芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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COLUMNコラム

6月17日、6月18日のバール営業についてのお知らせ 変更あり6/17

いつもありがとうございます。

 

6月18日(日)のランチタイム(11:00~)は、バールスペースもレストランスペースとして利用し、予約で満席となっております。

バール機能としましては両営業中はドルチェとご予約分の惣菜の販売のみになります)

状況に応じてバールを再開いたしますが、お電話でご確認いただいてからのご来店をお願いいたします。

なお、17日のディナーも同様のご案内をしておりましたが、キャンセルが出たため通常営業になっております。

 

不規則で申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。

お陰様で無事に15周年を迎えました。今後もよろしくお願いいたします!

決して順風満帆な15年ではありませんでした。

お店が火事になった事もあれば、ガス爆発したこともあります。

詐欺にあったこともあるし、裏切られたことも。

どんなに頑張っても成果が見えない時期もあったし、頑張ろうにも、本当にお客さんが来ない時期もありました。

精神的にも、金銭的にも、体力的にも何度も限界まで追い詰められました。

これらの困難に毎回全力で立ち向かい、その度に生きる知恵と、生きていく耐性がついてきました。

ウイルスや害虫と同じですね。

どんどん強くなる。

それでもいまだに、その耐性をもってしてもすべて持って行かれそうになる日もあります。

人間ですから。

 

なぜそれでも店が続くのか?

続けられるのか?

 

答えは2つのシンプルな理由です。

ひとつはどれだけ大変な思いをしても、それを0.1ポイントでも上回る感動や発見、物作りの人間としての喜び、人の繊細さや気遣いに出会えるからです。

15年のうち3年くらいは、どうにもならない年もありましたけどね。

連続三年じゃなかったから続けれました。

これは運です。

目的はどれだけ嫌な思いをしないかでなく、どれだけ自分の感情なり感覚が、魂が揺さぶられるかです。

そういう意味で、レストランのオーナーシェフほどエキサイティングな仕事はないと思います。

 

もうひとつは、こんだけ料理ばっかりしてると料理しか出来なくなりますが、料理を通じて沢山の事が出来るようになりました。

僕が料理をすることで、他業種と繋がるようになりました。

僕の専門性が、他業種の専門家に必要とされる。

これは素敵な経験です。

こういった仕事の依頼は、勤めていたら受けれません。

気が遠くなる責任を背負ってでも、責任さえ果たせば自由です。

今の過密スケジュールも僕の自由。

出来ればこの自由は手放したくないと思います。

 

このように振り返れば激動の、でもドラマチックでロマンチックな15年でした。

後ほど写真でご報告しますが、先日の2デイズ15周年イベントも華やかで、最高に楽しい会になりました。

節目の日として、本当に幸せな気持ちになりました。

15年ジラソーレを続けてさせて下さり、本当にありがとうございます。

 

が、しかーし。

早速前を向こうと思います。

まだまだピークを迎えていません。

2日で30匹近いオマール海老を料理しましたが、沢山の新たな発見がありました。

人生でオマールの理解度今が一番です。

 

料理人として。

よく「杉原さんってブレないですね~」と言われますが、実は細かくずっとブレてます。

自動車のハンドルみたいに。

行きたい場所はコロコロ変わっていませんが、日々微調節です。

 

今年の始めに、この人天才やなというフレンチを東京で食べました。

いわゆるクリエイティブ系と評されていますし、食材の組み合わせや盛り付けも確かに斬新です。

しかし凄いのが、いわゆるチャレンジ料理でないというか、ちゃんとクリエイトしきってるんですね。

凄くイカなのに、間違いなく羊なのにイカも羊も僕に見せたことない表情なんです。

でもまぎれもなく、イカであり羊であるという。。

これがポンポンできる人は凄い。

僕も年に数回、ふっと閃いて新しいお皿が浮かぶけど、そんな料理だけで僕は店を維持できません。

彼の料理を食べて、僕も自分の中の料理人としての作家性と徹底的に向き合いたくなりましたが、ふっと天から降ってくるのを待つことにしました。

やはり方向性としては、この数年取り組んでいる兵庫県や関西の地元の食材に向き合い、ナポリをはじめとする南イタリアテイストで表現する。

これが主軸になると思います。

この数年食材をゼロから理解するために、あえてイタリアやナポリを意識しないようにしました。

2002年に店をオープンしたころは、ナポリ料理を作る、イタリア料理を作る、というのが目的でしたが、今は最強の天然真鯛が目の前にある。それを美味しく食べるための手段として、方法としてのナポリ料理、イタリア料理であるべきだと思っています。

