、鳶職の仕事をしてた時期があり、高いとこや屋根の斜面も平気で走り回っていましたが、体が重たくなるとダメです。牛の気持ちが良く分かります。多分平野の方が好きです。

羊や山羊は比較的傾斜も大丈夫なようです。そういえばハイジが買ってるユキちゃんはヤギですね。身軽そうです。
ウサギもあまり敷地が要りません。飼いやすいようです。

少し前まではアブルッツォ州からプーリア州にかけて羊の大移動がありました。寒い時期は、より南のプーリアに行き、春になるとアブルッツォに帰る。
はー雄大なお話しですよね。じゃあ、羊飼いの納税はアブルッツォで?なんて冗談を思いつく僕は、なんて汚れてるんでしょ。

 魚は漁師さん、野菜は農家の方、羊は羊飼いが最も美味しい食べ方を知っているはずです。
例えばこんな料理があります

子羊の羊飼い風

魚介で漁師風 アッラ ぺスカト―ラというと海老、イカなんかもふんだんに入った魚介の煮込みっぽいものが多いですがこちらはどうでしょう?


レシピ解説 子羊の羊飼い風

1)骨付きの子羊を香りのよい薪(オリーヴか乳香木が望ましい)で焼く。

以上。

マジ?

しかし、これがイタリア料理の神髄。経験した者だけが分かる究極のシンプル。
残念ながらオリーブの薪も、ましてや乳香木もありませんが、最高の子羊を、最適な火加減で完璧に焼くと後光が差します。当店には和歌山産無形文化財指定の馬目樫の炭があります。

そして下の写真、2段目ご覧ください。脂なし。皮、骨。ちょっと肉。子羊の肋骨はこうじゃなきゃ!!!
一般的には
scottadito d'abbacchio
乳飲み子羊のスコッタディートという名前で呼ばれます。
スコッタディートは指が火傷するという意味。もちろん手で食べます。

子羊はオーヴン焼も美味しいです。
代表的な料理は

子羊の羊飼いの嫁はん風

羊飼いの嫁はんは料理好きなのでしょう。旦那に比べて手が込んでいます。
といっても、ニンニクとハーブと一緒にローストし、ペコリーノチーズ(羊の乳由来のチーズ。世界最古のチーズは羊乳です。)の香りを添えます。

以前は、鳥や羊をローストする際、必ずじゃがいもを一緒にローストしていました。それはそれは美味しいじゃがいもになります。

しかし、最近はあまりしなくなりました。じゃがいもは子羊から出た旨味を吸います。今はイモにくれてやらず、なんとか肉に戻す努力をします。

この、子羊の火の入れ方、最近の流行と本来のイタリア料理ではかなり違います。まあ好みでしょうが、本来焼いた肉の美味しさは表面の香ばしさと中のジュ―シーさではないでしょうか。
最近良く見かけるのは、ある程度、肉は熱を感じてタンパク質は変化しかけてるけど、血および水分に熱が伝わって無い感じで苦手です。

師匠の言葉を借りると、あれですね、ちょっとなら良いけどぎょうさん食べれないですね。

こう書くと、なんかイタリアの肉はパサパサちゃうかと思われるかもしれませんがちょっと違います。

まず、このオーヴン焼にしてもそう。一般常識では肉はフライパンで表面に焼き色を付けてからオーヴンで焼くとありますが、基本的にそんなことはしません。それこそ表面がカピカピになります。

オーヴンに入れて勝手によく焼けるまで放置!逆に表面が美味しそうに焼けた時に中がジューシーに焼きあがるように、大きさなり火加減なり、途中で出すなりの工夫をします。
料理人が肉を支配するのでなく、肉がいかに自然に無理なく焼けるかの手伝いをします。

上手に焼けたら、一家3人で半頭食べよかなと思うくらい止まりません。これもすごく美味しい食べ方です。ただ、ある程度塊の方が圧倒的に美味しいので3,4名様からお勧めしています。
もっ と究極を言うと、関節から骨を外して肉に出来るだけ包丁を入れず、例えば後ろ足丸ごと一本焼くとシビレます。モモ肉、特に外モモと呼ばれる辺は、筋繊維が 太く、加熱後の離水が顕著です。しかし、肉に全く傷を付けなければ殆ど、肉汁の流出はありません。むしろ生きてた時の血液の様に肉の仲を駆け巡りジュー シーさとなります。
だから、焼いた後すぐ切ったらダメなんです。

