芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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COLUMNコラム

夏の料理 いくつかの新作 そして有難い事に絶好調

夏ですよ。
嫌になるくらい暑いですが、それでも夏は夏。
 
テンション上げていきましょう!
 
最近すごーく嬉しい事と、残念な事が同時に続いています。
 
お風呂みたいに混ぜたらぬるくなって丁度いいのでしょうが、僕は敢えて混ぜません。
困難には立ち向かう。嬉しい事には酔いしれる。
 
そんなこんなで、絶好調の日々です。
 
丸焼き、塊熱はヒートアップしてますが、更にその先を考えてます。
今の当面のテーマは、お一人様。
なんでも塊で焼いてたらお一人様のお客様、頼めるもの無いやん。。。
 
結構たくさんいらっしゃるんです。お一人様。
 
 
その件込みで昨日、すっごい良い事思いついたので、少しづつ形にしていきます。
ワクワクしますよ、我ながら!!!
 
長かった人手不足も徐々にですが解消されてきました。
大変やった!!!
 
特に今当店の二番手の黒ちゃんは、大変やったと思います。
でも、すごい成長しました。
 
結果オーライです。
 
ところで、夏野菜ってすごいですね。
年々野菜が好きになってますが、しし唐やパプリカの香りって、この食欲の落ちる時にも胃を刺激します。
結構嫌いな方もいらっしゃいいますが、毛嫌いしないでお試しください。
 
ちょっと料理の写真が貯まったので、最近の料理といくつか新作もあります。ご覧ください!!!
 
 
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南イタリアって秋が短いんですね。。
春野菜、夏野菜、冬野菜どれも非常に豊富ですが、秋野菜って言わないなー。
でも、日本もそうですね。秋の味覚って海のもの、山のものひとくくりで言うなー?!
 
これが歳のせいなのか、はたまたあまりの野菜のクオリティーの高さ故か、ここ数年の僕の野菜好きには目を見張ります。
南イタリア料理はホントに野菜料理が豊富です。面白い比喩が、世界で一番ベジタリアンが太る地域。
 
野菜料理と言っても、味気ない食べてて悲しくなるような品は1品もありません。
見た目は地味でも、食べるとイタリアの豊かさが目に浮かびます。
 
野菜は、単体で主役にもなりますし、また単体で立派なパスタソースにもなります。
更に、肉や魚に添えるとそれぞれの主菜の更に良いところを表現してくれます。
 
今まではコントルノミスト(付け合せの野菜の盛り合わせ)的な事を良くしましたが、最近は付け合せも1種に絞る面白さにも目覚めています。
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アオリイカの新子(稚魚)と夏野菜のグリル 卵とイカ墨のソース
 
これ、非常に評判の良い料理です。簡単にいうと、グリルした野菜と、ホントにさっとグリルしたアオリイカの新子を合わせ、ちょっとエッチな香りのするイカ墨のソースを添えるのですが、間にゆるーい
スクランブルエッグを挟んでいます。これがイカと夏野菜とイカ墨ソースの初対面的なよそよそしさを解決し、サブの食材のくせにかなりの存在感をアピールする、今年の助演男優賞受賞者です。
 
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スルメイカで作ったラグーボロネーゼのパッケリ
 
タコとイカに人生を捧げ、日々イカタコまみれですが、なかでもスルメイカに無限の可能性を感じます。
 
スルメイカは基本的に生で食べません。アニサキスって寄生虫のせいです。ホタルイカやサバなんかにもいますが強敵です。
加熱すれば全く問題ございません。
しかしその恩恵もあります。
イカの中では安い!
日本の魚は刺身での味で値段が決まる節があります。
生で食べないから安い。
勿論漁獲高が多いのもありますけどね。
 
でもって加熱する訳ですが、生食の最強がアオリイカです。しかしアオリイカ煮込んでも全然美味しくありません。さっとグリルとかボイル位。
しかしスルメイカは違います。凄まじい出しが出ます。
あまりにも凄い出汁なので、他の魚介とは一緒に煮込めません。
すごくケンカします。
大方ケンカにならない位スルメイカが勝つのですが、スルメイカの良さが濁るのでタブーです。
 