これを僕は理にかなったイタリア料理、理にかなったナポリ料理と呼んでいます。

理りを料る。

それが料理ですから。

ですので、料理の技法や加熱方法などは僕独自のものが増えました。

沢山の失敗や試作の上での答えです。

それが料理なんだと思います。

真鯛が新しい表情を僕に見せてくれたら、新しいナポリ料理が生まれます。

そう思うと、目新しい食材や目が出るほどの高級食材にそんなに興味がいきません。

アワビとあさり、イワシとフグ。

僕にとっては音符のドとかファの違い。

全部愛おしい存在で優越付けれません。

 

この様に、ここ数年食材を理解することに重きを置いてきました。

そのアンテナの高さ、食材に対する繊細さはそのままに、今後は原点に戻りイタリア感をどこまで出せるか、も意識していきます。

創作的な料理を遠慮なくするために、少し前にナポリ料理のコースを復活させましたが、今の頭の中を整理するとコースは1本化するかもしれません。

少し様子を見ます。

 

経営者として。

飲食店を営むにあたって、一番難しいのは人を雇う事です。

これは年々より難しくなってきていますし、改善されることはもうないでしょう。

雇い入れる人材自体も減少の一途ですし、雇い入れた後もなかなか続かない。

何らかの形で少人数で働く工夫は必要になってくると思いますが、それでも僕はできる限りこれからも弟子を取ろうと思います。

今回の周年パーティーに2日連続師匠の平井シェフが来てくださいました。

周年パーティー初日は、ジラソーレ出身の楠戸君が手伝ってくれたし、周年パーティーの2日目は一緒には修行してないけど、僕と同じペペ出身の西宮のリストランテ ダルーポの森シェフが手伝ってくれました。

僕と森シェフは17年来くらいの親友です。

しかし仲が良いだけで簡単にコラボが出来るかといえば、そんな事ありません。

師匠が同じという事は、言語が同じという事です。

非常にコミュニケーションが取りやすい。

それと平井シェフの下では、いちいち一から十まで指示もなければ、打ち合わせも朝礼も何もありません。

見て、感じて、考える事を徹底的に身につけさせられていますから、森シェフとのコラボは無茶苦茶楽しくて、楽です。

もちろん楠戸君ともそうです。

彼がうちを退社して独立した後も、何回かイベントを手伝ってもらっていますが、今回はコラボ、つまり対等の立場で料理しました。

もう弟子扱いしてないというか、変に師匠面するのは止めていましたが、やはり色んな意味で弟子は弟子です。

楠戸君に任せきって大丈夫かな?と少し不安もありましたが、始まってみたらまあ立派なシェフになってましたよ。

自分の店も忙しいのに、うちのイベントの仕込みも完璧にやってきて、初日の超フルコース3回転、見事にやり遂げました。

自店のトラットリア はしまやを開店して8年かな?

想像を絶する修羅場を乗り越えてきたのだと思います。

彼の成長を目の当たりにできたのは、ジラソーレの15周年イベントの中で最も贅沢なことでした。

同じように2日連続お越しくださった平井シェフも、凄くうれしそうな顔をしてくださってて、昨今飲食店はブラックだとか言われますが、こんな素敵な世界もないよな。。。と本気で思いました。

師弟関係は血縁の次に濃いと思います。

 

こんな感じで明確な目標や計画ではありませんが、時間をかけてこのジラソーレというお店を作りこんでいきます。

これからもよろしくお願いいたします!

 

ここからは15周年イベントの様子をご覧ください。

初日

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まずは僕の無茶な企画も嫌な顔せずついてきてくれたスタッフに感謝!