こちらのオーヴン焼も骨付きです。

今日の格言
骨付きとはソースである。

骨付きだとソースは要りません。それほど圧倒的に美味しさが違います。焼上がりも違います。焼縮みもありません。

しかし、どうしても骨なしの部分と骨だけの部分も出てきます。

骨なしは良く自分で食べていました。そして飽きました。そして考えました。なんとか骨なしだからこそって言う料理。
必要は発明の母です。

 子羊の卵包み焼

僕、玉子王子です。
卵むっちゃ好きです。
かといって卵は太る等思わないで下さい。卵に罪はありません。産むんちゃうかと思うくらい食べる僕が悪いんです。

この料理良く出来ています。
卵は味にも貢献していますし、加熱にも貢献します。

簡単に説明すると、卵はたんぱく質の塊ですので温度のレーダーになります。卵に何の変化もない温度は、卵より熱伝導の悪い水分を含む肉にはもっと変化がありません。つまり肉の周りに付けた卵で肉が感じる温度を理解しながら火を入れていきます。
ある線でやはり急激に火が入るポイントがありますが、その際本来流出する旨味、肉汁は卵が吸いますので一滴たりとも無駄になりません。

最終的にはしっとり柔らかく焼上がりすごく美味しいです。

 

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先ずは解体。

 

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炭火焼き用の肋骨。スコッタディートです。

 

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足の付け根と首。こちらは煮込みにします。煮込むとすごく柔らかく、ええ出汁が出ます。

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僕の好きな部位。すね肉。大きい子羊だったら煮込まないとダメですが、この大きさの子羊ならオーヴン焼。サイコーです。

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ミスターオーヴン焼の肩。5.6名様でお越しの場合是非!大きな塊のリターンは大きいです。

 

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モモ一本丸焼きのご予約は滅多にありませんので基本的には骨なしになるモモ肉。しかし卵包み焼でしっとり大変身!

 

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子羊半頭で、余るのこんだけ。しかもこれもラグー炊く時ほり込みます。ナポリの知恵です。

 

おめでとう!!!

 先日、倉敷のクスこと、楠戸伸太郎君(倉敷のイタリア料理店、トラットリアはしまやオーナーシェフ)がご結婚なさいました。で、披露宴にご招待頂き、新郎側の代表のスピーチまでさせて頂いて光栄です。
クス、まゆみちゃん、おめでとう!
僕から夫婦円満のアドバイスは、イスラム過激派がカトリックを説くのと同じなので辞めときます。
手さぐりでがんばれ!
 
 披露宴には、今当店でがんばっている、ヒデ(谷口君)とアンナ(後藤さん)、クスの前にウチから独立したガミちゃん(博多のオステリア オオガミのオーナーシェフ)
と、もとジラソーレマネージャー、マウリも来ていて、なんか同窓会みたいになりました。
 
しかし、まあ立派な披露宴でした。そして僕が1番感動したのは、クスのとこのスタッフがかくし芸といいますか、催しをしていまして(ドリフのヒゲダンス)、それ自体も良く出来ていたんですが、結構練習してるなーというのが見てとれました。
 
不景気ながら、トラットリアはしまやさん、よー流行っております。ジラソーレも帰宅時刻はやたら遅いですが、はしまやもそっちゅう夜中の2時、3時まで働いています。
そういう環境が続くと、人間、余計な事をしたくなくなります。それでもその環境下で、結構練習したんでしょうね。ヒゲダンス。しかも内緒で。。。
胸が熱くなりました。
 
クス、ガミちゃん、マウリ、日本語で言うと元従業員です。でも、そんな言葉では表現できません。
一番近いのは、戦友でしょうか?
 