しかーし、野菜とは相性抜群。あと、油脂分との相性もいいですね。
旨さが肉に近いと言いますか。
 
という事でスルメイカをミンチにして、スルメイカでラグーボロネーセしてみました。
激ウマ。
このしょぼい写真は乗せたくない位。
のけぞりますよ。
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詰め物をした旬のムール貝 フレッシュなヤギのチーズ風味 ズッキーニのピュレとガットーディパターテ添え
 
この夏の新作のなかでも、お気に入りの一品&オーダー通ると超大変な料理。
ジラソーレの料理って見た目地味なんですけと、メンドクサイ仕事満載。
上のスルメイカのラグーも鍋3つ使って最後合体、更にオーダーごとに。。。。てな具合です。
 
よく、何故頑なにオーダーはテーブル単位なのと質問されますが、今の料理をするなら無理なだけで、例えばテーブル4人がそれぞれ別々の
ものをチョイスしてそれが同時に出るのが一番大事ならそのシステム自体は可能です。今と同じ料理はできませんが。
そして、4品中2品僕が作ればいい方です。後の2品はスタッフが作ることになります。
どちらが贅沢かはお客様の価値観ですね。今は全品僕が作っています。
 
こちらは、オーダーごとにムール貝を牡蛎を開けるように生で剥いて、ムール貝に若いペコリーノチーズを詰めます。
ムール貝から出た汁とトマトでソースのベースを作りそこでムールに火を入れます。
 
お皿にズッキーニのピュレを盛り、これまたオーダー毎に焼き上げるガットーディパターテ(裏ごしたジャガイモにサラミ、パルミジャーノ、モッツァレラ等を混ぜ込んでオーヴンで焼いたもの)
を乗せ、ムール貝を盛りそのソースにヤギのチーズを溶かし込み。。。。
 
書くと長いですね。手間かけた分美味しいです。手間かかってるけど、最終的にはシンプルなんですよ。
ナポリのサルトリア(仕立て屋)と同じ。手仕事。機能的。そして他では満足できなくなる。
そんな仕事に憧れます。
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超シンプルかつ夏のアイドル?ナポリ風トリッパと豚足のサラダ。
 
この前これ注文した常連さんが、サラダって葉っぱ全く入ってないやんと苦笑いしてました。
 
西洋料理的には、サラダは必ずしも葉野菜ではありません。野菜ですらない事もあります。
 
そんな事は大した問題ではありませんので、さっと流しておきましょう。
 
当たり前ですが、内臓系お好きな方から絶大に愛される一品です。
内臓系≒こってりというイメージを完全に裏切る料理。
 
超シンプル。味もホントにクリーンでクリア。体が綺麗になる気がします。
しかし。。。
 
最もうんざりする仕込ワースト3に必ず入る料理です。
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生の国産トリッパ。
未掃除
未漂白
 
一般的に流通してるトリッパは大体冷凍の輸入もので、業者の方で漂白済です。
どんな薬品で漂白するかは知りませんが、漂白します。砂糖やマイケル.Jもそうですね。
 
この写真では分かりにくいですが、自然な生のトリッパは真っ黒です。おっさんが履く、濃いグレーの靴下みたいな色です。
左が掃除した後、右が掃除前。
この写真は光の加減か、右側も色白に写っていますが実際は絶望的に真っ黒です。
 
では、どないして掃除するか???
簡単です。
下茹で後、たわし、歯ブラシ、ヘアブラシ、デッキブラシ、アメフラシ、ありとあらゆるものを使って擦り取る。
以上。異常と書いた方がいい位面倒です。
これは僕の仕事。こんなん、従業員にさせたら一発で辞めますから。
 
いかにも楽しそーに、時には鼻歌交じりでやります。
そうするとたまに、馬鹿な奴が、シェフ、それ教えて頂けませんかと来ます。
魚釣れた時と同じ喜びですね。
と、同時に僕のドSスイッチがオンになります。
 
