COLUMNコラム
1泊2日 ナポリ、シチリア
1泊2日で、ナポリとシチリアに行ってきました。
スミマセン。ちょっと大げさに言いました。そんな夢のような話ではありませんが、それに匹敵するつかの間のトリップでした。
ジラソーレの創業時から、5年当店に努めてくれた、ガミちゃん事、大神君。九州の博多で、オステリア オオガミというレストランをやっております。
オープニングを手伝いにいって以来、彼の料理を食べていないので、1周年辺りで襲撃して、思いっきり師匠風ふかしに行こうと思っていたのですが、近いようで遠い九州、なかなか実現できず、やっと11月の下旬に行ってきました。
今回も、もうひとつのきっかけが無かったら、伸ばし延ばしになっていたかもしれません。
ただ今、ジラソーレでは、今まで血眼になって探していた、ナポリ独特の野菜や、イタリア野菜を仕入れています。
九州でナポリの野菜を作っていると、イタリア人から直接売り込みの電話があり、福岡のスーパーシェフ、アンティカ オステリア トトさんの本田シェフのご紹介だとの事。
フィアリエッリやスカローラ、ブロッコリー ディ ナターレ等、今まで夢にまで見ていた野菜を作っていると豪語する、このナポリ人シルヴィオ。半信半疑でサンプルを送ってもらい1通り試食しました。
正直、涙がでました。あーこの辺の野菜が日本で使える日が来るなんて!!!
これを読んだ方は、どれだけこの野菜が美味しいのだろうと想像すると思います。実際かなり美味しく、良くできているのですが、僕は、美味しさにはいくつか種類があると定義しておりまして、
一つは美味しさの数値が高い美味しさ。フォアグラや、和牛がこの代表でしょう。料理でいうとすき焼き等です。
2つ目は、バランス、塩梅の良さの美味しさ。メロンやマンゴーとミカンを比べると、メロン、マンゴーの方が美味しさの数値は高いですが、ミカンがメロンやマンゴーに負けるという事ではありません。ただ、ミカンを美味しく作ろうと、糖度を上げることばかり考えても美味しくなく、ミカンの美味しさは、酸味と甘みのバランス×香りです。
料理でいうと、そばが代表的でしょうか。旨味の数値的にはあまり高くないですが、風味、喉越し、香り、キレ等のバランスで素晴らしく美味しく感じます。
3つ目は、他に代わりがない個性を持つ美味しさ。梅干し、牛蒡、鮒寿司等でしょうか。
八百屋さんで、キュウリと牛蒡どっちが美味しいと質問しても店主は困るでしょう?もちろん、この3つの美味しさの個性をそれぞれかね揃えて、複合的な美味しさの数値がでます。
話は少しそれますが、来店して一言目に今日のお勧めは?と初来店のお客様に聞かれても答えようがないのは、まさにこの理由です。
果物屋さんで、1番美味しい果物どれ?と聞かれてメロンと即答出来るのであれば、僕はメロンの時期はメロンしか売らないと思います。
逆にリンゴが複種あったとして、リンゴを買いたいのですがどれがお勧めですか?と聞かれると、シャキッとしたリンゴと、パキッとしたリンゴどちらがお好みか伺います。
リンゴならこのパキッとしたやつしかあり得ないと思えば、それしか扱わないでしょう。でも世の中には、パキッとしたリンゴを食べると、歯ぐきから血が出る方もいますし、アップルパイを作るからパキッとしてないとだめな時もあります。
情報社会で情報もあふれていますし、商品の選択肢も信じられないくらい多くなりましたが、逆にドンドン生産者と消費者の意識は離れて行っている気もします。
どういう事かと申しますと、物凄い選択肢の様に見えて、意外に選択肢は流行りや、価格競争の方向に集中しています。そうしますと、消費はさらにそちらの方向に集中しますので、生産者側は足並みをそろえて更に、流行りと低価格を追わざるを得ません。
グローバル化への愚痴になりましたが、シルヴィオが作る野菜は、代用がきかない位の明確な個性があり、かといって強烈なドリアンの様な個性でもない独特の香りと風味、後味を持つ野菜なんです。
牛蒡とかレンコンて、これは牛蒡じゃないとダメ、レンコンじゃないとダメってあるじゃないですか?菊菜なんかもそうですね。
