芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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COLUMNコラム

野菜が熱い!

 以前のコラムでも書きましたが、ジラソーレでは素晴らしい生産者から仕入れをしています。
 
オープン当初は全部~業者~でした。今は、~生産者~からの仕入れが殆どです。そんなに沢山の選択肢も無い中から、取りあえずって感じで使い始めた食材の数々。
ほとんどは、1,2回使ってみて止めました。オープンから数年間、まず安心して使いだしたのは、ヨーロッパ産の肉類、チーズ、肉加工品。
まー、あまり裏切られることは無かったです。でも、鮮度の面では常にちょっと不満でした。
 
古い訳じゃないですよ。むしろ食べごろピークが殆ど。店に来てから日持ちが全くしなかったんです。
移転前の小さな店では本当に苦労しました。
 
同時期、今も使っている極み豚に出合いました。これもオープンから今もずっと続いています。
20代前半、生意気にも将来豚が流行ると確信し、養豚場にも少しお世話になった事があります。
 その後、豚肉は大流行。数々のブランド豚が誕生しました。結構色々試しましたが、僕は極み豚が1番。
決め手は、ローズマリーの香りと最も合う事。後、赤身の質を高め、熟成させてから出荷させる事。
イベリコは確かに美味しかった。でも美味しすぎて豚じゃないみたい。もちろんウチがスペイン料理店なら確実に使ってましたが。
 
後、淡路の魚。正直ちょっとお値段張ります。淡路産の魚が高い訳でなく、この魚屋さんが特別なんです。
活け越し、〆の技術、素晴らしいと思います。
この前、兵庫県の日本海側の食材も開拓しようと、日本海側の漁師さんから直で魚を少し取りました。瀬戸内は、ちょっと深刻に海老が少ないんです。
んー、兵庫県縦断は、魚介類には遠いのかなー。今度、現地に行ってみようと思っています。
 
 そして、野菜はというと、最後のテーマでした。料理の専門誌に時々載せて頂くことがあり、そうすると、日本中から色んな生産者の方達から連絡を頂くようになりました。
特に野菜はこれっと言った物に出合っていなく、以前はイタリア産を使う事が多かったです。
産直の農家の方と色々お話をしましたが、実際僕が欲しい野菜を作っている所が意外と少ないんです。
 
僕は、変わった色の野菜とか、生で食べれるなんチャラとかに惹かれないんです。アスパラならアスパラ、ズッキーニならズッキーニの個性が明確なのが欲しい。
西洋野菜に関しては、良い出会いがなかなか無かったんです。あと、欲しいものだけ買える所も意外に少なかったかなー。
 遠方から送って頂くので、送料が掛ります。となると大きい箱に、命一杯詰めてもらうとお得なんですが、どうしても大根系が混ざってくる。
大根が嫌いな訳ではありません。むしろ美味しい素晴らしい大根を色んな所から送って頂きましたが、やはり大根以前にもっと極めたい、勉強したい野菜が沢山あるので続かないんです。
 
農家で、まず惚れたのが広島の中台さんの完全無農薬レモン。1回注文すると15キロ。防腐剤の掛って無いレモンって腐るんですよ。当り前ですけど。
昔、まだ見習いだったころレモンが腐ったの見た事無かった気がします。
 
この使っても使っても減らない感。イタリアを感じます。当然、自家製リモンチェッロ、自家製レモンジャム等作るようになります。
今では、リモンチェッロ、レモンジャムの為に買っていると言っても過言ではありません。
 
 次の愛すべき農夫は、明石のチーロのおじさん、おばさん。兵庫県の三木で畑をやってらっしゃるんですが、チーロの小谷さんがイタリアから色々持ち帰ってこれ植えて、あれ作ってとしてるのを分けて頂いています。
 
そして、九州のシルヴィオ。フリアリエッリ、ブロッコリー ディ ナターレ、スカローラ。ナポリ料理の1番のエッセンスは、魚介でも、肉でも無くもしかしたら野菜かもしれないと思う今日この頃です。
去年の冬は、シルヴィオのナポリ青菜で本当に楽しめました。
 
そして同じ冬、兵庫県の尼崎の島中さんからも、野菜を頂くようになりました。真冬に、信じられない美味しいトマトを作ります。生食では最高峰ですね。
真夏にあのトマトがあれば尚良いのですが、冬だからこそ、情熱と技術で作れるそうで、夏の湿度が一層恨めしくなります。
春の、アスパラ、カルチョ―フィもよかった!
 