「良いけど、難しいで?洗い方で味が決まるようなもんやからな!大丈夫か?まあ、どうしてもやってみたかったら
やったら良いけど、1つだけ条件がある。途中で絶対に俺に代わってくれと言わない、且つ今後永久にお前の仕事やけど、やってみるか?」
 
「ハイ、シェフ!ありがとうございます!!!」
 
最近こんなバカ(良い奴)がめっきり減りました。
 
腱鞘炎になりながら、まだ僕が洗ってます。
 
もうすぐ黒ちゃん釣れそうですけど。。。
 
従業員はHP見たらあかんというルールを作らないと。
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渡り蟹とフレッシュポルチーニのフリッタティーナ
 
ナポリ料理の魅力の一つに、食文化の幅という観点が挙げられます。
 
昔はナポリ王国、両シチリア王国といった王国でしたから、宮廷料理も発達してますし、超庶民料理もピッツァ、パスタを筆頭に世界中の人々を魅了しています。
昔だったら、貴族は貴族的な食事しかしませんし、庶民は今日もコロッケー明日もコロッケー♪の様に、パスタ、ピッツァに明け暮れてた訳です。
 
この料理はフリッタティーナと言ってナポリのストリートフードが原型です。
タコ焼き位のポジションですかね。
 
簡単に言うとパスタのフリット。ベシャメルソースで和えたパスタを揚げてます。
 
この超庶民的な食べ物をよそ行きにオメカシしました♡
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淡路 由良の赤ウニと卵黄と自家製カラスミのスパゲット
 
夏のジラソーレの看板パスタ。
またの名をプリン体のスパゲット。
 
ああ、プリン体。
なんと魅力的で退廃的なんでしょう。
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こんなさわやかな料理もあります。
 
明石の昼網のさわらのタルタル 冷たいトマトのスープ仕立て。
 
鉄板です。
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至る所に卵をほり込んできます。
 
マナカツオの卵包み焼き
 
ジラソーレのスペシャリテの一つにウサギの卵包み焼きというのがあります。
もとは、このマナガツオで始めました。
 
マナガツオは非常に美味しい魚ですが、火入れのレンジが狭い。
ドンぴしゃに焼くとものすごーくふわっと焼けます。
 
そのフワっとしたのを強調するための卵。隠すためでなく、強調するためです。
だから、一番大切なのは卵の状態。魚の延長線上にあるように。。。
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ジャージー牛乳って聞いた事あります?
そのジャージー牛の乳のみ仔牛です。
 
実際は乳を飲む間もなくドナドナされてます。
乳牛なんで、メスは育てて乳牛となりますが、オスはほとんど殺処分だったそう。
 
で、元々の元々は肉牛の品種らしく、こんな生まれたてでも、ちゃんと肉があります。
 
それならと売り出したら、今レストラン業界では話題の食材の一つです。
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素晴らしい鮮度の内臓も付いて来ます。

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この仔牛がもつ、乳の香りを強調すべく、牛乳(ジャージー牛乳使用)とオリーヴオイルで作ったマリネ液に漬けながら炭火焼。
肉と炭の香りが移った牛乳ベースのマリネ液でソースを作ります。
 
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仔牛と言えばカツレツという事で、ゴルゴンゾーラチーズ挟んでカツレツ。
 
レモンの皮と仔牛の出汁のソース
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珍しくデザートの紹介
 
詰め物をしたイチジクのフリット 赤ワインのジェラート添え
 
ジラソーレのデザートの中で、個人的に1番好きです。
 
生で食べる以上にイチジクらしさを表現できてると思います。
 
あと、温かいデザートってレストランだけのものでしょ?
 