 

 

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この日は3回転だったので、ほとんど写真撮れず。。。

 

 

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沢山の大好きなひまわりに囲まれて、華やかなスタートになりました。

 

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オマール海老割り続けて、タコができるという。。。

 

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大先輩のさくらぐみさんの35周年記念Tシャツを着て挑みました。

僕らも目指せ35周年!

 

2017615223426.jpg結局朝一から仕込みして、準備して怒涛の3回転。

休憩も賄いもままならない一日でした。

深夜3時半ごろ終わらない片づけに見切りをつけて、唯一開いてるファミレスへ。

あまりに全員疲れてて、まさかの全員食べながら寝落ち。

まず藤本が復活、完食。藤本に起こされ僕も完食。

藤本を先に帰らせ、ずーっとこの二人を起こすも、全く起きない。

もう30分は寝てたかな?最後は文字通り叩き起こしました笑い

良いか悪いか分かりませんが、青春真っ盛りです。

 

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楠戸君もほぼ寝ずの参戦。ありがとね。

うちのスタッフもこの日のために連日遅くまで仕込みしてくれました。ありがとね。

 

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前日、結構緊張と不安が高まってるときに、京都のカデルヴィアーレの渡辺シェフがわざわざ激励にお越しくださいました。フェラーリのマグナムボトルのプレゼントまで。。。シェフ、ありがとうございました!

 

 

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芦屋が誇る和食の2つ星、京料理たか木の高木シェフも激励に!

高木シェフのセンスに脱帽! 兄貴、ありがとうございました!

 

初日は、写真撮る間もなく、ずーっとバタバタしてましたが、大成功だったと思います。

6品中3品楠戸君が作ってくれたので、僕もお客さんの所に少しは出れました。

 

2日目

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この日は前日の片づけから始まりましたが、営業は夜だけだったのでまあまあ余裕あり。

記念撮影まで笑

森シェフの奥様、美保さんも手伝いに来てくれました!感謝!!!

 

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敢えて愛を込めてこのおっさんと呼びますが、こう見えて料理は繊細です。

最初はなんぼ仲良いからといっても、アウェイ感感じさせたらあかんなーと結構気を使っていましたが、森さんコーヒー飲む?って聞いたら、じゃあカンパリソーダでって。

気つこて損したわ笑。

 

 

 

 

 

 

 

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この日も緊張してましたが、相方が頼もしいとプレッシャーすら楽しめます。

仕込み中もずーっと冗談。

 

 

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この日のメニューはジラソーレから前菜の盛り合わせ(写真忘れました)

 

 

 

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ダルーポさんからウサギとズッキーニのフリット

 

 

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ジラソーレから小タコの煮込み

 

 

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ダルーポさんから今年初のポルチーニ、ジロール、サマートリュフのリゾット

 

 

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ジラソーレからオマール海老のノッケッテ

 

 

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ダルーポさんから渾身の鳩

 

 

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ジラソーレから子豚の丸焼き201761618158.JPG

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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師匠の平井シェフと

 

 

この後22時ごろから同業系の友達、先輩、後輩がたくさん来てくれまして、お開きは予想通り午前4時。

盛り上がりすぎて近隣からの苦情でお巡りさんが来ましたが、その対応もいつの間にかお客さんがしてくれてました笑。

ご近所の皆様、つぎ20周年まではこんなにバカ騒ぎしませんのでお許しを。。。

 

ほんとに料理人になって良かった。

ジラソーレして良かった。

皆さんと出会えて良かった。

 

心からそう思った夜でした。

6月6日(火)7日(水)は連休です。

イベントがらみで5日(月)営業しますので、変則的に6日(火)7日(水)連休を頂きます。

 

ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

本当に皆様のお陰です!ジラソーレ15周年のお知らせ。

今回のコラムも長いので、読みたい方だけどうぞ(笑)!

 

先に周年イベントのご案内します。

まさかの2daysです。

6月4日(日)

11:30-14:30

15:00-18:00の2部制で、¥8000円の会費制で仔豚の丸焼きを含むこれでもか!の料理、プロセッコ、ソフトドリンク飲み放題、お店の全ドリンク2割引き!