三木の畑も、シルヴィオのとこも、島中さんとこも一斉に植え替え時期に入り、春から夏の準備中、がくっと野菜が減りましたが、まずは南のシルヴィオのとこから次々と収穫の報告が入ってきました。
いくつかご紹介しましょう。
 
 
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こちらバジリコ ナポレターノです。ナポリ種です。ちょっと葉っぱが縮れてますね。素晴らしく甘くさわやかな香りです。
この様に大きな葉っぱで、でも葉は薄く、色も普通のバジリコより少し薄いのが美味しいです。
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こちらバジリコジェノヴェーゼ。いわゆる、一般的なバジリコです。が、こちらのはホントにイタリアの種。
こっちのバジリコはペストにします。
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これはパキーノプリエーセと言う品種のプチトマト。写真では分かりにくいですが非常に皮がしっかりしてます。
で、日本のプチトマトはちょっと赤黒いですがこれは朱色。生でも食べれない事は無いですが基本加熱用です。
 
意外かもしれませんが、イタリアはあまりトマトを生で食べません。食べますけど、生と火を入れる割合が丁度日本の反対位です。
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昔、アメリカ大陸からトマトが伝わった時トマトは黄色かったってご存知ですか?奇をてらった物で無く、真面目な作物です。

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ナポリで働いた事がある人は、スゲーって思うじゃないでしょうか?写真で見ても、皮のしっかり具合、実の充実感が伝わってきます。
これは、火を入れて使います。加熱しても全然崩れてきません。
 
イタリアから輸入してきたような完成度。
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チリエージェ ヴェスヴィアーニ。ナポリでポモドリーニ(プチトマト)と言うとこれ。
ナポリ料理は全部トマトベースと思っている方がいますが違います。
外人が、和食は全部醤油味と思っているのと同じです。
しかし、醤油とトマトの使い方は似ています。
和食も醤油をよく使いますが、全部醤油味じゃないですね。ほんの少し、ほんの数滴といった使い方も多いと思います。
トマトも同じです。
アサリのスパゲッティ、1人前につきプチトマト2個。見た目はトマト入っていません。でも全然違います。入れるか入れないか。
逆に、日本でも有名なヴォンゴレロッソ。ナポリではほとんで見かけません。僕にはアサリとトマトが殺し合ってるようにしか思えません。
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超有名なサンマルツァーノ。ミニですが完全に反則。今回の仕入れ分全部杉原家で食べてしまいました。従業員にも内緒です。

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こちらレギュラーサイズのサンマルツァーノ。尼崎の島中さん作。しかも冬の2月に使っていました。
夏のサンマルツァーノは、完全にバカンスの味。美味しくて、甘美で、もうどうでもよくなる。
えーい、太ってやる―て感じ。
夏のビーチで仕事を何日もしてない、優雅さと不安の入り混ざった、でも人の幸せってこれこれって感じ。
 
冬のサンマルツァーノは、日射量が無い分熟すのに物凄く時間が掛ります。結局熟れますが、太陽で熟れたのではなく、大地のミネラルを吸い倒したような繊細な力強さ。ムキムキでなく、筑紫が地面から割って出てくるような神秘的な強さ。
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ズッキーニシリーズ。シルヴィオ一押しのサンパスクアーレ。これが素晴らしい。ズッキーニだけど別次元。アーティチョーク並みの個性があります。
もう添え物ではありません。主役です。
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サンパスクアーレのアップ。立体的な筋が見えますか?この写真の中で1番堅そうに見えますが、実は1番柔らかいんです。

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プリエーゼという種類。スカベ―チェとか詰め物に。

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ロマネスク種。見た目はサンパスクアーレより更にごつごつしてますが、味はプリエーセに近いです。

