芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

tel 0797-35-0847 open AM11:30~PM2:00 PM6:00~PM9:00 (L.O)

COLUMNコラム

冬のジラソーレ

ジラソーレ
 
イタリア語でひまわりです...
 
なんかこの時期Tシャツで歩き回ってる気がする位、季節感のない名前ですね。
 
チューブもサザンも夏ってイメージですが、サザンはそれだけで終わらなかった訳ですね。
 
僕も夏しかお客さん来なかったら困りますので、冬場も大いに頑張ります!
 
 
それはそうと、よくなんで店の名前をジラソーレ、ひまわりにしたのか聞かれます。
照れくさいから適当にお答えする事が多いのですが、真相を教えましょう。
 
 
僕は料理人でありたい前に、非常に独立心が旺盛でした。
自分で商売がしたい。
親父が商売をしていた事もきっと関係あるんでしょうね。
男は親父を抜きたがる。
そして親父には料理人になるの、結構反対というか、馬鹿にされてましたから。
 
...ですので、修行中も勝手に(頼まれてもないのに自らという意味で)原価計算して、働いてた店の家賃とか人件費も大体は分かっていたから、現状これくらい利益出てるんじゃないかなー位のシミレーションは20代前半でしてました。
その計算の精度がどうだったかは別として、オーナーシェフやマネージャーと話すときも、意識して数字を絡めた話をしていました。
 
だからか、年齢以上に責任のある仕事をさせて頂いてたと感謝しています。
 
と、同時に自分の店の名前何にしよーとか、どの地域に店だそーかとか、延々妄想していました。
そうする事が日々の激務に耐えるモチベーションだったと思います。
 
特に店名はイタリアに修行に行く前、ずーっと考えてました。
多分、一番多くの時間を費やした考え事だったかもしれません。
 
イタリアに行く前、日本でPEPE(ぺぺ)というイタリアンで働いていました。
日本語でコショウですね。
 
ある日シェフに、何でお店の名前ペペにしたんですか?
と質問したら、1秒も考えることなく
 
日本語で、山椒は小粒でぴりりと辛いって言うやろ?
最初の店は、ホンマ小さな店やったけど山椒みたいに存在感のある店になるようにって付けたんや。
山椒は西洋料理やったらコショウかなーと思って。
 
とのお答え。
 
へー。日ごろずっと怒ってばっかりの師匠も、そんな事考えて店開けはったんやなーと、ちょっと感動し、ちょっと師匠との距離が縮まった気がしました。
 
あと、もう一軒非常に憧れてたお店、スペイン料理のドス シバリス。
大阪のエルポニエンテの小西シェフが昔シェフをしていた所。
ドス シバリス。
二人の快楽主義者。
 
もはや映画のタイトルですよ。
 
この二軒のお店の名前より、僕的にかっこいいのをずーっと考えていました。
当然、決まらないまま更に時間は経つのですが、イタリアに行ってあまり考えなくなりました。
 
イタリアのお店って、店名全然凝ってないとこばっかりなんです。
 
1番多いのオーナーの名前由来。
 
次が、立地由来。
川の近くとか、橋の近くとか、角にあるとか。住所の番地がそのまま店名なのも結構あります。
 
イタリアにはHANAKOやあまから手帳、東京カレンダーみたいな情報誌が日本ほどありませんでしたから、
お店が有名になるには、その店の得意な事、もしくはこれをするために店を始めたという商品を、流行廃れ関係なく淡々と、でも情熱をもって皆さんやってらっしゃいました。
 
なんか店の名前ありきみたいな考え方だった自分が少し恥ずかしくなり、自然と考えなくなりました。
 
イタリアで働きだし、四季の移り変わりを2回経験した頃から、料理における必然という事に心奪われていました。
必然性は大部分、科学的、物理的に説明できます。
でも、料理に至っては説明しきれない部分もある。
でも、多くの人はその必然性に美味しさを感じ、伝統料理という形で今も残っている。
例えば
ナスのあく抜きに何故あら塩を使うのかは科学的に説明できますが、カプレーゼ(モッツァレラチーズとトマトのサラダ)の組み合わせの美味しさの説明は、仮に科学的な説明をされてもあまり意味のない説明です。
日本でカプレーゼ食べて、美味しーと思った事あります?(組み合わせの妙として?)
 
これは料理における必然という事を本気で考え出したきっかけでもあります。
 
僕はナポリで働いていたので、モッツァレッラは常に身近でした。
最上級の物から手頃なものまで、色々使ってきました。
 
ある日、ナポリでモッツァレッラの試食会に参加する機会があり、ワインの試飲(試飲会のような楽しい感じでなく、テクニカルシートの制作の様にアカデミックな感じ)
の様に、モッツァレラを試食しました。
 
美味しいという言葉を使わず(勿論個人的好みも抜いて)、それぞれのモッツァレラを評価、表現していきます。
やってみると凄く難しいんですよ。
モッツァレラってみんな好きですよね。でもモッツァレラの美味しさってこんなに、ある意味単純で、個性的とは言いにくいのか!!!と思い知らされました。
 
ちょっと誤解を招く文章かもしれませんが、それくらいモッツァレラの美味しさって奇跡的なバランスと鮮度(乳の香り)の美味しさなんです。
 
参加者みんな困っていると、講師の方が一言、
ちょっと酸味、酸を探して食べてみて下さい。
 
すると、皆、おおーとざわめきました。
 
普通、傷んでも無い限り、モッツァレラを食べてそんなに酸味がどうこう言いません。
でも、そう言われて食べるとモッツァレラ構成している味で支配的なのは酸なんです。
決して酸っぱくないですよ。
でも、酸なんです。
 