ジラソーレが今の場所に移転したころ、前の店の時から、当時僕に出来る準備は全てしているつもりでした。
前の小さな店のなけなしの売り上げで、スタッフを余分に雇い、次の店の家賃も発生し、国金からは希望額が借りれず、精神的にも金銭的にもギリギリなところで、もし移転して見込んでいる売り上げが無かったら夜逃げやなと家の荷物の整理もしつつの準備期間でした。
 
その、マジでプレッシャーに潰れそうな時、支えてくれていたのがクスとガミちゃんです。
 
クスの方が年上ですが、ガミちゃんの方がウチでは長く、クスが入った時は4年目くらいでした。
ガミちゃんは、無口であまりアピールをしませんが、任せている仕事は結構なレベルでこなしていました。
 
クスが入って来て、今まであまりしゃべらなかったガミちゃんも結構話すようになり、(多分僕と口ききたくなかっただけですね)クスは、ウチに来た時すでにフランス料理を7年やっていて下地はしっかりありました。
まあ、しっかりしたやつでした。楠戸君。明確な目標があると、人間こんなに成長が早いもんだと感心しました。
 
ガミちゃん、クスと本気な青年があの小さな店に2人も働きに来てくれている。本当にテンションの高い時期でした。
元々すべて自分一人でするつもりでオープンしたので、厨房もそれに合わせて1人で調理するように設計していました。
 こんな本気な青年2人の青春を預かって、がむしゃらな2人を見ていて移転を決意しました。
このままじゃ、こいつらになんもさせてやれないまま年月が経つ。お客さんは、杉原が作る料理を食べに来て下さっている訳ですから、彼らに任せて僕が料理しない訳にはいきません。
しかし、一緒に鍋を振るスペース、僕の手元をもっと間近で見るスペース、そして彼らに与える責任とそれを果たしてもらうスペース。全てが足りませんでした。
 
 なんぼ仕事教えても、成長したら辞めて余所行きよる。。。
当時はそんな事、微塵も考えませんでした。いや、むしろもうチョイウチでがんばって、そして胸張ってジラソーレ出身ですと自分の店を持ち、成功して欲しい。
そして、そんな彼らを見て、彼らの後輩、その後輩もがんばれるんじゃないかと信じていました。
何より、この二人は僕の事を信じてくれていました。
 タイガーマスクの虎の穴です。死ぬかも知れへんけど、生き残ったら無敵。こんな職場にしよう!
と、親方としての目標を初めて持ちました。
 
 虎の穴は、そもそもタイガーマスクは漫画の話です。(プロレスラーでもいましたが)
死ぬかもしれへん。。。
自分の店で、ホンマにそう思いました。
移転直後、予想を上回るお客様の数で、すぐにどうにもならなくなりました。すぐにスタッフ募集をし、新たにもう一人コックの見習いを雇いましたが、ゴールデンウィーク直前、ガミちゃんとクス以外が、同時期に敵前逃亡しました。
 
 
 
おい、ゴールデンウィーク、俺ら3人やで。。。
可能な限り、僕の奥さんも店を手伝ってくれましたが、当時、1日中電話が鳴りっぱなしでした。
一人は、電話に出まくる、僕は調理、一人はホール、このタイミングでご到着のお客様があればチーン。手詰まりです。
 
皆様、期待してお越し下さってたでしょうに、本当にあの頃はご迷惑も沢山お掛けしました。なかなかうまい事行きません。
 何より悔しかったです。
期待してお越し頂いているお客様に、自分たちが納得できる仕事ができない事。
辞めますも言わずに、急に来なくなった若者にも。
そして、自分の夢の結晶の自分の店が、お客さまも満足させれない、自分も満足できていない、そして従業員も幸せに出来ていない。
 
 俺、コック向いてないかも。。。
8歳で、コックになろうと決めてから、初めての挫折でした。
 
でも、そんな時も泣き言と文句をこれでもかと言いながら、クスとガミちゃんはついて来てくれた。
1番大変だった時、朝7時出勤、帰るの深夜3時とか、3時半とか。
見習二人が急に辞めた時、それまでアルバイトを雇う事に抵抗があったんですが、そうも言ってられない。
アルバイトでも、お水とおしぼりくらいは持っていける。ちょっとでもお客様をお待たせするのがマシになる。
何より、ホンマ死ぬんちゃうかと3人とも思っていましたから。
 