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普通のタイプ。でも、日本のスーパーで見るより色が薄いでしょ?あの濃い―緑はダメです。苦すぎる。

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丸ズッキーニ。ナポリでは見た事無かった。でもすっごい美味しいです。1番はグリル。

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三度豆。これまたスゲー!!!完全に日本市場を無視したインゲン!日本のスーパーのインゲンがブロイラーとすると完全にジビエやな。筋取るのがメンドクサイけど、(日本の三度豆って筋無いですよね)これも主役。
付け合わせじゃないですね。
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スカローラリッチャ。これまた愛してやまない野菜です。ほろ苦系。

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チコリアセルヴァティカ。苦み系野菜の王様。ホントに苦いです。
でもちゃんと料理すると、他に代役が効かない超個性派俳優に。
苦みフェチなんですが、意外とゴーヤにはあまり惹かれません。
 
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花田さんのイモ、シルヴィオのチコリアセルヴァティカ、最後サーヴィスでちょっとだけくれたグリンピースと下の写真の小ぶりなスルメイカの蒸し煮です。
ここにはゲソとワタだけ。あとでちゃっとソテーしたイカちゃんを上に載せます。
totani e patete all'amalfitana のチコリア入り。アーティチョークヴァージョンも旨い!
 
この料理の主役はジャガイモです。全ての旨味を吸いつくし、適度なとろみをつけてくれ、その上、大地の香りを放つすごいやつ。
で、このジャガイモのすごい所は、(さすがマエストロ花田)ジャガイモとして素晴らしく美味しい事。
 
なんじゃそら!と思うかもしれませんが必要以上に甘かったり、いらん味のするジャガイモって多いんですよ。
または、味もへったくれもないのとか。
 
これは、茹でたら茹でた美味しいイモの味。揚げたら揚げた美味しいイモの味がする。他の食材とも非常によく調和するし、
でもきちっとイモの存在感を放つ理想のイモ。男爵どころか、将軍か皇帝の位を上げましょう。
 
 
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スルメイカ。イワシとかスルメイカみたいなちょっとチープなイメージの食材に命を吹き込むのが大好きです。
イワシはイワシしか持ってない良さがあります。アコウやハモ、トラ河豚もいいですが僕にとっては横並び。
値段は世の中が決めた事。これぞイタリア料理って味ですよ、このイカ料理。
 

第3回収穫祭 子羊祭り

 春です。3月生まれの僕は、春が大好きです。以前は花粉症に悩まされていましたが、イタリアに数年住んで体質が変わったのか、花粉症も出ません。
躊躇なく春を満喫しております。
 
イタリアにももちろん四季はありますが、日本の四季はホントはっきりしています。はっきりしているし、次の季節に移るまでの過程、グラデーションがコマ送りの様に印象的です。
 
昔の人が作った暦はよく出来てるなーと、つくづく思います。
 
春は、僕の好きな食材であふれています。白身魚の種類が増えますし、アブラメなんかの根魚が素晴らしいですね。イカナゴ、飯タコ、貝類、そして、青魚も。
早春の苦い青菜で、冬の動物性の旨味になれた味覚をリセットし、アーティチョーク、そら豆、グリンピース、アスパラ、新じゃが、今のメニューを彩ってくれている春野菜。
春野菜と僕は心中してもいいくらい大好きです。
 
そして肉類では、子羊。春と言えば子羊です。イタリアにも、魚の旬はあります。日本の魚の旬は2回ある物が多く、脂がのったり、身が充実している味の旬と、非常に漁獲高が上がる時期です。
有名な桜鯛。桜が咲くころ、真鯛は水深の浅い所に産卵のため移動してきます。これをのっ込みと言いますが、非常に鯛の漁獲量が増え旬と言われています。
秋に、紅葉鯛と言われ冬になると水深の深い所に移動するのですが、その前に食いだめします。当然僕の様に脂がのります。秋の紅葉鯛は、味覚的な旬ですね。
カツオの初カツオと戻りカツオもそうです。
 