そのあと、モッツァレラを何通りかの食べ方で試食しました。
 
なんかね、改宗した気分でした。
 
まず、ナポリでモッツァレラ前菜で食べるとしたら、
そのまま、
もしくは生ハムと一緒に
もしくは、カプレーゼ
 
と言ったとこですか。生で食べるの前提です。
 
そのまま食べるさい、ナポリではホントそのまま食べます。
オリーブオイルとかかけない。
 
多分一番人気、生ハムとモッツァレラ。
組み合わせとしては究極だと思います。
それぞれがそれぞれを倍以上美味しくする。
 
そしてカプレーゼ。
カプレーゼって、別に美味しいとかどうとか、コメントするものじゃないと思っていました。
まあ、こんなもんでしょって。
 
その試食会でも、特にカプレーセで盛り上がることなく、あーええ勉強になった位で帰ったのですがその数日後、カプレーセに説教されました。
ナポリにクオーレディブエという品種のトマトがあります。
生食の最高峰です。
 
これもね、モッツァレラと一緒で美味しいという言葉使わずに表現すると、表現しきれないんです。
甘みも酸味もどちらかと言えば控えめ。
でも香りは夏のぱぁーっとした胸がすっとする香り。
 
このトマトに、塩とオイルをかけると変身するんです。
そうなんです。このトマトはトマトサラダの最高の材料であって、そのままかじって最高なトマトではないのです。
これとモッツァレラを合わせたカプレーセって?!鳥肌が立ちましたよ。
あ、カプレーセの着地点はこれだって。
カプレーセといえども、全ての条件が揃うと凄い事になるんですよ。
 
 
この経験で更に料理にのめり込みます。
寝ても覚めても料理の事ばっかり。
 
そんな頃、トスカーナに行く用事があり、電車に乗っていました。
トスカーナはひまわりも有名で立派なひまわり畑があります。
 
丁度電車でひまわり畑を通った時、そのあまりの美しさにしばし見とれてたら、更にビックリ。
ひまわりってホントに太陽の方向向いてるんですね。
広大なひまわり畑のひまわりがみんな太陽の方を見ている。
 
そのひまわりに僕は心奪われてるのに、ひまわりは僕のことなどお構いなしに太陽を見つめ続けている。
その憧れから自らの姿まで太陽に似せて。
 
料理以外で感動する事なんてほとんど無いなか、花の美しさに感動してる自分に気付き、そしてちょっと自分とひまわりがダブりました。
僕もイタリアとイタリア料理に憧れ、同化しようとしてる。
 
店の名前ジラソーレにしよう。
 
ずっと前から決めてた気分になりました。
 
でも、モッツァレラとクオーレディブエの出会いのような鳥肌もたってました。
 
 
真冬のひまわり、咲き誇っております。
 
 
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エゾ鹿です。
これがエゾ鹿なら、今まで僕が使ってたのはエゾ鹿ではありません。
多分エセ鹿です。
 
結局、テクニックとかなんとかって食材の質から外には出ないです。
 
久しぶりに興奮しましたが、同時に凄まじい虚無感にも襲われました。
 
 
店中、全てこのシカのレベルであるべき。
 
はあー、まずは掃除と鍋磨きからだと本気で思いました。
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久しぶりに緊張する食材。
 
僕に扱いきれるのか?
 
掃除しながら端肉を炭で焼いてみました。
 
妬けました。
 
むしろ鹿に焼かされました。
 
食材の声が聞こえる?
 
怒鳴り声ですね。
 
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筋の多いところをラグーに。
 
普通はワインやスパイスなんかをしっかり使いますが、通常の半分も入れませんでした。
 
これも鍋の中から指令が聞こえます。これ以上ワインいれたらシバくでーって。
 
肉を炒めだすだけで、既に官能的な香り。
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先ずはパスタソースとしてパッケリでお試し。
 
トリュフなんか乗せてますが、正直いらないですね。
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カルパッチョもこの無言の鹿肉に作らされたようなもの。
 
僕らしくない仕立てに見えるかも知れませんが、食材の声です。
 
その分間違いございません。
 
ビーツとヘーゼルナッツと柿。
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フィレなど比較的熟成の早いとこから早速ステーキ。
 
野生のウイキョウと鹿の骨筋を煮出したソース。
 
赤ワインソースに見えますが、ウイキョウと鹿の橋渡し程度です。
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シカに説教され、なんだか分からないけど、メンドクサイ料理しなきゃ!と思い、手作りのクスクス。

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魚介には大胆になれる僕。
カサゴ20匹使ってブロード。
クスクスにぶっかけます。
勿論裏ごして!
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クスクストラパネーセ。
 
シカに奮い立たされたように、こいつで皆様を奮起します!!!!
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今年は沢山の丸焼きの機会を与えて頂きました。
 
僕の夢の半分は叶ったのかな。
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この肩とかですね、包丁なしで引きちぎれます。
 
するとポーッとする香りが中から。。。
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炭火で皮をちょっとパリッとさせましょ。

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取り合いになるので、厨房で分けます。
確かに一番美味しい部位ですが、ここだけだとすぐ飽きます。
 
色んなとこ混ぜてお出しします。
 
これから年末にかけて忘年会などでもどうですか?半頭もできますよ?
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ライチョウ。
こいつは別格。
僕一番好き。
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ナポリ料理の食材ではありませんが、僕らしさは表現できてると思います。

クリスマスと年末年始の営業のご案内、 年末恒例イベントと、 お正月用オードブルとナポリ風ラザニア、カ

もう年末ですよ。
急に焦ってきました。
 
皆様の中にも焦ってらっしゃる方がいると思いますので、まずは  
クリスマスのご案内
 
12月22日(日)   クリスマスランチメニュー 5250円 (12:00スタート15:30閉店) 
             クリスマスディナーメニュー 10500円 (18:00~お好きな時間で L.O 20:30)  
 
12月23日(月祝)  クリスマスランチメニュー 5250円 (12:00スタート15:30閉店)  
             クリスマスディナーメニュー 10500円 (18:00~お好きな時間で L.O 20:30) 
 
12月24日(火)   ランチ通常営業                                  
             クリスマスディナーメニュー 10500円 (18:00~お好きな時間で L.O 20:30)
 