こんな感じでシルヴィオと急速に仲が良くなり、しかも紹介してくれたのはあの本田シェフ、これは直接ご挨拶にも伺わないとと思い九州遠征を決めました。
1日目ナポリ。
オステリア オオガミに着いてカウンターに座りました。お昼に伺ったのですが、夜のメニューでおまかせでお願いしておきました。
まず、すごく嬉しかったのがお店がピカピカです。掃除を超えて磨くのレベルです。これは別に姑の様に細かくチェックした訳ではありません。瞬間的に清潔な空間にいると実感できます。
フェラーリのロゼを1本大神君がプレゼントしてくれました。昔はこんな気遣いもなかったなー。
次に又二ヤリとしました。突き出しのオリーヴとタラッリです。タラッリは昨日焼いた味です。(前日に焼いて1番置いたのが1番美味しいです。)オリーヴのマリネもつかり具合が丁度。
これは、うちの元従業員だからべた褒めしてるのではありません。でも突き出しってお金を頂く物じゃないけど、ただ出すだけになったらダメです。これはアミューズでなく、アミューズまでのつまみですから、毎日営業していると、何となく出すようになりがちです。
うちの店でも、口酸っぱく行っていますが、漬かりすぎたオリーヴやちょっと湿気たタラッリお出しするくらいなら、辞めた方がいいと。
当り前の事ですが、掃除も料理も毎日の事です。これ以上は無い、と思えるところまでレベルを上げて、それを当り前とする。
僕が従業員に伝えたいのはこの一言に尽きます。
堅い話になりましたが、1品目の前菜を半分ほど食べ、僕は初めて嫁さんに感情の入った文章のメールを送りました。(いつもは用事の件だけですね。スミマセン。)
まー内容は、期待していた以上に旨い、連れて来てあげたら良かった等です。
これは食べログではないので、何を食べてどうやったとは書きません。でも料理で人を幸せにする。大神君はその段階に入ってきたなと大いに感激しました。
もちろん技術的にもまだまだ、伸びていかなければならない事もあるでしょうが(もちろん僕も)伸びていく方角は正しいのではないでしょうか。
彼が、当店で働いてくれていた事を誇りに思う再開でした。
まー、フェラーリのロゼ1本分くらい褒めてあげて、早速師匠風ふかしまくりました。この日僕の為に、大神君は夜の営業を休み(決して強制しておりません。自主的に休みました)、車で一緒にシルヴィオの所へ行きました。無理やり大神君の所のスタッフ全員を連れて。。。(一応デートの約束が無いか位は聞いたと思います)
予定より1時間くらい遅くなり、何とか暗くなる前にシルヴィオの畑に着きました。会うのは初めてですが、電話ですでに何度も喋っていたのですぐバーチ(イタリア式あいさつのキス、ホッぺトゥーホッぺです。もちろん)
すぐに暗くなりそうだったので暗くなる前に急ぎ足で全畑を見て回りました。しかし、産地めぐりはサイコーです。
市場も料理のアイデアがドンドン浮かびますが、産地はもうトランス状態。真っ裸になりたい衝動に駆られます。その衝動を料理に変換する時のパワーは岡本太郎が乗り移ったかなと、周りを不安にさせてるようです。
シルヴィオとナポリ話や、今後どんな野菜が作りたいとか、どんな野菜が欲しいとかちょっと下ネタとか話してるうち、あっという間に3時間。外はもう真っ暗でした。
翌日は、ガミちゃんとシルヴィオ、シルヴィオの奥さんとアンティカ オステリア トトさんに行くのでこの日はまあまあおとなしくホテルに帰りました。
前日の夜を控えたからか、絶好調でトトさんへ。
基本、僕は酒を飲まないとやや無口です。特に昼の12時を回らないとほんと喋れないのですが、この日はきっちり12時くらいに飲みだしてそのままなんと5時30分まで居座って飲み続けるというKYなグループになっていました。本田シェフ、ほんとスミマセン。。。
まーあまりに料理がハイテンションでそれにつられたと申し上げておきましょう。うちも、大神も、そしてここ、トトさんも(オステリア)と謳っております。共通点は何か?店主が酒飲みで、酒飲みがハッピーになれる料理ですね。
前日、ガミちゃんとこで、1人でワイン2本、本日トトさんで3人で5本と食後酒を飲み続ける僕。飲まし続ける店たち。そしてドンドンあおるイタリア人。
VIVA! OSTERIA!!!