イタリアではよほどの漁港町で無い限り、こんなに魚の旬に執着は無いです。しかし、春の子羊は別格です。まー、宗教的な意味合いも強いですけど、春と言えば子羊、アーティチョーク、卵です。
 
クリスマスの次くらいに大切な、復活祭(パスクア)の象徴、卵(復活のシンボル)は、宗教的な意味合いですが、子羊は繁殖期で乳のみの小さな子羊が食べれます。
ヤギ、子羊の本当に小ぶりな物をイタリアで食べた時、神を信じました。あー、こんなにうまいから太古から神の生贄にされていたのねー!
神様ってグルメ。
 
この経験のあと、日本で血眼になって小さな子羊を探し続けましたが、なかなか出会わず、実際最初の数年はスポットで入るオーストラリアの乳飲み子羊を使うぐらいで、あまり普通に流通している子羊を使う気になりませんでした。
 
今使っている子羊、ヨーロッパ産のかなり小さな子羊です。これに出合って、いまディナーメニューのページに長々と書いている、僕がしたかった南イタリアの表現がかなり実現しました。
 
お苦手な方も時々いらっしゃいますが、すでに数名のお客様の羊嫌いを直しました。
一度試される価値ありと思います。
 
前書きが長くなりましたが、数年前に知り合った北海道で子羊を育てている今井さん。こちらから、特別に子羊の頭や内臓を一式送って頂いています。
一度今井さんを訪ねて北海道に行ってみたいものです。非常にエネルギッシュで魅力的な方です。
 
肝心の今回の子羊祭りのメニューです。
 
前菜で
北海道サフオーク種子羊の内臓の串焼きの盛り合わせ(ハツ、レバー、タン、トリッパ、ミノ)目玉焼きとそら豆のピュレ添え
 
メインで
北海道サフォーク種子羊の頭のロースト(ほほ肉、タン、チェルヴェッロが食べるとこです)
ヨーロッパ産乳飲み子羊のスコッタディート(炭火焼)
ヨーロッパ産乳飲み子羊のオーヴン焼 羊飼い風
ヨーロッパ産乳飲み子羊の卵包み焼 グリーンペッパーソース
 
よかったら1品試してみて下さい。
 

自家製シリーズ パート2 魚介加工品編

 自家製シリーズ第二弾、今日ご紹介するのは魚介の加工品です。バッカラ(塩蔵干し鱈)、ボッタルガ(イタリアのカラスミ)、ロサマリーナ(シラスの唐辛子漬)です。
どれも、基本的には塩蔵です。塩の脱水作用を利用して、腐敗の原因となる自由水を飛ばし、保存性を高める訳です。
 
 ここで、僕のイタリア料理における、他の国の料理と異なるイタリア料理らしさの定義を。
 
イタリアは、狩猟民族と思われがちですが(その性質もありますが)基本的に農耕民族です。農耕民族は地味な感じですが、その逆でいち早く定住に成功し、飢餓の不安を軽減できた文化的な民族です。
 そして、南北に長いイタリアは、地域の差も多大にありますが、かなり食材に恵まれた国です。
21世紀の現在でも、ほとんど昔ながらの土地の料理が日々の食卓に登ります。
これは、都会と地方では差がありますが、それでも日本と比べれば地方地方の個性はより明確です。
 
 このテーマで書きだすと、すごく長くなりますので今日のテーマに関連のある話からします。
よく、イタリア料理はシンプルだと言います。それは、ある意味正解です。でも、単純、簡素なんではありません。
 
シンプルの例をあげると、例えば一つの料理を作るのに、あまり食材を交ぜません。かき混ぜるの混ぜるでなく、例えばズッキーニの料理ならズッキーニが主役。玉ねぎやニンニク、ハーブを入れても3-4の食材で作ります。
ラタトゥイユにせず、ズッキーニだけで先ず美味しく食べる努力をします。ズッキーニの蒸し煮、カリフラワーのサラダ、ペペロナータ。。。それぞれの食材のポテンシャルを引き出す最低限の物しか足しません。
 