12月25日(水)   ランチ通常営業                                  
             クリスマスディナーメニュー 10500円 (18:00~お好きな時間で L.O 20:30)
 
ランチ、ディナーともにクリスマスメニューは税込、サーヴィス料別途5%です。
 
 
要予約クリスマスディナー
 
前菜と魚介料理
 
・スッポンとポレンタ スッポンのコンソメと共に
・瀬戸内の天然ヒラメのタルタル すりおろしたアワビ添え
・鱈の白子と卵の土鍋焼き 白トリュフクリーム風味
 
プリモ 2種
 
・トラフグとアーティチョークのアクアパッツァのリゾット
・イノシシの赤ワイン煮込みで和えた極太手打ちスパゲッティ 黒トリュフ風味
 
メイン
・エゾ鹿のソテー イタリア産の栗とレンズ豆のソース フォアグラ添え
 
デザート 2種
・エストラゴンのジェラート ホットココアのアッフォガート
・シチリア風カンノーロ
 
食後のお茶
 
10500円(税込)
 
 
クリスマスランチメニュー
 
前菜
・ノドグロのタリアータのコラトゥーラ風味 キャベツ添え
・ウナギのトマト煮 柔らかいポレンタ添え
 
パスタ
・当店名物!潮の香りのパッケリ
 
メイン
・エゾ鹿の赤ワイン煮込みのパイ包み焼き
 
デザート
・アツアツのリンゴのロールケーキのグラタン ヨーグルトのジェラート添え
 
5250円(税込 別途サービス料5%)
 
 
 
 年末の年始のスケジュール
 
26日 ランチはお休み   ディナーのみ営業
 
27日 ランチはお休み   ディナーのみ営業
 
28日 ランチは通常営業  ディナーはイベント営業
 
29日 ランチ通常営業   ディナーはイベント営業
 
30日 ランチはお休み   ディナーはイベント営業
 
31日 オードブル、ラザニアのお渡しのみの営業  14:00-18:00
 
2014年
 
1月1日  お休み(2014年から定休日が水曜日になります)
1月2日 ランチ 3150円   ディナー 6300円のコースをご用意して営業いたします。  
1月3日 ランチ 3150円   ディナー 6300円のコースをご用意して営業いたします。 この2日間はアラカルトはご用意しておりません。
1月4日のランチより通常営業いたします。
 
 
 
お正月(年越し用)オードブルの盛り合わせとナポリ風ラザニアの販売のご案内
 
ナポリでは、大晦日に家族や友人が集まってどんちゃん騒ぎをします。
その騒ぎ方や、尋常ではありません。
毎年、死人が出ます。
ホントの話です。
 
そこまでしなくていいと思いますが、年末の開放感は格別です。
 
後片づけも忘れて楽しんで頂こうと、ジラソーレからのご提案です。
 
オードブル 
料理8品前後(前菜的な物、お酒のアテ的な物、メインっぽい物等盛り沢山!!)
1人前4200円 2人前から承ります。
 
ナポリ風ラザニア 
一人前1600円 2人前から承ります。
 
シチリア風カンノーロ (ドルチェ)
1つ 350円
 
11月09日からご予約受付開始致します。
 
31日の14時から18時の間に当店に取りに来て頂ける方のみの販売です。
 
よろしくお願いいたします!!!
 
 
告知
28日、29日、30日のディナーは毎年恒例、暴飲暴食イベントを予定しております。
すでに参戦希望者続出!!!
 
今年も又やりまっせ―!
28日、29日
魚祭り
 
前菜から魚介類盛り沢山!
魚好き集マーレ!
パスタも魚介、メインも魚介!
でも最後は太っ腹にビステッカ出しまーす。
そして〆にアリオオリオぺペロンチーノ!
 
挑戦者募集中!
8500円ウェルカムドリンク付き(税込、サーヴィス料5%別途)
 
 
お腹がはち切れんばかり料理出します。僕もストレス発散します。
救急車別料金です。
 
 
 
30日
肉祭り
 
前菜はちょっと魚介も出しますが、もちろん肉の前菜も!
ジビエも使います。
パスタはもちろんラグー系。
なんか丸焼き的な物もします。
こちらもまだ食べれる猛者にはアリオオリオぺペロンチーノ無料サーヴィス!
今年あった嫌な事、やけ食いで晴らして下さい。
消化した頃にはすっかり忘れましょう!!!
9500円 ウェルカムドリンク付き(税込サーヴィス料5%別途) 
 
ジラソーレと皆様のフードファイト、年末デスマッチです。
救急車別料金です。
 
3日間とも6時30分会場
7時スタートです。
 
ご予約お待ちしております。

よっしゃー!これでどうでしょう??

 今年の夏は暑かったですね!
この台風フィーバーもそのせいらしいですね。
 
漁師さんは勿論、農家もえらいダメージ受けてます。
 
暑さのダメージは野菜だけじゃなさそう。
八月下旬から9月上旬に屠畜された去勢牛が、中々いつものレベルに達しない。
 
先月号のあまから手帳のビステッカ特集で大きく紹介して頂いたのに、9月中はあまりお出しできませんでした。
 
でも、また勉強になりました。来年からは夏の間、北の産地の肉を探そう。
 
実際8月中下旬に来た牛肉は、北海道産でこの時期では群を抜いて良かった。
 
もうそろそろ抜群の肉が来るはず。
 
あまから手帳さんのおかげで、沢山のお問い合わせを頂きながらビステッカをご用意出来ませんでしたが、納得できない質の物を、期待してお越しになられる方に出さない勇気を持てた事も良かったと思います。
 
 
 最近、立ち止まる大切さに気付きました。
突っ走る性格ゆえ、色んな事を見失いがちなのかもしれません。
 
突っ走るのを止める訳ではありません。
ただ、時々立ち止まって、向かっている方向が正しいか確認しないと。
 
今の政治みたいになってしまう。
 
ずっと、より良い店作り、より良い料理を目指して来ましたが、どんなにお客様の為という大名義でも突き詰めすぎるとヒステリックになります。
何十年も続く名店は、生き残ったタフさと時代に合わせるあそび(柔軟性)、そしてその店独特の緩さみたいなんが、ある気がします。
その店のペースと言っても良いかも知れません。
 