イチジクのフリットと赤ワインのジェラートは一緒に食べなきゃダメです。
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これも新作
 
ピスタッチオのジェラートとマラスキーノ風味のバナナ、エスプレッソのジェラティーナとグラニータ
 
こってりとした、茶色系の味わいの物ばかりで、南国的な爽やかさを表現してみました。
 
大成功。ポイントは酔っぱらうくらいのマラスキーノ。
マラスキーノの香り大好きです。

マニフェスト 2013

 参議院の選挙ですね。
それに乗っかる訳ではありませんが、マニフェスト2013です。
 
今年の頭ぐらいから考えてました。
考え始めたのはもっと前なんですけど、6月に11周年を迎えて色々吹っ切れました。
 
前回のコラムでも書きましたが、僕ら料理人はほとんど皆、より成長したくて悶々としています。
その方向性がそれぞれ違う事が、お店の多様性に繋がる訳ですが、時代の嗜好やニーズ、流行等も影響して、最終的には突拍子も無いロッケンロールな方はあまりいません。
 
で、成長したい=何かをより深く掘り下げる、とすると、これだけ実現、もしくはチャレンジする事はそんなに難しくありません。
同時にお客さんの満足度も上げ、売り上げも上げ、且つそれをすることによっての、スタッフの負担が著しく増えない事を実現しないといけません。
 
ずっと悩んできた事の一つに、料理のボリュームがあります。
今の世の中の外食の主流は少量多品目です。
当店も一時は料理7品+デザート位まで品数を増やしたことが有りました。
 
一部のフードファイターみたいなお客さんは喜んでましたが、やっぱり多すぎますね。
その品数を出すには、おまかせ1本のお店にすべきだという結論に達しました。
 
まあ、考え方が逆になってましたね。
何品位出したらお客さんは満足するのだろう?
って考えるようになってました。
 
正しいのは何品(例えば4品)で満足させる。と、こちらがまず決めることです。
僕の料理は1皿ごとに完結している、いわゆるアラカルト料理です。
コースの流れは勿論大切ですが、それ以上に1品1品のメッセージや個性を大切にしたい。
そして、記憶に残る料理が作りたい。こう思っています。
そんなパワフルな料理を7品も食べたら疲れてしまいます。
 
今、1番品数の多いコースでアミューズと料理5品とデザートという構成まで減らしました。
何故そうしたかと言いますと、後程写真をお見せしますが、11周年の日、賄でイタリア産の皮付き子豚のモモ肉丸1本をローストし、4人で食べました。
今までのコースだと、12人前位は取れる量です。
90分位かけてローストし、10分くらいで一気に食べました。
自分で言うのもなんですが、無茶苦茶美味しかったです。
 
丸焼き。
僕がホントに料理の魅力に取りつかれたきっかけの料理。
僕の中で憧れであり、テーマでもある丸焼き。
 
その賄食べながら、皆口をそろえて、こんなん食べれる店ないねって言ってました。
その時点ではうちの店も貸切や、リクエストでも頂いてない限り通常営業では、やっていませんでした。
そして、心から日ごろからこんな料理したい!!!って思いました。
 
大体、こんなにおいしいもん、一口とか意味ありません。しっかり食べないと。
で、お腹いっぱいになってから出てきても意味がありません。
となると、品数を減らすしかないですね。
 
今で1ヶ月ほどですが、非常にお客さんの満足度が上がってると感じます。
子豚だけでなく、他のお肉もより大きな塊で焼いています。
 
もう、何十グラムの小っちゃい肉片を低温調理だコンベクションオーヴンだの世界には帰れません。
 
あと、もう一つ変えた事があります。
それは、基本的にメインを1種類に、つまりお魚、お肉どちらもというのを、おまかせコースのみにしました。
 
何故かと言いますと、魚、肉どちらも食べるのが前提な魚料理と、お魚で終わる魚料理ではコンセプトが随分変わるからです。
基本的に、イタリアではメインに魚、肉どちらも食べる事はありません。
ホントに極々一部の超高級レストラン位です。
イタリア人は魚を食べる日は前菜から魚介系と野菜系しか食べません。メイン魚だからパスタは肉のソースにしようというのはまずありません。
また、肉の場合も同様で、魚のカルパッチョ食べて、ペスカトーラ食べて、ビステッカメインでっていう食べ方はしません。
 
これを日本のお客さんに押し付ける気は、毛頭ございませんが、メインの魚、肉はtoo muchかなー。
なんか、遠慮した料理になるんです。僕の場合。
おまかせの場合はバランスも考えて調節しやすいんですけどね。
今までみたいに、選べてズッパディペシェ魚料理で更に肉って。。。やっぱりtoo mach.
 