しかし、何度イタリアでズッキーニってこんなに美味しかったのか!とかパプリカってこんなに美味しかったのか!と思った事でしょう!カリフラワーしかり。
 
 では、なぜこの理論が発達したのでしょう?それは、旬の物が収穫されだすとしばらくそればっかり食べることになります。
ズッキーニの時期はまず、ズッキーニをうんざりするほど食べないと仕方なかったのです。昔は。
他の食材を交ぜてると減りませんからね。
イタリア料理は、同じものを大量に食べ続ける工夫が施されている。これが僕の定義の一つです。
 
ズッキーニの蒸し煮で例を続けると、鍋に少量のニンニク、または玉ねぎをたっぷりのオリーヴオイルで炒め、香りが出たらズッキーニを加え塩をいれ蓋をする。仕上げにバジリコを手でちぎって加える。
 
ほぼ一行でレシピが書けます。でも信じられないくらい美味しく出来ます。そこには沢山の秘密があります。まず、ズッキーニはまな板を使って切らず、鍋の上でナイフで適当に切ります。当然きった野菜の大きさはバラバラです。それでいいのです。
そうすることで、かってにに崩れる物もあれば食感の残る部分もある。
そうすると沢山のズッキーニを食べても飽きません。塩を最初に入れるのもこのためです。かってに味の濃いとこ薄いとこが出来ます。
 
そんな工夫をしてそれでも食べきれない物は、保存食にします。大体、ソットサーレ(塩蔵)、ソットーリオ(オイル漬け)、ソットアチェート(酢漬け)が基本です。
 
魚介類でも同じ事です。
色んな魚介の加工品がありますが、まず一番にあげないといけないのがバッカラ(塩だら)です。
イタリア全土でよく食べます。数か月以上持ちますので、山間部でもバッカラは食べられます。
 
意外な事に、新鮮な魚がとれるだろう港町によりたくさんのバッカラ料理のレパートリーがあります。そしてバッカラは結構高価です。
実は、イタリア産のバッカラというのはありません。ノルウェー等からの輸入です。ここ最近輸入が、始まったのではありません。大昔から北の海からわざわざ運ばれているのです。
 
そして、バッカラはキリスト教の布教にも使われています。
カトリックは本来金曜日に、肉を食べません。魚をたべます。(魚を食べるのが目的では無く、肉食べたらアカンから魚を食べます)
海から近い人は良いですが、山に住んでる人は、俺ら何食ったらええねん???となった訳です。
そこで、バッカラ登場です。実際、アヴェッリーノとか、べネベントで魚食べると言えば、ほぼバッカラと言って過言ではありません。
 
こんな文化的な食材、使わない訳に行きません。でも日本にはあまりいいバッカラは輸入されていません。
 
ほな、自分で作ろうかーとなって
 
 
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冬の鱈の時期に、馬鹿でかい鱈を買います。でかくないと良いバッカラになりません。
塩蔵の場合、生ハムにしても、バッカラにしても塩によってたんぱく質は火が入った状態に近くなります。
 小ぶりだと、火が入りすぎた状態になってしまいます。
僕の一番好きな食べ方はフリット。次に生。バッカラの生は美味しいです。そしてバッカラマンティカート。
バッカラをペーストにする料理です。
 あと、茹でてサラダもいいですし、ナポリでは軽い煮込みもよくします。
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自家製のカラスミです。去年の秋に仕込みました。以前、九州からボラの卵を送ってもらっていたのですが、他の魚も買ってくれというプレッシャーに耐えきれず、しばらく作っていませんでした。
今回は家島の物が入ったので飛びつきました。兵庫県オタクばく進中です。
 
とにかくカラスミは高い!!!そして当店にご来店の皆様はお気づきだと思いますが、半端じゃない使用量です。削る時も粉にせず荒削りですから。
自家製の場合、原料の卵も高いですが、それでも削る時の気分が少し晴れやかになります。
 