ここで、これからも突っ走る宣言をいたしますが、これからはあくまで自分のペースで突っ走ろうと思います。
現代の世の動きや、流行すたれの速さ。
もうこれには、ついて行くの無理でしょ。
 
今までもそんなに気にしすぎて生きて来た訳ではありませんが、今後全く気にしません。
この速さを心地よく思っている人類なんて、居るはずありませんから。
 
人間としても、料理人としても、店づくりも自然体でいたい。
 
僕はガツガツした人間ですし、ギラギラしていたいし、もっと料理も上手くなりたい。その努力は惜しみません。
 
でも、全てのニーズに応えるとか、時代を先読みするとかはもういい。
どんどん自分らしくなくなります。
 
価格.コムや食べログみたいに常に比べたり、比べられるのに慣れると、どうしても平均化しがちです。
 
良く個性を伸ばすだとか、個性を生かすと言いますが、僕は疑問に思っています。
個性ってどんな環境下でも、どんなに抑制されても滲み、溢れ出てくる物ですよ。
 
そろそろ本気で殻を破ります。きつくて仕方ない。
この殻はきっと、世の中から身を守る為に自分で作った殻なんです。
でも、もう要らない。
 
例えば、一昨年あたり狂ったようにジビエをしてました。
今思えば、ジビエで武装してたようなものです。
 
ナポリはそんなにジビエ食べません。
イノシシ位かな。良く食べるの。
 
でもジビエの時期にジビエしてなかったら、なんかイケてない店に思われるかな?とか料理人としても、このままあまりジビエを調理せず人生過ぎて行くのも抵抗がありました。
 
結論的には色々やってみて良かった。
すごく楽しかったし、すごく勉強になったし、すごくジビエが好きになりました。
で、コンプレックスも無くなると無理に絶対しなければならない物では無くなりました。
 
今年もしますよ。
でも、ジビエ料理すんのと、イワシ料理するのに差がなくなりました。
どっちも楽しいし、難しいし、やりがいがあります。
 
世の中のジビエに対する価値観を押し付けられる強迫観念からの脱出。
僕自身もトリュフ好きだけど、トリュフ無くても全然困らない事に気づいてからのトリュフの使い方。
うん、自然体です。
 
 
塊肉を焼くマイブームも決して終わっていませんが、お一人様には無縁な料理で、またお一人様の常連さんどんだけいるねん??と立ち止まったらこんな塊ばっかりのメニューはダメだと、痛く反省しました。
 
でも何とか、お一人様にも塊的なお肉を食べて貰いたい。。。
 
でも、そもそもその方は塊肉に興味あるのか?
何を求め来て下さるのだろう。
 
またある人は、何を求め、期待して2週間も3週間も前から予約して下さるのだろう。
そして何故料理もおまかせにして頂けるのだろう。
 
と思えば、どんなスイッチが入って今から10分後いけますか?と電話を下さるのだろう。
 
 
非常に高い位置で、平均化と言いますか皆様に同じ物(同じ質の物)をお出ししようと頑張っていますが、かなりの無理が生じます。
 
でも解決方法が見つかりました。同じ物が無理でも同じレベルの物はお出し出来るはず。
 
21年イタリア料理してますのでレベル21としますと、前もってご注文頂いた特別料理もレベル21なら、アリオ、オリオ、ペペロンチーノやカルボナーラもレベル21です。
むしろ何千回と作ってきたベーシックな物で、衝撃を与える自信がある。
 
それが21年間、体調悪い日も、失恋した日も、交通事故で救急車で運ばれた日でさえも、休まず働いてきた僕の財産じゃないかと思います。
 
急なご予約、ご来店も大歓迎。
HPに乗ってるメニューはもしかしたら売り切れてるかもしてません。
でも代わりに、カルボナーラや、ペペロンチーノ、ポモドーロなど等、なんか作ります。
21年毎日現場で最前線にいる僕のポモドーロ、そして僕のジビエなりそれなりに仕入れから苦労してる特選食材を朝から、下手したら前日、前々日から仕込に掛かってる料理。
どっちも僕の料理で、嘘偽りのない僕の履歴書です。
 
常に気軽に来たい方、常にお気軽にお越しください。
常に前もって予約し、多大な期待を抱く方、これからも前もって予約頂いて、多大に期待してお越しください。
常にオーバーアチーブ目指します。
 
今後の展望として、アラカルトをもう少し充実させます。
レストランの基本、食べたい物を食べたいだけどうぞ。
 
そしてコースはよりコースとしての完成度と楽しさをアップさせます。(予約制になります。)
ざっくりとふたつのテーマをご用意します。
 
1、南イタリアの地方料理のコース (実際イタリアに行かないと中々食べれない物多数。)
2、ジラソーレ流、特選食材を駆使した南イタリア料理 (世界中ジラソーレでしか食べれません)
 
ご予約の時にお好みやリクエスト(例えば、ディープな南イタリアの地方料理が食べたいとか、お祝いの席なのでちょっと華やかな料理がいいわね等)、勿論食材のリクエストもお応えできるだけお応えしながら、内容はおまかせ頂こうかと思っています。
 
これが一番自然体で全力疾走できるんじゃないかなー??と思います。
 
 
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 10年位作っていますこの料理、ウナギのトマト煮 柔らかいポレンタ添え。
お越しいただいた方皆様に召し上がって頂きたい。
 
色んな思いと試作と情熱と失敗の上に君臨する、僕の自慢料理のひとつ。
 
イタリア料理らしい料理が食べたい方には、こんなのを地方料理のコースとして紹介したい。
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写真がイマイチですが、秋のジラソーレの温かい前菜のスペシャリテ。
蒸しアナゴとフレッシュポルチーニのズッパ ガットーディパターテ添え。
 