ある日のランチ時、ガミちゃんが片手で仕事してるのを見つけ(その仕事は両手でしないとダメな仕事でした。)、0.2秒でキレて、サモ・ハン・キンポーの燃えよ デブゴンよろしく作業台を飛び越え、ガミちゃんにドラゴンスープレックスをお見舞いしようとしたら、クスが割って入って、「シェフ、今日大神さん、ごっつい熱あるみたいですねん。今日はちょっと堪えとって下さい.」
どれどれ、、、、なんじゃこりゃー!!!赤身肉なら火通るんちゃうかと思うくらい熱いガミちゃん。
 
ゴメンネ。
クスも言うてくれてありがとう。
 
僕 : ガミちゃん、取りあえず今日はもう帰り。
ガミちゃん : 大丈夫です。
 
僕 : 今日のディナーは、ちょっと落ち着いてるから、今日は帰って、マシになったら明日来てくれる方がありがたい。明日はまたクンクンやし。
ガミちゃん : 。。。
 
ガミちゃん、ちょっと悔し涙が出かけてました。5年いてこの時だけかな。
そこで熱血野郎、楠戸君が一言。
今日は、僕が死ぬ気でがんばります。シェフ2人でなんとかディナーしましょう。
 
これ書きながら、思い出して目頭が熱くなります。
 
その日のディナーは、惨敗でした。絶対負ける喧嘩、2対14くらいでしたかね。途中で留守電にしてやりましたよ。
 
そっから再出発です。学生のアルバイトを雇って、アルバイトの子らに更にキレるお客さん続出。
そらそうです、当店の制服は白いシャツなんですが、透けて見えるくらいド派手な下着を付けてくる子、ヘアピンしてる男子、1日で辞める子、かってに店のドリンク飲む奴。。。
今はもうこんな事は無いのでご安心を。
 
しかし、当時は本当にへこみました。
このころ食べログとかにもケチョンケチョンに書かれてたみたいです。
そらそうですね。
 
でも、収穫もありました。
今、当店のホールをがんばってくれているアンナ事、後藤杏奈さん。
実は、このアルバイトの唯一の生き残り且つ、そのまま就職してくれた奇特なお方。
今では、アンナに会うのを楽しみにして下さるお客さまも。
 
 その後、社員でコック見習いを何人も雇いましたが、クスもガミちゃんも、一線を越えたタイガーマスクになってたので、その後が誰も続かない。
ずーと1年続かない人が続いて、やっとヒデ(谷口君)が入ります。ヒデは今年四年目。多分ドМです。
こいつもタイガーマスクにいつかなるんやろなー。
 
はー、あっという間に時間が経っていきます。クスも結婚したし、次はガミちゃんかなー。
しかしガミちゃん、男前やのに、女っ気ないなー。
そのうち、サンフランシスコで結婚式しますとか言ってきたらおもろいなーと、得意の毒舌で終わりましょうか。
 
P。S
倉敷と、博多のタイガーマスクへ
 
こんな滅茶苦茶な店で働いてくれてありがとう。
君らが、君らのスタッフと接している所を見ると、結婚式の親の気持ちってこんな感じかなーって思います。
 
クス、この前くれたメッセージ、(シェフ、自分がシェフになった今でも貴方は僕のシェフです。僕も早く痛風になりたいです)
僕が、クスに送った披露宴のメッセージより上等やな。
 
君らの店のオープンに立ち会わせてもらったり、結婚式呼んでもらったり、君らとまだ交流が持てているのは財産です。
ますますのご発展をお祈りしております。
戦友より
 
 
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堂々として、貫録も出てきて良い男になったな。
奥さんも聡明で、酒飲みでいいじゃなーい!
 
お幸せに!!!!!!

NON SOLO SELVAGGINE. ECCO,UN PIATTO DEDICATO AI FR

まーしかし、今ジラソーレの厨房は、僕ともう一人、ヒデ(谷口君)だけで、このメニューの多さは大丈夫なのか?と自問自答しながら、仕事における自分のドMっぷりに回りに感謝しながら、腹の底から怒鳴り倒している毎日です。
全く仕込みが追いつきません。
 
最近、当店で (なあ、ちょっと休憩したら~)というと、野鳥の羽をむしる事です。
この時期以外は、休憩とはシルバーでも拭いてこいやという意味です。
どちらも、まあ単純作業で頭を使わなくていいし、両手を使うので他の事出来ません。
 