日本で西洋料理食べに行ったら、肉食べな損した気がするのでしょうね。
でも、もしご気分が魚だったら、メイン魚にしてみてください。
僕の遠慮のない、目くるめくイタリア魚料理の世界にご案内します。
 
 
あんまりマニフェストになってないですが、何が言いたいかというと、自分が良いと信じるもの、事は迷わずにやっていきます。
色んなとこの良いとこ取りでなく、一貫したジラソーレらしさを感じて頂けるように。
 
 
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噂の賄です。
 
通常営業でもこのサイズをバンバン焼いています!
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お皿一杯の肉!!!
 
と言っても、多ければ良いと思っている訳ではありません。
 
伝わるか分かりませんが、料理と同化出来る量と言いますか、その料理の世界に入って頂ける量をお出しします。
 
今日は子豚の丸焼き食べた!とか、最高のビステッカ食べた!という満足度と、牛も一口食べた。子豚も一口もらった。魚も味見した。という箇条書きの項目が多いのが満足かは、人によると思います。
 
箇条書きが多くないとダメな方は、あまり当店と合わないと思います。
他に気になっているお店があれば、先にそちらにどうぞ行ってみてください。
 
味見でなく、食べるのがお好きな方。
後悔させません。イタリア料理特有の食の快楽にご案内いたします。
 
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1頭丸焼き。子豚の丸焼きの会と称して貸切のご予約も頂きました!

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この香りが写真で伝わらないのが残念!

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勿論お二人様でお越しいただいても大丈夫!こんな部位もあります。皮、カリッカリです。

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盛りつけるとこんな感じです。

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羊だってこんな感じで、最低骨3本とか4本とか。。
 
今回、こうして品数減らしたり、魚、肉どちらも出すの止めてみたりしてますが、何か新しい事をしたい訳でなく、原点回帰です。
 
11年前に店を始めたときのコースは5品で、メインは魚か肉かでした。
 
世の中のニーズを感じたり、その他もろもろ大人の事情で少し前のシステムにたどり着きました。
 
かなり気に入ったシステムでしたが、思い切って今回の改革に出ました。
 
一皿を充実させる方が、より自分らしい。
 
迷いなくそう思います。
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北島亭の焼を目指して。
 
結局、肉って焼くんじゃなくて、肉が焼けるのを手伝いながら待つって事やと思います。
 
テクニカルな低温調理や真空調理の何度で何分は、プロとして押さえておかないとダメです。
 
でもね、なんか魂入らないんですよ。
 
炭火焼とか、昔ながらのオーヴンとか、フライヤーとがグリルパンとか、カンカンに熱いフライパンとか、触れる位低温のフライパンとか、そんなんと会話したり、触ったり、火傷しながらこれからも料理して行きたいです。
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鳥だって丸焼き。
クリスマスじゃなくても!
 
色んな物を少しずつも外食の醍醐味ですが、こんなんも家じゃ食べれません。
使い分けて頂けたらいいんじゃないでしょうか?
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でも、一皿に、鳥の色んな部位を盛り込めマース。
 
本来ね、今日の収穫をもっとも美味しく料理し、家族や仲間と分かち合う。
夕食ってそうじゃないでしょーか?
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こういう料理は食べ終わった皿さえ、美しくストーリーを感じます。
 
僕だけ?

EVOLUZIONE 進化

コラムも復活の兆しが見えてきました。
 
しかし、お気づきの方も多くいらっしゃいましたが、2回ほど料理の写真のアップのみでお茶を濁しておりました。
 
多少の毒舌を混ぜないとご満足頂けない様なので、最近の考え事を少し書きます。
 
 
何がしたいって進化したいです。
でも、進化って淘汰された後の結果だから、生き残った者の現状。。。
という事は、第三者にあいつ進化したなーと評価されることがあっても、俺進化したなーって自己満足無さそうですね。どうやら。。
 