加熱したアナゴと加熱途中のポルチーニに香りの共通点を感じて閃きました。
 
スープのベースだけでも3種類の出汁を使います。
 
ガットーディパターテはジャガイモのピュレに、モッツァレラやスモークチーズ、ハーブ、サラミなどの詰め物をしてオーブンで焼いた料理です。
 
この三つが皿の中で、寄り添いあい、引き立て合い、口の中でオペラをシャウトします。
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南イタリアのプーリア州のソウルフード、干しソラマメのピュレ。
 
こいつに青菜と玉ねぎを添えると、それはそれは洗練された味になります。
 
チャチャっとイカの新子のグリル添えたりなんかしちゃって。
 
こんなんも伝統的な料理ですし、イカを添えるのがジラソーレらしい。
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見た目はちょっと地味ですが、食べると超ゴージャス。
瀬戸内特大渡り蟹の手打ちストラッシナーティ。
 
渡り蟹のパスタって美味しいけど食べにくい事多くないですか?
当店は厨房で身をほぐします。
 
ほぐしますが特大なので、フレークになりません。身にソースがしみこみ過ぎず、蟹の甘さが残ります。
ジラソーレコースに入れていきます。
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丹波の鹿。本州鹿です。
シカ臭いと思ってる方。
間違いです。
 
牛肉の方がよっぽど臭いですよ。
 
エレガントの極み。
 
お嫌いでなければジラソーレコースで使っていきます。
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地方料理のメインなら例えば、ヨーロッパ産乳のみ仔羊の炭火焼き、スコッタディート。
あと、どちらのコースも当店自慢の子豚のオーブン焼きをドンドンご提案します!
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ナポリで大人気のパスタ入りミネストラ。
僕、この手の料理ナポリでみっちりしごかれましたので、無茶苦茶得意です。
 
この手の料理が得意だった世代はナポリではほとんど現場から引退してます。
 
謙虚に申し上げますが、ナポリでもこのレベル中々食べれません。
 
イタリア人泣かす自信あります。
 
こんなんも、おまかせじゃないと、中々選んで頂けない。
 
この手のパスタをお出しする時は、必ずパスタ少量で二品出します。
もう一品はオーソドックスなパスタをお出しするようにします。
 
地方料理のコースで
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惣菜的なパイやらピッツァみたいなんも、結構得意。
 
コースのアミューズで出して行こうと思います。
 
こんなんは両コース共有。
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ラヴィオリもね、中々選んで頂けないのですよ。
 
レストランならでは。もっとこんなん食べましょ。
 
もっとこんなん作る機会が欲しい。
 
余っても、次の日使いません。
となると、食べて貰うの前提じゃないと、中々続けにくい。
 
でも、無理強いするつもりはないです。
予約の時、ラヴィオリとかはあんまり好きでないとか、ドンドン仰ってください。
 
違うもんします。
 
でも試して損はないですよ。
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アーティチョークのスパゲッティとか。

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こんな風にタコの煮込みにパスタ入れちゃったりとか、

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イノシシの煮込みとポレンタとか、

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イノシシと青菜と豆の煮込みとか。。。こんなんでワイン飲みたーい!!!!!

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かと思えば、こんなちょっとおしゃれな前菜から始めて貰ったり。
こんなのは両コース共有でお出しすることも。
 
よりフレッシュな食材を回転させれます。
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タラの白子なんかも使います。ジラソーレコースの冬のスペシャル。

 

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ジラソーレと言えばパッケリ。パッケリと言えばジラソーレ。
パッケリ王子と呼ばれてるかどうかは知りませんが、潮の香りのパッケリ。レジェンドです。
 
ジラソーレコースで。
 
 
最後まで読んで下さったら、結構いらっしゃると思います。どっちものコースからも食べたいもんあるわ。
 
それが狙いです。一回の来店で、一軒のレストラン制覇するのは無理です。
また来てください。
 
もしくはアラカルトで気が済むまで注文してください。
 
死ぬほど色んな角度から、お店の利益、お客様の利益、従業員の負担、料理待たせすぎないか等ホント考えまくりました。
 
取りあえず現時点で、これがベストな気がします。
 
このシステムに近いうちに代わります。
 
地方料理のコースは、5800円、6800円です。品数がお値段で変わります。5800円は食の細い方ようにご用意いたしました。
 
ジラソーレコースは、6800円、7800円です。 品数が変わります。6800円は食の細い方ようにご用意しました。

 

イタリア好き

不満量一定の法則というものがあるそうです。
 
人間、個人個人でその不満量というものは違うらしいのですが、必ず一定の不満を抱えたがるという説です。
 
なんか不満があってストレスを感じたり、友達や家族に愚痴ったり、悲劇のヒーロー、ヒロインになった気になったりしてるうちに、その問題、不満が何らかの形で解消されてしまうと、今まで気にもしてなかった事に不満を感じたり、気になって仕方なくなるそうです。
つまり、新しい不満を探してまで抱え込もうとするそうです。
 
これを読んだとき、あー、ホンマや。と思いました。
 
自称、能天気王子、ポジティヴ星人、アスタマニャーナですが、同時にいい歳して、急に尾崎豊並みに世の中に苛立ちを覚える15の夜な僕。バイクは盗みませんが。。
自営業をしていると不満量一定の法則もですが、不安量も一定、または右肩上がりの法則を示しますね。
 
この説に同意する方もいれば、否定する方もいるでしょう。
僕は、中々言いえて妙だと思います。
 
まあ、ある意味人間の本質だったり、ポジティヴに見ればリスクマネージメントと言いますか、危機管理能力といいますか、安泰を良しとしない本能の表れなんでしょう。
 
もし、嫌でも不満量が減らないのが性なら、でもそれに支配されず楽しい事、ワクワクする事も一定量以上持ち続ければ人生±多分プラスやなと気づいた39歳の秋。
 
で、僕は何が好きなんや?と自問自答。
 
料理と女性。
 
で、気づきました。だから上手い事行かないんやと。
勿論料理止める訳でもなければ、男色に走る訳じゃーありません。
 
ただ、どちらもひじょーに難しい。
 
もっと、考えただけで1秒でワクワクして楽しい気分になれるものは???
 