当店では、一つの作業しかしていない状態を、いつの間にか休憩と呼ぶようになってきました。
そら、従業員なかなか続きません。
 
ジビエが始まって、同じ来客数でも絶対的な仕事量が増えてるのに、こんな料理が急にしたくなって作りました。
 
 今回のタイトルはシルビオも読めるようにイタリア語で書いてみましたが、前回のコラムでご紹介したフリアリエッリ(ナポリの青菜)が気温が下がる度、ドンドン美味しくなってきて、これに捧げる一皿をって考えました。
フリアリエッリは、サルシッチャとサイコーによく合います。その他、豚肉全般とも非常に合いますので、イタリア産の子豚を使って詰め物をしたローストを用意しました。
 
 
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あの子豚を解体した後、ロース部分とバラの部分に自家製のコテキーノ(豚の皮なんかも入ったゼラチン質たっぷりのサラミの一種。大晦日に良く食べます)を詰めて先ずはボイルします。
 
写真はボイル後、冷めて煮こごった状態。
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断面図。

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分厚くカットして、周りはカリッと、中はねっとりな感じにローストします。
出来上がりはこんな感じ。
煮こごりを煮詰めた物をソースにして、仕上げに常連で友人の高橋氏のイタリア土産、ヴィンコットヴィネガーを2,3滴。
 
そして、たっぷりとフリアリエッリを添えます。おー!!!肉に負けません。がっぷり四つ。肉を食べて、フリアリエッリ食べて、肉を食べて、フリアリエッリを食べて、肉を食べ、、、、あ、終わってしまった。
なんか、永久に食べれそうな料理です。
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ヴィンコットとは、ワインにする前のブドウ果汁を煮詰めた物。これはそれを更にヴィネガーにした物みたい。
初めて使いました。美味しいです。
高橋さん、有難うございます。
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イタリア料理の、このなんか押し迫ってくる感じが好きです。最近の綺麗な料理も結構ですが、これ何人前?と聞きたくなるような盛り付け。愛されてるなーと感じます。
上のロール状の物を、切って行くとこうなります。ウマそうでしょ?
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最後に仕上がりのアップ写真。すぐ売り切れるかもしれません。又すぐ作りますが。。。
 
と、ジビエとも格闘してますが、それ以外のお肉とも仲よくしています。
 
次回は子羊のご案内でも。

秋の食材 パート3

ちょっと地味に見えるかもしれませんが、僕にとって秋冬の一番の香りはフリアリエッリ。
ナポリの青菜です。
 
有名な話ですが、北イタリアと南イタリアは仲が悪いです。(今はちょっとマシみたいですけど)
お互いをののしる言葉で、南の人は北部の人をポレントー二(ポレンタばっかり食ってる人、ポレンタ野郎ってとこですかね。
 
北部の人は南部の人をマカロニ野郎と呼びますが、実は一昔前はマカロニ野郎でなく、マンジャフォッリエ≪葉っぱ食い≫)と呼ばれていました。
 
 まーしかし、イタリア人は野菜をよく食べます。イタリアで働くまで想像もしていませんでした。
日本に長い事住んでいるイタリア人に、イタリア帰ったら何が食べたい?て聞くと、意外に野菜の事言う人が多いです。
それは、野菜が特別好きと言う訳でなく、肉、魚は日本にもそれなりの物がありますが、イタリアにしかない野菜ってけっこうありますからね。
 
今から、野菜が盛り上がる時期です。入荷次第ご紹介しますね。
 
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今年も始まりました。シルヴィオからフリアリエッリの第一弾。
胸がキュンとします。
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火を入れるとこんな感じです。
クタクタに見えますが、ちゃんと歯ごたえがあるのが特徴です。
美味しい苦みと鮮烈な香りが素晴らしい!
 