何故なら、進化して行く人は、ずっとギリギリの状態でやってきた人。
そんな人は、えげつない困難を乗り越えても、また次のギリギリに向かってブッ飛ばして行くでしょうから。
進化の実感を感じる間が無いんですね。
 
僕も、ずーとギリギリでやってきました。
むしろギリギリセーフのラインを越え、ギリギリアウトもそっちゅうです。もっとも色の濃いグレーゾーンに生息しています。
 
ここでちょっと話を変えますが、皆様、大王イカってご存知ですか?
実在する、深海に住むムッチャ大きいイカです。
数メートルなんてざらです。
長い腕広げたら20mなんてのも居るそうです。
 
もう、リアルモンスターですよ。
目玉が30cmですからね。
 
 
なんでこんなに大きくなったんでしょ?
やっぱり食われるのが嫌だったんでしょうね。
 
食われるのが嫌やからより深海に住みかを移し、いっぱい食べて大きくなったんでしょうね。
すげー!目標達成!ですよ。大枠は。
 
でもね、がんばってこんなに大きくなったのに、天敵がいるんです。
マッコウクジラ。
オスは12-18m位あるそうです。
大王イカを好んで食べるらしい。。。
 
んー。。
もっと進化したいと燃えたぎっている僕は、大王イカを評価すべきか、反面教師にすべきか。。。
 
ちなみにこのリアルモンスターを主食にしているマッチョなマッコウクジラさん、2000m楽勝で潜るそう。
息継ぎ1時間に1回。
人生(鯨生)のほとんどを深海で過ごすそうな。
 
すげー、これぞ進化の極みに見えますが、何を隠そうシャチが天敵。
浅場のキングの座をシャチに奪われ、深海に適応したそうです。
 
んー。
なんか進化ってあんまりかっこ良くないな。
 
やっぱり本人ら必至でやってる結果を、回りが定義づけてるだけな気がしますね。
 
この定義付けたがる人たちは、あんまり進化しないんですよ。多分。
 
この前小っちゃいニュースで、N.A.S.Aが1200光年先に地球とほぼ同じ環境の惑星を発見!地球外生物の可能性も!!とありました。
あー、N.A.S.A的にはヒューマノイド系の宇宙人以外、地球外生命体認定する気ないなと思いましたね。
 
犬しかいない星とか、蟻んこしかいない星、もっと言うたら単細胞生物が支配してる星とかイケてないんでしょうね。
N.A.S.A的には。
 
単細胞生物って寿命無いらしいですよ。
人類の永遠のテーマのひとつ、不老不死。
もしかしたら進化の究極かも知れません。
 
その点、サンマなんか可愛いですね。
カジキに憧れたイワシが口を尖らせているうちに、サンマになったそうです。
僕がしたがってる進化なんて、この程度です。ハイ。。
 
 
 
そろそろ今日の本題に行きましょう。
 
昭和の教育を受けてきた僕は(そしてこの業界の諸先輩方も勿論)、いかなる逆境にも耐え、適応し、さらなる成長を望みます。
そして今、このレストラン業界って皆さんどう思われますか?
 
これを読まれる方は、きっと外食が好き、もしくはレストランで働いてる方がほとんどではないでしょうか。
 
では、皆様の中で、ご子息や親戚の子が調理師になりたいと言ったら、それは素晴らしい!是非頑張りたまえと仰いますか?
 
今、飲食業界は過去に経験した事が無い位人材不足です。
この危機に対しても僕らは適応してしまいます。
そういう教育を受けたから。
 
でもそんな教育を受けていない若い世代は、働きに来てくれません。来てもすぐ辞めます。
これも本能でしょう。
深海に潜った大王イカやマッコウクジラを誰が責められるでしょう?
 