しかもワインなどの持ち込みもO.K!という内容です。

この日は倉敷からジラソーレ出身のトラットリアはしまやの楠戸シェフも参戦!

知ってる方も、知らない方もよろしくお願いします!

お席はレストランとバール同じ扱いでご用意いたします。

お子様連れだとか、ご高齢だとかを考慮して席割を致しますので、ご理解くださいませ。。

 

6月5日(月)

僕の親友、西宮のRistorante da'lupo の森シェフとコラボイベント

究極の無秩序とハーモニーをお届けします。

¥12000 仔豚の丸焼きと森シェフが焼く鳩料理を含むお料理とフランチャコルタスプマンテ飲み放題付

ワイン持ち込み自由!ジラソーレのワイン2割引き!

 

18:30開場

19:00スタート

 

22時頃からの同業や友人のご参加も大歓迎!

4500円で、スプマンテ飲み放題と残っている料理笑

僕と森さんも飲みますので、そこから新しい料理はあまり期待しないでね、うふふ

食べ物の持ち込みもどうぞ。

あとはその場で考えます。

こちらもお席は、レストラン、バール共に同じように利用して頂きます。ご理解くださいませ。

 

どちらも完全予約制です。

 

 

 

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15年…

長いようであっという間でしたが、でももう一度この同じ15年を、双六ゲームのようにスタートに戻れとなれば無理です。

前しか、未来しか見ずに一歩づつ歩んだから今日まで何とか持ちこたえました。

15年がゴールな訳でもありませんので、これからもそうして進むしかありません。

 

この15年を一言で表すと大変だったの一言に尽きます。

火事もあり、ガス爆発あり、詐欺にもあったし、何回も裏切られたし…でも僕も沢山の人を無意識にでも傷つけたり、追い詰めたりもしてきました。

今となれば多大に反省もしますし、今まで関わって下さった方にはそりゃもう感謝もしております。

 

 でもこれだけ言えるのは、結果としてあまり良くなかったことでも、その瞬間、瞬間は全力で過ごしてきて、その時の僕なりの最良の判断をしてきたつもりです。

いつも、より良くするには?と悩み続けていますが、案外迷いはありません。

もし失敗したら謝ってやり直せばいい。

そう思えるようになりました。

失敗の内容にも寄るのでしょうが、1度や2度の失敗で完全に信用を失うほど,適当にやってきた訳ではないという自負があります。

15年かけて、自分が本気で向き合っていながら上手く行かなかった事に対し、謝罪する自信がつきました。

これに関しては、非常に大きな成長だと思います。

 

芦屋のように小さな街で15年続けようと思うと、いかにリピートして頂けるかに尽きると思っています。

10年間以上、ご予約下さったお客さまが何を召し上がったとか、食やワインの好みなどを書き残し、次回ご予約頂いたときにお好きな物をご用意したり、前回とお料理が被らない工夫をしたりしてきました。

これは僕がお客として、レストランで受けるサーヴィスとして一番嬉しいサーヴィス。

だから、これだけはオープン当初から相当頑張ってきましたし、レストランには予約していきましょう!と、オープンしたての28歳の若造が生意気にもお客様に啓蒙活動してました。

 

やっぱりね、悔しいんですよ。

お越しになるの分かっていれば、あれ仕入れといたのに、これ仕込んどいたのにって思うのがね、悔しいんです。もっと楽しんで頂ける工夫できるはずなのに。

一時期、その思いが強くなりすぎて、完全予約制のお任せコースだけにしようかと本気で悩みました。

 

本気で頑張っている人が陥りやすい失敗の代表ですね。

工夫が本質を上回ってしまうケース。

真面目なスタッフの失敗は、大体このパターンです。

 