あ、!イタリアやーん。
もっと言うたらナポリやーん!!
 
と気づいた次第です。
 
いやいや、まだまだ料理を通じてイタリア、ナポリの楽しさ、素晴らしさを紹介、表現できるはず。
 
2,3年前からジビエを良くメニューに載せるようになりました。
 
何でか?
リクエストが多いから。
 
ライチョウ、山鳩、ヤマウズラ...まあ南イタリアではなじみがありません。
それでも料理人として期待されたからには応えたいし、僕自身も多大に興味がありました。
 
勿論、僕なりの南イタリアらしい仕立てを考え、完成度も良いと思います。
 
今年もボチボチ始めます。
 
でも、初めてジラソーレ来たら、タコやイカ食ってください。
ナスや、ズッキーニ、豆各種食べてください。
 
カリフラワー、ブロッコリー、アサリ、ムール貝食べてください。
 
小魚、チーズ、トマト食べて下さい。
 
毎日焼いてるパン食べてみてください。勿論、バターも何も付けず。
 
パスタ、絶対食べて下さい。
余裕があればリゾットも。
 
これからの時期、ポレンタ食べて下さい。
得意です。南も食べますよ。
 
仔羊食べてみて下さい。
皮付きの子豚食べた事あります??
 
普通の鳥も、ウサギも良くメニューに載ってます。
 
馬肉もあるし、自家製ソーセージもモッツァレラチーズ入れたりもしますし。。
 
内臓料理も冬場は大活躍。
 
イノシシ、シカは兵庫県有名です!
 
この上、ライチョウとかってやっぱり不満量一定の法則の先にたどり着いたのかなー?
 
いや、常にオーバーアチーブを目指してた結果だと胸を張りましょう。
 
しかーし、食わず嫌われ者の豆やウサギの素晴らしさを僕はどんだけ伝えれただろう。
 
僕もイタリア行くまでは、豆もウサギも美味しいものだとは思っていなかった。
 
もっと言えば、ポルペッタ(ミートボール)やナスのパルミジャーナ(ナスとトマトとモッツァレラチーズの重ね焼き)の信じられない美味しさを、どこまで広めたかな?
 
塊肉に凝ったのも、イタリアは塊で肉も魚も料理して、大勢で食べる。その美味しさと楽しさに心奪われたから。
今でもその美味しさは自分の店で再現できてるけど、楽しさまではどうでしょ?
 
んーーーー!
なんか見えてきました。
僕の心を奪ったイタリア。
この素晴らしさをきちんと伝えられたら、皆さんだって心奪われるはず。
 
うん。イタリア好き。これは揺るがないな。
 
 
 
 
皆さん、イタリア好きという雑誌があるのご存じですか?
信じられないクオリティーなのにフリーペーパーなんです。
当店にも置いてますので、是非お取りください。
 
雑誌は写真と文章でイタリアの良さを伝えます。
イタリアの豊かさ、かっこよさをもっとも上手に表現してる雑誌のひとつです。
 
目下、この雑誌が僕のライバル。
この雑誌、食と人でイタリアを伝えるのが手法です。
 
美味しそうな家庭料理、地方料理が満載。
ホントに食べたくなる。
 
うちは実際にレストラン。香りもあればホントに味わえる。
こりゃー負けてられない。
 
 
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こんな感じの雑誌です。
当店にいつもありますので、ご自由にどうぞ!
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この焼きたての仔羊のグリルをつまみ食いするオッサン。
イタリア好きに載るオッサンは、決して雑誌レオンには載れませんがこっちがまさにイタリア男です。
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泡アワの料理は写真映えしますが、実は上手に焼けたパンもフォトジェニックです。
 
ウチのパンに似てません?
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この土鍋で煮込むのピニャータと言いますが、肉じゃが見たい。でも絶対ウマイヤろなー。

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ジビエなんかはリクエスト頂いたり、頂かなくとも挑戦していきますが、分子料理やなんやは頼まれても無理。
 
そんな料理ももてはやされてる今日この頃、僕の料理って地味すぎるかなーとちょっとコンプレックスを感じることも。
 
でもこのページを見たお客さんのほとんどが、美味しそーって反応してました。
 
凄い勇気頂けました。
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良くわからないけど、すごい説得力のあるパスタ料理。
こんなん作って行こう!
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馬肉専門の肉屋の写真。こんなん見たら馬使いたなるー!!!

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ここんとこ、イタリアに行けておりません。
でも九州には年に、1,2回必ず行きます。
 
ナポリ野菜の聖地がそこにあるから。。。
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九州行くと必ず寄るのが、博多のアンティカ オステリア トトさん。
ここはシチリアです。
絶句。
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九州行くと、シルビオの家に泊まります。そう、ナポリ野菜を作ってるナポリ人農夫。
 
でも料理もすごく上手。
 
フリットミスト作ってくれた。
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新しいトラクター買ったらしく、自慢されたので頼み込んで運転させてもらった。
 
いっそ小林旭ごっこしようと。燃えるー男の赤いトラクター♪
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シルビオちゃん

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全く関係ありませんが、先日青森県行きましてうに丼食べました。夏休みの日記化していきます。

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青森には、赤穂のさくらぐみさんご一行と、岡山のヤギ使い、ルーラルカプリ農場の小林さんと行きました。
調子に乗ってマグロ丼追加したらこれ。
 
ある意味イタリアな店でした。
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子豚の丸焼き。ジラソーレ作。
こんなんお店で出すようになってんねんなー。
 
もっと頑張ろう。
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僕の中のイタリア料理の名品のひとつ、ナスのパルミジャーナ。
ナスは麻婆かパルミジャーナですね。

夏の料理 いくつかの新作 そして有難い事に絶好調

夏ですよ。
嫌になるくらい暑いですが、それでも夏は夏。
 
テンション上げていきましょう!
 