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フリアリエッリと言えばサルシッチャ。ナポリではソーセージとフリアリエッリは切っても切れない仲です。
サルシッチャだけでなく、色んな肉類とよく合いますが、やはり豚肉は特に相性が良いです。
 
久しぶりに仕入れました。イタリア産の皮つき乳飲み子豚。
僕のイタリア料理に対するあこがれの原点。
子豚は丸焼きに限ります。しかし通常営業では、なかなか丸焼きは難しいので、ポーションカットしながらも丸焼きに近い仕上がりを常に目指しています。
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こちらは山ウズラのロースト カセルタ風。
普通のウズラでも良くこの料理をしますが、やはり香りが違います。
ポーっとする香りですね。
 
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友情出演のマウリ。以前貸切パーティーで子豚の丸焼きをした時の写真を、お客様が下さいました。
中に肩ロースを詰めて焼くので、20人前位取れます。
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月に1回くらい、子豚の丸焼きデーでもしましょうか。

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プリティーな子豚のお尻。モモ肉にも詰め物をして、ハズレの部位なしの1品。

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イタリア菓子の中でもお気に入りの一つ、カンノ―リ。
自家製のリコッタで作っています。
アレンジなしの100%イタリアテイスト。震えます。

秋の食材 パート2 更にジビエ

 今年は無性にジビエに熱が入っております。またマニアックな方向に走りよってと、喜んでおられる方と、ちょっと不安な方と、だいぶ不安な懐具合。
まず、いっきに4種類もジビエを取りそろえかけて学んだ事。(本州鹿、山鳩、山ウズラ、雷鳥)
ジビエ料理は儲からない。一皿の値段はけっこうしますが、なんせ手間暇かかります。
それやったらイワシとかムール貝とかジャンジャン料理してる方が、儲かるかも知れません。

これでとどまらず、この後、エゾ鹿、イノシシ、キジをしようと思っています。
では、何故こんなに今年はジビエの風が吹いているのか?

実は、意外な事に魚料理に今後より力を入れようと思っているからです。
魚料理に力を入れることは、意外じゃないかもしれませんが、それがジビエ熱の原因とは意外でしょ?

ちょっと説明しますと、年々魚がより好きになってきています。以前はメインは肉を食べないと気が済みませんでしたが、今は半々くらいです。
僕は、イタリアで、それはそれは素晴らしい魚料理専門店で働きました。
そのお店は、今でこそ1品くらい肉料理がありますが、僕が働いていたころは子牛すらありませんでした。

ですので、賄いも魚ばっかり。若かったので本当に肉が恋しかった。
で、自分で店をしたら、魚料理にはもちろん力を入れますが、肉料理も頑張ろうと肉料理も色々やってきました。

特に、子豚、子羊、ウサギは南イタリアらしい肉なので色々作ってきました。
色々作ってきた上で、それぞれの肉に対し、2,3パターンのこれ!というものが見えてきて、逆にそれ以上の大きな発展が見えにくくなってきたような気がしています。

もっともっと焼の精度、塩加減の精度を高めるという目標は有りますが、結構好みの分かれる部分でもありまして、焼に関しては最近のフレンチを食べ慣れてる方からすると焼き過ぎに思えるかもしれませんし、塩もたまにきついと思う方もいるかもしれません。
 基本的に毎日イタリア料理を味見じゃなく食事として食べ、当り前のようにワインを飲んでいると自然に突き当たる焼き加減なり、塩加減です。

料理のバリエーションとして、食材の組み合わせとか、温度なんかの工夫も入れて、魚介類の方がやはり豊富です。
魚の方が優れているという事では無いですよ。
むしろ、肉の方がそれぞれ完成しています。ソースも付け合わせも装飾もないの前提でしたら
牛肉をダーンと焼いた物と、天然真鯛を上手に焼いた物、歓声が上がるのは牛肉でしょう。

むしろ魚料理は、シンプルに食べるのも良いですけど、突き抜けた料理に持っていくためには、なんらかの仕事が必要です。

僕の場合、ジビエを料理する時のアプローチと、魚介類を料理する時のアプローチは非常に似ています。
その魚ごとに出汁をとり、その魚だけの為の付け合わせを用意し、料理を組み立てます。

話が少し戻りますが、8月末に博多のアンティカ オステリア トトさんに行ってきました。
魚介だけでコース組んで下さい、でもってシチリア料理でとリクエストをしておまかせしました。

天才です。最初の1品めの伊勢海老の温かい前菜。目をつぶって食べるとホントに地中海が見えます。
この料理の見た目は、ある意味現代的と申しますか、レストラン料理です。しかし、食べると絶対にシチリア料理、もしくはシチリア人が作っていると確信出来ます。
そうです。本田シェフはシチリア料理を創るというステージに立ってらっしゃいます。