例えばディッシュウォーマーという、お皿を温めておく収納庫があります。

最初のお店では導入出来なかった機材。

1軒目のお店ではお皿1枚づつ直火で焼いて温めていました。

もうそれだけで凄い労力です。

オーヴンに入れても温まりますが、お客さんが触れる淵まで熱くなります。

直火で皿の真ん中を焼けば、お皿は熱々、淵は温かい位に調節できます。

もうこのお皿温めるのが、大変で面倒で、でも熱い料理は熱い皿にと修行中徹底してきたので、止めるわけにはいかないし。。

最初の移転はディッシュウォーマーが置ける店にしたい!というのが大きな理由の一つでもありました。

 

1軒目の店で働いていた、大神くんや楠戸くんもディッシュウォーマーは喜んでいましたね。ホント大変でしたから。

不思議な事に、ディッシュウォーマーが店にあるのが当たり前なスタッフは、ほぼ全員お皿を出して並べるのが早すぎるんです。

高いお金出して、スペースも電気も食う,この皿を温めるしか能のないディッシュウォーマーがせっかく温めたお皿をどんどん並べちゃう。

料理盛る頃にはお皿冷めちゃってるんです。

そして概ね彼らに悪気はありません。

むしろ効率を考えて(彼らなりに)今のうちにお皿並べてその後これしてって、考えてるのだと思います。

考えること自体は良い事です。

でも彼ら目線の効率には、大体ロマンがありません。

なおかつ効率的でもありません。

作業の箇条書き止まりです。

ロマンチックにこれをしようと思うと、料理が仕上がるタイミング位読み取って、数枚から十数枚位のお皿を並べるのは、呼吸を止めてダッシュです。

無酸素運動な仕事のはずなんです。

それを負荷を掛けず、効率よく(彼ら目線で)やってしまうと、お皿が冷める。

ガス台であっつい思いして直火でお皿を焼き続けてた側から見ると、十数枚の皿を並べるのなんかに効率もへったくれもありません。

究極の非効率でやってた訳ですから。

大体ロマンは無駄な部分(無駄に見える部分)にあるものです。

 

そもそもご来店下さった方に、より満足度を上げる為の工夫として来店履歴を残し、次のご来店に繋げるためにしている工夫が、そこに注力しすぎると、如何に気軽にお越しになるお客様が来にくい店になるかという工夫に、ゆっくりと、自然に、でも確実に形を変えていきます。

危ないところでした。

でも未だに、レストランには前日までに予約をして行こう!という啓蒙活動は続けています。もしキレッキレの料理を望むなら。

ホッとしたい時に、ジラソーレにお越しの方も沢山いらっしゃります。

そんなお客様のためにアラカルトも続けてきました。

コース料理のばら売りではありません。ホッとする料理です。

 

お任せ料理は相変わらず渾身の力を込めますし、ホッとしたいお客さんにホッとする料理をお出しする楽しさも見出しました。

やっと少しは肩の力が抜けたのかも知れません。

 

最近お客さんとのやり取りのなかで、あ、僕はこんな店がしたかったんやな。と、思える事が増えてきました。

理想に近づいてきたというより、理想的な瞬間が点在するようになってきました。

 

どんな瞬間かというと、お客さんと一体感を覚えたり、繋がった気がしたり、分かり合えたりした気がする瞬間です。

もし大都会や超観光地で店をしてたら、もしかしたら売り上げはもっとあるかも知れませんが、週に何回も来て下さったり、下手したら昼、夜続けてお越しになる方ってあんまりいないんだろうな、と思います。

 

きちんといらっしゃいませと言った後は、お客さんにも気軽に突っ込み入れれたり、ボケれたり、この客単価の店としてはフランク過ぎるかなと思う事もありますが、決して初めからそんな接客をしていた訳でなく、気が付くと店とお客さんながら、人対人のお付き合いをさせて頂けてるなぁと、つくづく幸せに思います。

これって、非常にイタリア的なんですよ。

イタリア料理店として、こんな素敵な事ありません。

 

最初に自分が掲げていた理想より、もしかしたらずっと素敵な店になりかけているかも知れません。

もしそうなら、それはお客さんの力です。

お客さんのお陰です。

ずーっとバタバタしてきましたが、最高にロマンチックな15年でした。

本当にありがとうございます。

これからもよろしくお願い致します!

5月14日のお知らせ

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