 
最近、僕が思う、僕がしなければならない進化。
それはこれ以上化け物化する事では無さそうです。
 
霊長類の嗅覚や(ほかの四足と比べて)虫垂の様に、要らない器官は退化します。
退化は進化の対義語ではありません。退化は進化の一つの形です。
 
決して小さくまとまろうとしているのでは、ありません。
僕には大王イカより大きな目標があります。
 
そろそろ余計な負荷を外して最短距離で突っ走らないと、叶いそうにない夢です。
まだ内緒ですけどね。
 
もしかしたらそのうち皆様をあっと驚かすかもしれません。
 
すべては僕の愛と情熱とホスピタリティーの表現です。
 
 
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情熱

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ホスピタリティ

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おまけ

春真っ盛り。。。と言ってる間に初夏の気配が

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春と言えばパスクア(復活祭)
ナポリでパスクアといえば、パスティエーラ。
 
麦とリコッタチーズの詰め物のタルト。
ナポリ菓子でもベスト5に入る重要なお菓子です。
 
パスティエーラのないパスクアはありえない!!!
 
在日ナポリ人にはいつも聞かれます。
パスティエーラする???って。

 

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これまたパスクアに欠かせないのが、仔羊。
一番人気は炭火焼ですね。
 
特にまだ草を食んでない乳のみ仔羊が珍重されます。
この手の赤身でない若い仔羊は、ロゼに焼きません。
 
バシコーンっと焼き切ります。

 

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あと、パスクアに欠かせないのがアーティチョーク。
この3つの食材は絶対食べます。
 
シルヴィオから待望のイタリア種のえんどう豆、空豆、春キャベツなどが届きました。
サイコー!
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えんどう豆は仔羊と煮込んでカチョエウオーヴォに(卵とじ)
パスタソースにします。
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地味ですが、ファン多数。スルメイカとジャガイモとアーティチョークの蒸し煮 アマルフィー風。
ホント、しみじみ美味しいですよ。

 

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イタリアの空豆は小粒で粉質がありません。ちゅるんとしてます。
さっとグリルした手長タコと合わせました。
大好評。
 
あ、今回のコラムは春の料理のダイジェストですので、無くなっていく品もあります。
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ナポリで覚えた、アニス風味のキャベツのマリネ。
この簡単なサラダもシルヴィオのキャベツで作ると、ぞわっとします。
 
なんか、最近どんどんベジタリアン化してきたな。
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アナゴとキャベツがアニスシードの香りで完璧な相性を見せます。
この料理10年位作ってます。

 

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桜肉というくらいなので、春に使いたくなりますね♪ば・に・く。
馬肉って案外皆さん抵抗無いみたいですね。
 
やっぱりヘルシーとかローカロリーとかがポイントなんですかね。
 
ウサギも負けずに低脂肪、高たんぱくで非常に消化に良い食材なんですが避けられ気味ですね。

 

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これまた大人気!
瀬戸内が世界に誇る鰆。
秋の鰆は脂が非常に乗ってるので加熱したり炙ったり。
春の鰆はあっさりしてますので、マリネに。
 
鰆の独特の食感を生かすため、マリネしたのち包丁で切らずに手で裂きます。
 
この写真ではトマトのドレッシングで見えませんが、鰆のマリネの下にパンのサラダが引いています。
 
特にトスカーナが有名かな?パンツァネッラと言います。
当店のはフリセッレという、昔船乗りが食べてた乾パンで作ります。
 
ドーナツ型のカチカチのパンですが、水で戻して食べます。
その上にトマトのサラダを乗せて食べるのが一般的なんですが、これをナポリではカポナータと言います。
 
カポナータと言えば、ナスの煮込みだったり、ラタトゥイユ的なのを思い浮かべる方が多いと思いますが、ナポリでカポナータと言えば冷たいブルスケッタみたいなのが出てきますのでご注意を。  

 

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これもご好評頂きました。
金目鯛にうすーく塩をして、2-3日熟成させます。
それにうすーくパン粉つけて高温で焼くと、何とも言えない食感に。
 
茹でたての極太アスパラと鬼あさりのタルタルを添えています。
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ホタルイカのスパゲッティ。
シンプルですが、鍋3つ使います。
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イタリア人て案外魚嫌いな方も多いです。
でもカジキとマグロなら食べるという方が多い。
 
やっぱり肉に近いんですかね。
こちらはカジキマグロのアッラギオッタにアーティチョークを入れました。
魚介とアーティチョーク大好き!