最近すごーく嬉しい事と、残念な事が同時に続いています。
 
お風呂みたいに混ぜたらぬるくなって丁度いいのでしょうが、僕は敢えて混ぜません。
困難には立ち向かう。嬉しい事には酔いしれる。
 
そんなこんなで、絶好調の日々です。
 
丸焼き、塊熱はヒートアップしてますが、更にその先を考えてます。
今の当面のテーマは、お一人様。
なんでも塊で焼いてたらお一人様のお客様、頼めるもの無いやん。。。
 
結構たくさんいらっしゃるんです。お一人様。
 
 
その件込みで昨日、すっごい良い事思いついたので、少しづつ形にしていきます。
ワクワクしますよ、我ながら!!!
 
長かった人手不足も徐々にですが解消されてきました。
大変やった!!!
 
特に今当店の二番手の黒ちゃんは、大変やったと思います。
でも、すごい成長しました。
 
結果オーライです。
 
ところで、夏野菜ってすごいですね。
年々野菜が好きになってますが、しし唐やパプリカの香りって、この食欲の落ちる時にも胃を刺激します。
結構嫌いな方もいらっしゃいいますが、毛嫌いしないでお試しください。
 
ちょっと料理の写真が貯まったので、最近の料理といくつか新作もあります。ご覧ください!!!
 
 
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南イタリアって秋が短いんですね。。
春野菜、夏野菜、冬野菜どれも非常に豊富ですが、秋野菜って言わないなー。
でも、日本もそうですね。秋の味覚って海のもの、山のものひとくくりで言うなー?!
 
これが歳のせいなのか、はたまたあまりの野菜のクオリティーの高さ故か、ここ数年の僕の野菜好きには目を見張ります。
南イタリア料理はホントに野菜料理が豊富です。面白い比喩が、世界で一番ベジタリアンが太る地域。
 
野菜料理と言っても、味気ない食べてて悲しくなるような品は1品もありません。
見た目は地味でも、食べるとイタリアの豊かさが目に浮かびます。
 
野菜は、単体で主役にもなりますし、また単体で立派なパスタソースにもなります。
更に、肉や魚に添えるとそれぞれの主菜の更に良いところを表現してくれます。
 
今まではコントルノミスト(付け合せの野菜の盛り合わせ)的な事を良くしましたが、最近は付け合せも1種に絞る面白さにも目覚めています。
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アオリイカの新子(稚魚)と夏野菜のグリル 卵とイカ墨のソース
 
これ、非常に評判の良い料理です。簡単にいうと、グリルした野菜と、ホントにさっとグリルしたアオリイカの新子を合わせ、ちょっとエッチな香りのするイカ墨のソースを添えるのですが、間にゆるーい
スクランブルエッグを挟んでいます。これがイカと夏野菜とイカ墨ソースの初対面的なよそよそしさを解決し、サブの食材のくせにかなりの存在感をアピールする、今年の助演男優賞受賞者です。
 
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スルメイカで作ったラグーボロネーゼのパッケリ
 
タコとイカに人生を捧げ、日々イカタコまみれですが、なかでもスルメイカに無限の可能性を感じます。
 
スルメイカは基本的に生で食べません。アニサキスって寄生虫のせいです。ホタルイカやサバなんかにもいますが強敵です。
加熱すれば全く問題ございません。
しかしその恩恵もあります。
イカの中では安い!
日本の魚は刺身での味で値段が決まる節があります。
生で食べないから安い。
勿論漁獲高が多いのもありますけどね。
 
でもって加熱する訳ですが、生食の最強がアオリイカです。しかしアオリイカ煮込んでも全然美味しくありません。さっとグリルとかボイル位。
しかしスルメイカは違います。凄まじい出しが出ます。
あまりにも凄い出汁なので、他の魚介とは一緒に煮込めません。
すごくケンカします。
大方ケンカにならない位スルメイカが勝つのですが、スルメイカの良さが濁るのでタブーです。
 
しかーし、野菜とは相性抜群。あと、油脂分との相性もいいですね。
旨さが肉に近いと言いますか。
 
という事でスルメイカをミンチにして、スルメイカでラグーボロネーセしてみました。
激ウマ。
このしょぼい写真は乗せたくない位。
のけぞりますよ。
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詰め物をした旬のムール貝 フレッシュなヤギのチーズ風味 ズッキーニのピュレとガットーディパターテ添え
 
この夏の新作のなかでも、お気に入りの一品&オーダー通ると超大変な料理。
ジラソーレの料理って見た目地味なんですけと、メンドクサイ仕事満載。
上のスルメイカのラグーも鍋3つ使って最後合体、更にオーダーごとに。。。。てな具合です。
 
よく、何故頑なにオーダーはテーブル単位なのと質問されますが、今の料理をするなら無理なだけで、例えばテーブル4人がそれぞれ別々の
ものをチョイスしてそれが同時に出るのが一番大事ならそのシステム自体は可能です。今と同じ料理はできませんが。
そして、4品中2品僕が作ればいい方です。後の2品はスタッフが作ることになります。
どちらが贅沢かはお客様の価値観ですね。今は全品僕が作っています。
 
こちらは、オーダーごとにムール貝を牡蛎を開けるように生で剥いて、ムール貝に若いペコリーノチーズを詰めます。
ムール貝から出た汁とトマトでソースのベースを作りそこでムールに火を入れます。
 
お皿にズッキーニのピュレを盛り、これまたオーダー毎に焼き上げるガットーディパターテ(裏ごしたジャガイモにサラミ、パルミジャーノ、モッツァレラ等を混ぜ込んでオーヴンで焼いたもの)
を乗せ、ムール貝を盛りそのソースにヤギのチーズを溶かし込み。。。。
 
書くと長いですね。手間かけた分美味しいです。手間かかってるけど、最終的にはシンプルなんですよ。
ナポリのサルトリア(仕立て屋)と同じ。手仕事。機能的。そして他では満足できなくなる。
そんな仕事に憧れます。
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超シンプルかつ夏のアイドル?ナポリ風トリッパと豚足のサラダ。
 