さて、本田シェフのお料理ですが、聞きしに勝る剛腕でした。初めてお会いしたのはシェフが当店にお越し下さった時で、その時は本田シェフの澄んだ眼となんか金色のオーラにすごく惹かれた印象が強かったんです。
そして実際料理をする男の顔は、やはりリアルです。野生動物の様な傭兵のような、戦う男の姿がありました。
そして、すごいのは戦う男の力強さの中に、なぜ戦うのかというデリケートな部分と、何と戦っているのかという明確なテーマが全品に表現されていて、シチリアを強く感じ、そして本田シェフという造り手も強く感じました。
ここでいう(戦い)とは決して暴力的な物ではありません。例えるなら、誰かにさせられている仕事か、産みの苦しみを超えた仕事かの違いです。
同世代で、同じイタリア料理で同じ様に、地方料理に力を入れ、地元愛が強い、共感できる部分が沢山のトトさん。サイコーの料理でした!まさにこんなん食べれたら良いなーと思ってました。
毎日ゼロからはじめ何十皿という料理をつくり、深夜まで片づけをし、またゼロから始める毎日。
心からこの仕事が好きな僕ですが、時折心が折れそうになります。でもこんな素敵な出会いが、又僕を強くし、よーし、負けてられへん!!!とがんばる活力になります。
たった1泊2日の旅行でしたが、ものすごく中身のある最高の旅行でした。ありがとうございました。
店創り
久しぶりの更新です。この夏にディナー、ランチともメニューのシステムを変更しました。
システムを変更しただけで、根本的な料理や店のコンセプトが変わった訳ではありません。
始めたばかりなので、今後どう受け入れられていくか見極めなければなりませんが、今のところお客様の反応は良さそうです。
今日は、こういった些細な(?)リニューアルや、小さな装飾、設備投資など、お店を開けてからもずーと続く店創りの話を。
まず、僕は料理以外で人並みの事は全くできません。もし、病気や怪我でこの仕事ができなくなると思うと不安で夜も眠れません。
そこで、司法試験を将来受けようと勉強を試みますが、今度は朝までグッスリ寝てしまっています。
ですので、この仕事ができなくなったら、画家か詩人になると思います。もしくはプライベートフィッシャーマン。日本語でいうと釣り人ですね。完全に職業でないですが。。。
まー第二の開高建を目指します。後は奥さんの甲斐性次第です。
現時点では僕の甲斐性が試されている訳で、それはそれで死ぬ気でがんばっております。
ここで最初のポイントは、何に対して死ぬ気でがんばるか?これが店創りのお話の本質になります。
まず、お店は生き物です。実の子のようでもあり、盆栽のようでもあり、グリノッぺの様でもあります。
共通しているのは、構ってあげる(手入れをする)必要があることです。分かりやすい所では掃除ですね。
掃除をしないと、店が生き物どころが店中生き物になるかも知れません。
哲学的には、掃除とは希釈だと定義されています。つまりなんぼ掃除しても家が無菌状態になる訳ではないので、どこまで希釈するか(汚れ等を)だと。
釈迦のありがたいお言葉みたいです。
レストランなので当然、清潔さはものすごく大事ですし、それこそ除菌、殺菌もしまくります。
でも、掃除を一歩踏み込んで~磨く~の域に達すると掃除を終えた時、店がニコっとします。
一般的な掃除は店創りでなく、店がニコッとしたらそれは店創りなんじゃないかと。
意外にも僕は掃除が得意です。ですので僕が掃除をすると店はニコッとします。むしろニコッとしてくれるまで掃除を止めません。
やっぱり時間がかかります。そうすると、仕込み、仕入れ、営業中の仕事とすべての仕事が押してきます。
そこで雇用が発生します。ここで、僕の代わりに掃除をしてくれる人が僕と同程度の掃除をしてくれるまで根気よく指導する。
これも店創りです。
今、掃除でたとえ話をしましたがどんな些細な事でもこれで絶対大丈夫!ということはありません。
もうひとつ例をあげてみると、おしぼり。この世にはおしぼり屋さんという便利なサービスがあります。しかしおしぼり屋さんのおしぼりは少し特殊な洗剤の匂いがする時があります。
以前使っていた時期もありますが、今は自分のところで洗濯し、やさしい良い香りがほんのりする、暖かいおしぼりを用意しています。でも今年の夏の様に強烈に暑い夏は冷たいおしぼりの方が喜ばれるかなーとか、
いっそのこと暑いおしぼり先ず出して、それから冷たいの持っていったらもっと喜ばれるんじゃないかとか考えるときりがありません。
今回のメニューのシステムの変更は、お客様によってはそんなに大きな変化を感じないかもしれません。
それはそれで一つの成功の証かもしれませんし、効果が無いのかもしれません。でも最終的にはいろいろ考えて試してみるしか成長の道はありません。やりながら修正する。少しずつ立ち止りながらでもより前へ。
この仕事が長くなればなるほど地道に行かなしゃーないなーと思います。
装飾とか設備投資みたいなハレの部分は、店創りの中の息抜き、自分へのご褒美ですね。
第二部に続く
2人目の卒業生が。。。
どーも!原始人杉原です。HPをリニューアルした時、このHP制作ソフトがグレードアップしました。
が、しかしこのコラムのページの更新の仕方だけ全く分からず、どないしてもタイトルと本文が一致しませんでした。
半年がかりでやっと分かったみたいです。
今年の4月に当店の2人目の卒業生、クスこと楠戸伸太郎君が岡山県倉敷市で独立開業いたしました。
ガミちゃんの時のように、クスのオ―プニングも手伝いに行ってきました。偶然にも、赤穂のさくらぐみもこの日レセプションパーティーで、同じ方面なのではしごしてきました。
1日に2軒のお店のオープンに立ち会うと、自分もまた店したくなりますね。あの、緊張と興奮と不安の入り混じった空気、サイコーです。さくらぐみの皆さんに不安の表情は全くなかったですけどね!