値段はさて置き、自家製の良い所は、好みの塩分と熟成具合に仕上げられるとこです。写真で見てもねっとり軟かそうでしょ?
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こちらは、毎年春にイカナゴで作る、ロサマリーナ。南の赤いキャビアというニックネームがあります。
カラブリアの食べ物なんですが、カラブリアはイタリア一の唐辛子消費地区です。この写真は、イカナゴの色をしてますが、カラブリアのは真っ赤です。豆板醤にシラスが入っている感じ。
そして、長期保存が可能です。
 
ジラソーレのは、辛さも塩分ももう少し手前です。塩からに近いですかね。イカナゴは全く日持ちがしません。
このうちのロサマリーナも1週間くらいでが限度です。でも逆に生だと3日も持たないので、一種の保存食でしょう。
 
このイカナゴのロサマリーナ、はまる方続出で、毎年3月になると沢山のお問い合わせのお電話を頂きます。嬉しい限りです。
 
と、暇さえあればなんか作り続けて、売り上げの割に仕事がやたら多いジラソーレの毎日です。
パート3に続く。

FESTA DI CIGLIEGIO 桜祭り

 今年から収穫祭シリーズをしようと思い、第1回豚祭りに続き、第2回は桜祭りと名付けて開催中です。

まず、ロゼのスプマンテ。1年でロゼワイン、ロゼスプマンテが1番美味しい時期です。桜色してますしね。
不思議と、桜色したものと相性が良いです。

食材のテーマは、貝類、桜肉(馬肉)、桜鯛(鳴門の天然真鯛)です。

貝類は、ミル貝、鬼アサリ(びっくりするくらい身がぱっつんぱっつんです)、サザエ、もう終わりですが坂越の牡蠣、鮑、なんかを取りそろえています。

ミル貝はカルパッチョで麦のサラダと(ロゼスプマンテとサイコーに合います)
鬼アサリはナポリ風ソテーで
サザエ、牡蠣、鮑はウニ、カラスミ、イカと共にパスタ(パッケリ)に

馬肉はメインでご紹介すると敬遠されますが、同じ料理をポーションをおとして前菜にすると不思議な事に大人気。
アスパラとカチョカバッロチーズを巻いてグリルにし、干しソラマメのピュレを添えています。

そして、キングオブフィッシュの真鯛。今回はお好みの調理法でという事で、炭火焼、オーヴン焼、紙包み焼き、グリル、地中海風ソテー等でお出ししています。
飲まれるワインに合わせて、毎回微調節します。また、4名様以上なら半身や、丸一匹での料理は、いかがですか?塩包み焼も人数が集まればご用意できます。

あと、ミル貝のカルパッチョもご予約時(前日まで)にリクエスト頂ければ、赤貝や鮑に変更できます。

桜はピークを過ぎましたが、食材はまだまだこれからです。皆様のご来店お待ちしております。

自家製シリーズ パート1 パン編

 ついに人類は月に足を下ろしました。今年の初めに、僕もスマートフォンを購入しました。

しかし、なんでちゃんとした説明書が無いんでしょうかね?ちょっと前まで只の持ちにくい携帯でした。

努力の甲斐あって、携帯で撮った写真をホームページに載せる裏技を発見しました。まだやり方の分からない方、ご来店時にこそっと声をかけてください。お教えします。

youtubeで、ナポリ風ミックスホルモンの煮込みで検索して頂くと動画もでます。しかしなんであんなに画像が悪いんでしょ?

てな訳で、今回の更新から写真付きでいきます。何回続くか賭けたりしないで下さい。
ちなみに、イタリアに4年半住んでいて、僕自身が撮った写真はフィルム一本分ない位です。 オッズの参考までに。

今回から自家製シリーズ?です。自分で作れるものは自分で作ってみる。ウチの店出身者には、世界中どこででも働けるようになりなさい、と言ってます。技術者の特権です。
場所と、環境が変われば当然食材も変わるし、手に入らない物もあります。あきらめずに解決する方法の1つが自家製です。

まずはパンから。

 

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ただ今当店で焼いているパン4種類です。これ以外で突き出しのタラッリ、メニューによってはブリオッシュ、ピッツァ系も焼ます。
 