危うく働かせて下さいと言いかけましたが、本田シェフは恐いので止めときました。お客のままの方がベターです。
もちろん全品絶品でしたが、もう1品クスクスを出して下さいまして、これも場外ホームラン。
うん、肉無しでも俺は生きていける。そう確信しました。

前置きが長くなりましたが、ジビエって魚の対極の存在とも考えられるし、案外立ち位置にてるなーと。
だって、天然ですし。生息地や時期や食べてるもん、雄か雌化で料理法変えるの魚介か、ジビエですよ。

でもって、味や風味は鮮烈ですが、脂が無い分意外に料理が軽い。ある意味あっさりしてます。
ジビエが苦手な方、無理しなくて大丈夫です。
日本の天然魚は全部ジビエです。
ウロコまで食べるアマダイ、珍重される白子、カワハギの肝、当店はジビエの様に魚介類も1匹丸ごと余すところなく食べてもらえる工夫をしています。
今回は、ジビエのご案内ですが、魚も力入れてます!

 

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こちら山ウズラ。ジビエの中では比較的食べやすい白身のお肉です。
詰め物をしたカセルタ風ローストでご用意します。
 
ナポリ近郊にカセルタという町がありまして、モッツァレッラが有名なのと、後ベルサイユ宮殿よりでかい王宮があります。
 
昔、ナポリは王国で、シチリアまで含めた南イタリアが両シチリア王国と言う国でした。
ヨーロッパ有数の豊かさを誇っていまして、このカセルタの王宮も春と秋の狩猟用の別荘です。
 
南イタリアはあまりジビエ、特に鳥類のジビエのヴァリエーションが少ないのですが、カセルタにはいくつか鳥類のレシピがあります。

 

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脱毛後。
写真でも分かりますが、肉質は白いですね。でもって皮も厚くありません。つまり鳥脂も少ないです。
赤身よりむしろ、白身の方がほんの少し熟成した方が美味しい気がします。
でも、よく言われるようにお尻を匂って軽い腐敗臭。。。てのはよく分かりません。腐敗臭は腐敗臭でしょう。
ちょっとナッツぽい香りが出てきたら十分と思います。
ちなみに、熟成は羽がついたままします。
 
合わせるワインは、赤ならあまり重たい必要はないかもしれません。ガリオッポ種のブドウなんか良いかもしれません。
熟成したしっかり目の白ワインも面白いかもしれません。

 

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こちら山鳩です。
売り切れたら、戎神社に仕入れに行きます。

 

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山ウズラに比べ若干皮がしっかりしています。その下の肉質は赤いの分かりますか?
 
鳩類は、内臓も非常に美味しいです。食べにくい手羽先と、内臓でパテを作りパイ包み焼にします。
胸肉とモモ肉はそれぞれソテーして、ジャストの焼上がりを目指します。
 
ソースはカラブリアの唐辛子とサラミのペースト、ンドゥイアとチョコレートを使ったソースです。
 
こちらはしっかりした赤ワインと合わせて下さい。素晴らしいです。

 

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こちらは雷鳥。日本のは天然記念物ですので食べたらだめです。
 
標高の高い所に住んでいまして、非常に警戒心の強い鳥だそうです。
天敵がいない、雷の日に活動するから雷鳥の名がついたそう。
落雷にも気をつけてほしい所です。

 

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こちらも肉は真っ赤です。山鳩より皮が薄いのでより黒く見えます。
鳥類のジビエの中では最も個性が強烈です。
 
標高の高いとこに住んでいまして、食べモンが、針葉植物くらいしか有りません。ですので雷鳥は非常に針葉樹の香りがします。
 
合わせるワインは、華やかでエレガントなワインを是非。熟成したアリアニコ、バルバレスこ、あとサルでーニアにもお勧めがあります。

 

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雷鳥が最後に食べた食事。見えますかね、つぼみの下に見える葉っぱ。
かなり香りの強い植物でした。

 

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料理の出来上がり写真です。ナポリ風のキャベツと米の煮込みを添え、自家製のソーセージと雷鳥でとったフォンでソースを作ります。
仕上げに雷鳥の内臓のペーストを少し加えます。
 
確かに強烈な個性ですが、完全に癖になります。

 

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