この前これ注文した常連さんが、サラダって葉っぱ全く入ってないやんと苦笑いしてました。
 
西洋料理的には、サラダは必ずしも葉野菜ではありません。野菜ですらない事もあります。
 
そんな事は大した問題ではありませんので、さっと流しておきましょう。
 
当たり前ですが、内臓系お好きな方から絶大に愛される一品です。
内臓系≒こってりというイメージを完全に裏切る料理。
 
超シンプル。味もホントにクリーンでクリア。体が綺麗になる気がします。
しかし。。。
 
最もうんざりする仕込ワースト3に必ず入る料理です。
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生の国産トリッパ。
未掃除
未漂白
 
一般的に流通してるトリッパは大体冷凍の輸入もので、業者の方で漂白済です。
どんな薬品で漂白するかは知りませんが、漂白します。砂糖やマイケル.Jもそうですね。
 
この写真では分かりにくいですが、自然な生のトリッパは真っ黒です。おっさんが履く、濃いグレーの靴下みたいな色です。
左が掃除した後、右が掃除前。
この写真は光の加減か、右側も色白に写っていますが実際は絶望的に真っ黒です。
 
では、どないして掃除するか???
簡単です。
下茹で後、たわし、歯ブラシ、ヘアブラシ、デッキブラシ、アメフラシ、ありとあらゆるものを使って擦り取る。
以上。異常と書いた方がいい位面倒です。
これは僕の仕事。こんなん、従業員にさせたら一発で辞めますから。
 
いかにも楽しそーに、時には鼻歌交じりでやります。
そうするとたまに、馬鹿な奴が、シェフ、それ教えて頂けませんかと来ます。
魚釣れた時と同じ喜びですね。
と、同時に僕のドSスイッチがオンになります。
 
「良いけど、難しいで?洗い方で味が決まるようなもんやからな!大丈夫か?まあ、どうしてもやってみたかったら
やったら良いけど、1つだけ条件がある。途中で絶対に俺に代わってくれと言わない、且つ今後永久にお前の仕事やけど、やってみるか?」
 
「ハイ、シェフ!ありがとうございます!!!」
 
最近こんなバカ(良い奴)がめっきり減りました。
 
腱鞘炎になりながら、まだ僕が洗ってます。
 
もうすぐ黒ちゃん釣れそうですけど。。。
 
従業員はHP見たらあかんというルールを作らないと。
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渡り蟹とフレッシュポルチーニのフリッタティーナ
 
ナポリ料理の魅力の一つに、食文化の幅という観点が挙げられます。
 
昔はナポリ王国、両シチリア王国といった王国でしたから、宮廷料理も発達してますし、超庶民料理もピッツァ、パスタを筆頭に世界中の人々を魅了しています。
昔だったら、貴族は貴族的な食事しかしませんし、庶民は今日もコロッケー明日もコロッケー♪の様に、パスタ、ピッツァに明け暮れてた訳です。
 
この料理はフリッタティーナと言ってナポリのストリートフードが原型です。
タコ焼き位のポジションですかね。
 
簡単に言うとパスタのフリット。ベシャメルソースで和えたパスタを揚げてます。
 
この超庶民的な食べ物をよそ行きにオメカシしました♡
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淡路 由良の赤ウニと卵黄と自家製カラスミのスパゲット
 
夏のジラソーレの看板パスタ。
またの名をプリン体のスパゲット。
 
ああ、プリン体。
なんと魅力的で退廃的なんでしょう。
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こんなさわやかな料理もあります。
 
明石の昼網のさわらのタルタル 冷たいトマトのスープ仕立て。
 
鉄板です。
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至る所に卵をほり込んできます。
 
マナカツオの卵包み焼き
 
ジラソーレのスペシャリテの一つにウサギの卵包み焼きというのがあります。
もとは、このマナガツオで始めました。
 
マナガツオは非常に美味しい魚ですが、火入れのレンジが狭い。
ドンぴしゃに焼くとものすごーくふわっと焼けます。
 
そのフワっとしたのを強調するための卵。隠すためでなく、強調するためです。
だから、一番大切なのは卵の状態。魚の延長線上にあるように。。。
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ジャージー牛乳って聞いた事あります?
そのジャージー牛の乳のみ仔牛です。
 
実際は乳を飲む間もなくドナドナされてます。
乳牛なんで、メスは育てて乳牛となりますが、オスはほとんど殺処分だったそう。
 
で、元々の元々は肉牛の品種らしく、こんな生まれたてでも、ちゃんと肉があります。
 
それならと売り出したら、今レストラン業界では話題の食材の一つです。
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素晴らしい鮮度の内臓も付いて来ます。

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この仔牛がもつ、乳の香りを強調すべく、牛乳(ジャージー牛乳使用)とオリーヴオイルで作ったマリネ液に漬けながら炭火焼。
肉と炭の香りが移った牛乳ベースのマリネ液でソースを作ります。
 
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仔牛と言えばカツレツという事で、ゴルゴンゾーラチーズ挟んでカツレツ。
 
レモンの皮と仔牛の出汁のソース
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珍しくデザートの紹介
 
詰め物をしたイチジクのフリット 赤ワインのジェラート添え
 
ジラソーレのデザートの中で、個人的に1番好きです。
 
生で食べる以上にイチジクらしさを表現できてると思います。
 
あと、温かいデザートってレストランだけのものでしょ?
 
イチジクのフリットと赤ワインのジェラートは一緒に食べなきゃダメです。
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これも新作
 
ピスタッチオのジェラートとマラスキーノ風味のバナナ、エスプレッソのジェラティーナとグラニータ
 
こってりとした、茶色系の味わいの物ばかりで、南国的な爽やかさを表現してみました。
 
大成功。ポイントは酔っぱらうくらいのマラスキーノ。
マラスキーノの香り大好きです。

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