COLUMNコラム
皆様お気づきだと思いますが
皆様おお気づきだと思いますが、私、幼少の頃から日記、夏休みの宿題何一つ続いた事がありません。
このコラムも恥ずかしながら今年初更新です。
そのうちジラソーレのコラムが更新されるとユーロが上がるみたいな都市伝説的噂が流れてもいやなので、頑張ります。
今日2月9日は、ここ芦屋でも朝から雪で、かなり寒かったです。こんな冬のムッチャ寒い日は、イタリアの農家の友達の家で豚を1頭つぶし、サラミなんかを作る行事に参加した事を思い出します。
そう言えば以前コラムで昔養豚場で働いた事を少し書いて詳しくは、またの機会にと、そのままにしてたので今日はその話を。
これを語るには、僕のそれ以前の人生を数行で語らなければなりません。
第1話~コックになってすぐの十代~
幼少の頃からコックになると決めていた僕は、何の迷いも無く辻調に行きました。そこで、授業料がいくらとか全く気にせず漫画を読むか、友達と下の話をするかぐらいの学生生活をしておりましたが、このままじゃいかん!と勉強になりそうなレストランでバイトをしようと決意しました。しかし、当時18,9歳の僕には無茶苦茶好きな彼女がいて1秒でも会える時間があるようにと、地元でしか仕事を探しませんでした。10代の頃は所詮こんなもんです。
偶然見つけたバイトも、イタリア料理じゃなくてスペイン料理でした。まー似てる部分もあるやろと気楽な物でした。こんな甘ちょろい気分で入った店が、いまや伝説の西宮苦楽園、ドスシバリスでした。ここで僕は衝撃体験をしまくって、本当に心のそこからコックになりたいと思いました。ここの当時のシェフは、いまやエルポニエンテで大成功している小西シェフでした。いまだに師と仰いでいますが、当時の小西さんはまさに炎でした。周りを焦がし、焼き尽くしながらも自らは決して燃え尽きないパワーとエネルギーでそれはもう圧倒されました。
第2話に続く。
すいません。10ヶ月もコラムをほったらかしにしていました。
すいません。10ヶ月もコラムをほったらかしにしていました。
今年の1月下旬に移転してからこの10ヶ月は、最高にハッピーな事も最高に辛い事も経験し、僕の人生の中で最も中身の濃い期間だったと思います。移転してからしばらくは、移転前のレベルになかなか戻れず至らない事も多々ありましたが、この9月からはサービスにイタリア人マネージャーが加わり、特にサーヴス面は向上したと思います。このマネージャーを少し紹介しますと、ナポリ出身のレストランサーヴィス暦22年の大ベテラン、在日7年で日本語も達者です。数年前に彼と知り合い、すぐに意気投合し、いずれ一緒に働ければとお互い思っておりまして今回の移転は物件選びの段から参加してもらっていましたが、諸事情で9月からの勤務になりました。
これ以外で最近のニュースと言いますと、まずチンバリーのエスプレッソマシーンを入れました。豆はナポリのパッサラックアです。これをマネージャーのマウリッツィオが完璧に使いこなします。あと店の入り口すぐに据付の巨大ワインセラーを設置しました。むっちゃかっこいいです。ワインリストも作り直し、南イタリアワインだけで150種はあると思います。北のワインも少し置いてます。後、今年の夏ナポリでお皿をたくさん買ってきました。地方料理に良く合う素敵な皿です。これらのすべてをひっくるめて新たに初心に戻りひとつのシンプルなコンセプトをもっています。~オステリア ナポレターナ~ ナポリの料理とナポリのワイン。北イタリアワインの方が好き、トスカーナ料理が好きという方がたくさんいるのも存じています。でも僕とマウリツィオは南イタリアの料理とワインと文化をこよなく愛しています。僕の理想のレストラン作りが本格的に始まりました。
時間をかけて黒光りする店になるよう頑張ります。
皆様、明けましておめでとうございます。
皆様、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
さて、去年の年末にご報告申し上げましたように、1月23日(火)に芦屋市の大原町に移転いたします。
非常にたくさんの方に祝福していただき、一緒にお喜び頂き、この移転を楽しみにして頂き感無量です。
ご期待にお答えできるよう精一杯がんばります。
さて早いもので今年も12月になりました。
さて早いもので今年も12月になりました。
レストランを営む者(特にオーナーシェフ)にとって特別な時期です。
いろんな意味で特別ですが食材も特別な物が揃います。特にジビエとトリュフはこの時期のスター食材です。ジビエがお嫌い、苦手な方もたくさんいらしゃいますし、トリュフも別に。。。とおっしゃる方もいます。 いくらでも食べ物の選択肢はありますので、なにもわざわざこんな血生臭い肉を食べなくても、ほかにも美味しい物はありますし、トリュフの官能的な香りもキロ20万円前後と思うと官能的というより現実的だなーと思いますが、僕らコックにとってはいつまでたっても憧れの食材です。シェフの象徴というか、ジビエもトリュフもそれを扱う者も最大にリスペクトされるみたいなものが昔はありました。