 

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日本ではトリッパって社会的地位を得ましたね。
ご存じの通り牛の胃袋ですが(4つあるうちの2つ目)トスカーナではこのランプレドットという4つ目の胃袋の料理も非常に好まれます。
 
実際トリッパ以上に癖がなく、脂の旨みと甘い香りがうっとりします。
そこに唐辛子をピリッと効かせてホウレンソウと煮込むインツィミーノという料理です。
 
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ランプレドットのインツィミーノに卵入れるの大好き!
なんでも卵入れて見たくなるのは、卵王子ゆえ。。。
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ランプレドット インツィミーノに何故かイカのソテーを乗せたくなりました。
 
上のアナゴとキャベツも魚類と植物の垣根を越えて恋に堕ちましたが、これもホルモンと魚介というある意味対極なもの同士が見せるこの相性。
ある意味男と女も対極の存在ですものね。

 

完全復活!!!!!!

 完全復活と書きましたが、何からの復活でしょうか。
すいません。
ただの怠け者です。
 
2つ言い訳させてください。
一つはガラにもなくフェイスブックを始めまして、そちらで細かいアップをするとこっちがおろそかになっちゃいました。
 
2つ目、去年の年末、生まれて初めて過労でぶっ倒れました。
ぶっ倒れたまま最終日まで営業したので、事実上ぶっ倒れてないのですが
ホントに誰か止めてくれー!!!
と願ってました。
 
己の限界を知るのは言い事です。
超えてはいけない線が分かりましたし、日々の努力でその線もまた向こうに押せるかもしれません。
 
体調を崩してる間は怖い思いもしましたが、今は最高に元気です。
今となれば、このタイミングで一回ぶっ倒れて良かったとさえ思います。
 
さて、杉原の奴、すっかり弱気になったんじゃないかと思われるかもしれませんが、逆です。
今年まだお会いできてない方いらしたら、是非お越しください。
ギラギラしてます。
コラム書いてない間、別に養生してた訳でもなくこんな事してました。
 
 
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手作りのクスクス。
 
まったく懲りていません。
お任せコース1本の店じゃあるまいし、クレイジーな行為やなーと思いつつ、とある方にちょっと煽られて作ってみました。
 
こちらトラパニ風クスクス。
シチリアの料理です。
 
クスクスに魚の煮込みを添えて(かけて)食べるのですが、本来はこんな風に非常に濃厚で薫り高い魚のスープのみをかけます。
今は、スカンピや魚の切り身なんかも乗ってる海鮮丼みたいなクスクスのほうが多いですが、基本は具無しです。
 
具がないほうが、よりクスクスを楽しめます。
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先ず、セモリナと水を少しずつ混ぜ粒状にします。
でもってちょいと乾かす。
小一時間位ですかね。
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均一な粒状にするの結構難しいです。

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ここに、ニンニク、パセリ、オイルを加えます。

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でまた小一時間休ませます。
僕もこれくらい休みたいもんです。
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でもって蒸し器で1時間くらい蒸します。

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その間に魚のスープを作ります。
魚の切り身を乗せると視覚的満足が生まれます。
 
裏ごした魚のスープで勝負するという事は、だれが食べてもむせ返るような海を表現しないといけません。
この日は活けのカサゴ12匹、足赤エビ15匹、あさり、ムール貝1kg、イカ少々。。。
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最後はお客さんの前でスープかけて仕上げます。
仕上げる前にもクスクスにたっぷりとスープを厨房で吸わしてます。
 
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こちらは遊び心満載なホタルイカのクスクスにオムレツ添えたもの。
 
すっごい評判良いです。
 
ご覧いた様に、その日使うクスクス仕込むの3時間位掛かります。
 
一回どうしても間に合わなくて、久々に市販のクスクス使いましたがもう戻れません。
流石に捨てはしませんでしたが、営業では使いませんでした。
 
インスタントラーメンの粉末調味料入れる前の味がします。
今更そんなもんに本気になれません。
 
また後戻りできないいばらの道に迷い込んだようです。
 
ちなみに店にパソコンをついに導入しましたので、更新ペースは戻るはずです。。。

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