さて、ジラソーレも、何度もいろんなピンチを乗り越えながら8周年を迎えました。8年間で、2人当店から独立してるのは良いペースなのでしょうか?当然8年間で、彼ら2人しか採用した訳ではなく、逆に彼ら以外で1年以上続いたスタッフは、今お店にいるスタッフだけです。
多分、20名近く今まで雇ってきました。ガミちゃんとクス以外、1年続くか、ほとんどは数か月で辞めていきました。 表面上だけでも円満退職した方が1人いるか、2人いるかぐらいです。
当店の常連さんで何人かは、このGWを利用して博多と倉敷と当店とはしごして下さった方がいました。涙でそうですね。 で、皆様僕を良い師匠だと褒めて下さいます。
そう見えるのならラッキーですが、すごいのは彼ら本人で、彼らの努力の当然の結果です。
クスなんかは目標がしっかりあって、それに向かってしっかり努力し、うちで働いてる時から安心感のある青年でした。
実家が倉敷の呉服屋さんで、お宅の古い蔵を改造した素敵なお店です。皆様ぜひお立ち寄りください。
トラットリア はしまや
086-697-5767
倉敷市東町2-4
まさかの2ヶ月連続更新です。
まさかの2ヶ月連続更新です。いっきに単行本出版めざして頑張ります。 6年近く勤めたイタリア料理店(ここでのエピソードも今後実名で披露しちゃいます。)を退職し3日と空けずに養豚場に働きに行きました。出発前に気合を入れようと人生初の丸坊主にし、当時乗っていた車を売り払い、2万円で中古の原付を買いました。 夜11時ごろに神戸発川之江行きのフェリーに乗り、当時友達以上彼女未満だった女の子が見送りに来てくれ、今思うとなにも大層なことは無いんだけど、なんか泣きたいような武者震いしてるような妙な気持ちでした。 朝、6時半ごろ愛媛県に着くと生憎の雨。もちろん雨合羽があるわけでもなく、びちゃびちゃになりながら原付に乗り、(盗んだバイクで走り出すー)と尾崎豊の15の夜を熱唱、いや絶叫しながら養豚場に向かいました。 回帰線(尾崎豊のアルバム名)の全曲を大方歌いきった頃、何とか養豚場に着きました。途中何回やめとこかなと思ったか分かりません。今から何せなあかんか想像すら出来ませんでしたから。。。 当時はまだタバコを吸ってたんですが、敷地に入る前、連続で3本ほどタバコを急いで吸い4本目を見てあかん、切り無いと敷地に入っていきました。 なんとなく着く時間を伝えていたので、なんとなく待っていて下さった養豚場のご主人は、ほんまに来よったなーと笑顔で迎えてくれ、次の二言目に僕は腰を抜かしました。(イヤーまさかホンマに来るとわなー!若いのに大したもんや。この養豚場継いでくれへんか?) 。。。経営難か? 続く
僕がジラソーレをオープンして・・・
僕がジラソーレをオープンして料理の修業に来た2人目の犠牲者、大神将輝君がめでたく来月6月11日に独立オープンします。
2人目といえど、1人目の子はすぐ辞めてしまったので大神君が実質、最初のスタッフでした。
大体、子育てでも一人目の子は厳しく、二人目、3人目はだんだん優しくなるといいますが、大神君も例にもれずそれはそれは厳しく育てられました。
今年は景気の低迷や、インフルエンザと暗いニュースが続いていますが、今の僕にとって自分の事のように嬉しい明るいニュースです。あまりに嬉しいので、お節介にもオープニングを手伝いに行きます。そのため6月9日(火)のお昼は臨時休業します。
6月8日(月)にレセプションをするそうです。手伝いと言うより、大神君と僕のコラボです。
一般のお客様にもお席があるか僕には分かりません。ご興味のあるかたはお問い合わせ下さい。
オステリア オオガミ
福岡市中央区大宮1-7-8 NEOビル 1F
092-531-3550
ジラソーレ出身の料理人が初めて独立します。僕も自分が店を始める時は心配で寝れない夜が続きました。きっと彼もいま不安とヤル気で錯乱してると思いますが、独立とは到達でなくスタートです。博多の皆様、どうか優しく、厳しくオステリア オオガミを見守ってください。