10年、15年前は今ほどジビエやトリュフを扱ってる店はありませんでしたし、実際に生のものを見たり、触ったり食べたり出来ませんでした。仮に稀に店のメニューに登場しても全部シェフの仕事で僕ら見習いはそれを横で見ている事も許されず、憧れは募る一方で当時まだ10代だった僕は異性への関心を上回る憧れをジビエやトリュフに抱いていました。 そこでいつかイタリアに修行に行く事が叶えば、ジビエ、トリュフで血まみれ土まみれになって働きたいと願っておりました。そんな僕も晴れてイタリアに行く機会に恵まれ、半年後には無給スタートながらナポリのとあるレストランの厨房に入れました。そこで約2年働いたのですがその間、ジビエ、トリュフを一回も見ませんでした。だれもシーズンになっても話題にもしませんしお客からの要望も聞きませんでした。ここでは、特にパスタの勉強には非常になったのですが憧れのトリュフ、ジビエにいっこうに出会えません。
僕の憧れは、だんだんコンプレックスに変わり、ナポリを出て北イタリアに行こうと初めて思った頃でした。ちょうどその頃ワインの勉強もしていてイタリアでソムリエの免許をとる準備をしていたのですが、ワインもまた当時の僕は南イタリアには見るものが少ないなーと生意気にも思っていました。
しかし勉強が進みいろんな人との出会いから教わったのですが、ちょうどその頃からナポリを含む南イタリアも量から質のワイン生産にシフトチェンジし始めるメーカーが増え、今ナポリ辺りのワインが日本でもイタリアでも流行っていますが、それらのメーカーのワインのファーストビンテージなんかがドンドン出てきているものすごく動きのある時期だと知りました。
そしてナポリ近郊にもトリュフ、ポルチーニの名産地があるのも知り、またその辺りやもっと南のカラブリアまでもジビエやポルチーニの料理があるのを知り、修行のすべての期間、ワインの勉強も含め南イタリアから出ないと逆に腹に決めました。北イタリアや中部イタリアに比べると規模も小さく、一般家庭まで普及もなかなかしていませんがそこも含め南イタリアらしいジビエ、トリュフのご提案を僕なりにして見ます。
前回は茄子のチョコレート風味をご紹介しましたが
前回は茄子のチョコレート風味をご紹介しましたが、今回はサングイナッチョの話を少し。
サングイナッチョとは、イタリア語のサングエ(血、血液)から来る物で主に豚の血液を使ったソーセージの事を指します。
ナポリでは、サングイナッチョと言うとカーニバルの頃に食べる濃厚なチョコレートクリーム の事ですが、こちらも伝統的には、チョコレートクリームの中に豚の血液を入れていました。なぜわざわざ血液を使っていたのでしょう?
それは、純粋に美味しくなるからだと思います。キリスト教(少なくとも旧約聖書では)動物の血液を口にしてはいけないとあります。(たしか) 実際、宗教が関係するかどうか別として一般的なイタリア人はお肉は、良く焼けていないと気持ち悪がります。(焼いた時に出る肉汁に血が混ざってると返品されます。)
僕は、この退廃的にも取れるサングイナッチョに憧れに近いものを感じていました。 話はそれますが、サングイナッチョと同じく20代前半に憧れていた料理に子豚の丸焼きがあります。サングイナッチョと子豚の丸焼きが並ぶと退廃的というより祝祭のイメージですね。
で、まあ今も難しいですが、当時豚の血やら子豚なんかは仕入れルートが無く入手が非常に困難で、イタリア修行を終えて店をする時は毎日が収穫祭見たいな事がしたかったので、仕入れルートを今の内自分で作ろうと イタリアに行く前、養豚場で3ヶ月ほど働きました。この話は今度ゆっくりします。 いざ実際ナポリに住みだしてもなかなかサングイナッチョに出合いませんでした。それで、新しいイタリア人の友達が出来るたびに僕がどれほどサングイナッチョに憧れていて、どうしても食べたいんだけどどこに行けばいいかを片っ端から聴きまくってたら 大体変人扱いされていましたが、やはり諦め無くてよかったです。
ある友達のおじいさんが毎年正月後くらいに自分が1年間育てた豚を〆て、生ハムやサラミなんかを作ると聴き無理やり頼んで参加させてもらいました。 朝6時くらいの早朝にその儀式は行われました。残念ながらサングイナッチョは作らなかったけど、昔は豚のノドを切って〆ていたこと(今は、ピストルみたいな機械)や、その時勢い良く噴出す豚の血をバットに受け、すぐさま塩、コショーしてオーヴンに入れて焼き スプーンで食べるとすごく旨いという話、また、その日豚を解体している間中、そこで飼っている犬が豚の血をずっと舐めているのを見て、なんだか本質に触れた気がしました。うまいんだと。
その後昼食にその豚の肺とレバーと端肉のピーマン煮込みを出してくれて、サイコーに美味しかった事を昨日のように覚えています。
只今ジラソーレでは、魚介類のサングイナッチョをご用意しています。海老、イカ、タコ、ホタテをイカ墨でマリネしてソーセージ用の豚腸に詰めソテーし、海老の味噌のソースを添えています。海老とイカ自体と、その内なる物で作ったソーセージはまさにサングイナッチョ。見た目も黒いソーセージです。