あと、玉ねぎのパニーノ、パニーノナポレターノ、ゴマパン、松の実とレーズンパン、玉ねぎとオリーヴのパン。。。
 
オープン当初から、惣菜パン的な物をずっと出してきまして、評判も良かったのですが、皆さんパンを食べすぎて料理が食べきれなくなる事が多く、止めました。
 
イタリア料理におけるパンは非常に重要です。料理やワイン同様、パンも地方ごとに特色があり、その地方のパン、料理、ワインと揃って初めて地方料理が成り立ちます。
 
ナポリ料理食べながらバゲットやクロワッサンは、合いません。しっかりした味付けの料理を食べ、しっかり焼き込んだかたく、モチモチしたパンを食べると口の中がニュートラルになり、また次の一口に手が伸びます。
パンを食べすぎるとお腹が一杯になりますが、パンが全くないのと、パンが適量あるのでは、パンを全く食べない方が料理もあまり食べれません。
 
あと、パンにオリーヴオイルやバターを付けるのもマナー的な事で無く本来の料理とパンを一緒に食べる美味しさを損ないます。
 
皆様、家庭のご飯のおかずで1番好きなおかずを思い描いて下さい。チンジャオロースーでも、生姜焼きでもすき焼きでもなんでも結構です。
その1番好きなオカズの日、ご飯が炊きこみご飯なのと、好みの炊き具合の白ご飯とどちらがいいですか?
もちろん好みの問題ですけど、僕は白ご飯の方がいいです。
 
パンも同じで、美味しい料理の汁(別鍋で作ったソースでなく、その料理の汁、煮汁、焼汁、焼脂をイタリア語でス―ゴと言います。)とパン。
至福です。
 
パンにオリーヴオイルやバターも美味しいですが、オカズとご飯を食べるように料理とパンを食べてみてください。
 
このパンはそのための、その美味しさに狙いを合わせたパンです。

 

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オープン当初から定番のパーネナポレターノ。プレーンタイプとアニスシード入りがあります。アニスシードは苦手な方もたまにいますが、非常に個性的な美味しさがあり、またアニスは生地の発酵を助ける性質があるらしく、昔ながらのパン屋では、アニスを入れてる所が多いように思います。
 当店のパンは、ヨーグルトで起こした100%自家製の自然発酵種です。当店を卒業するスタッフには暖簾分けの様にこの天然酵母を持たして、店創りの基本にしてねと言ってます。
どんな料理のアレンジをしようと、ワインが飲める、パンが欲しくなる。これだけは外したらアカンでーとも。

 

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最近の新作かつ超お気に入り、アルタムーラ風プーリアパン。小麦でなくセモリナです。焼き立てで無く、1日熟成させてから皮目を炭火で焼いてお出ししています。セモリナはアルタムーラ産、酵母も自然発酵、足らないのは石窯だけです。

 

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南イタリア料理をするのに欠かせないフリセッレ。元は船乗りが航海に持って出たカチカチに乾燥した保存性の高いパンです。しかもネズミ等に食べられないようロープに吊るして保存していました。その名残で、今でもロープが通せそうな穴あきパンです。
 
このままだと硬すぎて口が切れる程です。昔の船乗りは海水につけて、ふやかして食べていました。
いまでも、水につけて少し柔らかくしてからトマトを乗っけたり、そのままスープをかけたりします。
 
フリセッレの魅力は、水分を吸って柔らかくなった所の素朴な粉の美味しさと、その吸った水分の旨味、そして何より柔らかくなった所と、まだ固くカリッとしている所のコントラストです。
 
ケロッグに牛乳をかけて直ぐ食べると一体感が無いし、置いとき過ぎるとブヨブヨで気持ち悪いですよね?
カリッ、グニャが入り混じる所が美味しいと思うのですがフリセッレもそれに通じます。
 
料理と同じウエイトでパンに取り組んでいます。好きなのもありますが老後はパン等の粉モンで生計を立てたいと小さな夢を持っています。
 
と、こんな感じで第一回自家製自慢大会パン編を終わります。

 

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