COLUMNコラム
カンティーナのアラカルト
この店舗に移転してきまして、丸5年以上が過ぎました。
移転時は店舗の奥のスペースがレストラン、手前のスペースにバールを設け、ナポリの食文化のピンからキリまでご紹介するコンセプトでした。
でも、始めてみたら全然バールらしくない、料理のニーズが強すぎてバールとして成立しないという、ある意味嬉しい悲鳴であり、でも最終的には制御不能になり軽い挫折も味わった訳ですが、そんなに食べるの目当てならトラットリアにしましょか?と華麗なる変身を遂げた訳です。
これが始めてみると大正解でした。
仕事上のストレスの大部分が、一気に解消しました。
簡単にいうと、よりフルスイング出来るんです。
このフルスイングというのが曲者で、実はフルスイングする事自体は全然難しくありません。
むしろ簡単というか楽しいというか、誰だってボールが来たら思いっきりバットを振りたいもんです。
ボールに当たればホームランかも知れませんが、空振りの可能性も上がります。
これがフルスイングです。
そしてフルスイングは楽しく、気持ちの良い物ですが、フルスイングばっかりも飽きます。
技術や頭脳やチームプレイを織り交ぜて、初めてゲームも仕事も成り立つものだと思います。
その中で、ここぞという時のフルスイングが仕事の醍醐味だと思います。
迷いのない状態ですね。
夏のジラソーレの隠れた名品で、夏になると一部熱狂的ファンから催促が
来る料理。
ナポリのトリッパ料理の代表選手、トリッパと豚足のサラダ。
サラダといえど野菜なし。トリッパと豚足を塩気とレモンの酸味で喰らいます。
そしてこの料理、オリーブオイル使いません。トリッパと豚足の脂っ気とゼラチン質でモイスチャー成分が足りてるからです。
僕はこの料理と本気で向き合ううちに、日本の極上の魚をカルパッチョにする時、オリーブオイル要らんのちゃうかと思い始めた訳です。
トリッパに本気で向き合うと、避けて通れないのがホンマもんのトリッパを仕入れるかどうか、という点。
ホンマもんの生のトリッパは、こんな感じのおっさんの靴下みたいな色してます。
これを根気と根性と鼻歌で、黒いの剥がしていきます。
僕、めちゃ早なりましたけど、それでも1個15分くらいは掛かるんちゃいますかね。
真っ白になって売ってるやつは、なんであんなに真っ白か…
M.Jもだんだん白なっていきましたが、あんまり体によろしくは無さそうです。
茹でると結構小ちゃくなります(T . T)
こんな感じで、超面倒な下処理をしなければなりませんので、絶対ロスを出したくありません。
お金の問題じゃないです。
しかし、結構好き嫌いが分かれる食材。
ロスになってしまう事が続くと、色々考え出す訳です。
1、もう止めとこう。
2、もう少し一般受けするように、食べやすくアレンジしてみよう。
僕も作らない年もありましたし、ちょっと食べやすくレシピを変えた事もあります。
でも、どちらの解決法も、誰も幸せにならないんですね。
そもそもトリッパのサラダ食べたい方は、トリッパの味が好きなので、メニューから消えるのも残念だし、気の抜けたトリッパ料理が食べたい訳でもありません。
トリッパが嫌いな方は、なんぼデリケートな仕立てでも要らんもんは要らん訳ですから、同じく注文しません。
では、トリッパに対するフルスイングとは、余計な事せず、新鮮なトリッパを適切な処理して、新鮮なうちにトリッパ感満載で提供することです。
フルスイングする以上、空振りのリスクがあります。
その空振りした(オーダーが入らない)場合の作戦が立っていれば、その作戦に実績があればあるほど、この超シンプルなトリッパ料理に、大胆かつデリケートにフルスイングできます。
アラカルトで注文が入らなくても、コース料理の突き出しや前菜の盛り合わせに、お客さんのお好みを聞きながら提供出来ます。
もちろん苦手な方には出しませんし、注文には至らなくても食べたかったという方は多いものです。
ひとつの食材を超シンプルにバーン!とお出しする楽しさ、同じ食材に更に手間をかけ、他の食材との組み合わせなども工夫したクリエイティブな料理の楽しさ。
これがアラカルトしかないお店、またはコースしかないお店だと中々この提案が出来ません。
大変でもありますが、ジラソーレの強みはここだと思っています。
これを、スペースも分けてアラカルトでトラットリア料理、コースでリストランテ料理にしたことで、お互いの立ち位置がハッキリし、より明確なコンセプトになったと思います。
そして今一番のおすすめ!
アイルランド産ヘルフォード種という牛肉のビステッカ!!!!
17年間、こんな感じの肉質探してました。
その気になればキアニーナ牛も買えますが、めちゃ高いです。
お客さんの反応も凄く良いです!
まだ召し上がってない方、是非!
赤身でしょ?でも硬くなく凄くジューシーです。
オススメです!
それともう一品、丹波の地鶏です。
こうして丸鳥で仕入れますので、色んな部位を炭&薪で焼いてお出ししてましたが、
胸肉は炭でなく、たっぷりのバターでゆっくりローストに変えました。
もちろん色んな部位を盛り合わせで出しますよ!
今年も桃パフェ始めます!!
ジラソーレドルチェマニアの皆様〜!
大変お待たせしました!
今年も始まります!
ドーン!!
この季節の定番、桃パフェです!
美味しい旬の桃が手に入ったのでただ今せっせと仕込みをしています!
この桃パフェ、イタリア帰りのパティシエから見ても、非常に完成されたデザートです(自分で言うなって突っ込んでくださいね)
桃をより桃らしく食べていただける一品です
ジラソーレの定番のドルチェ達、戻ってきてから違う角度で一度見直してレシピをちょっと変えたりすることもあったのですが、これに関しては足す必要も引く必要もないです
桃のジューシー感、ジュレのもっちり感、シャーベットのさっくり感、クリームとアングレーズのトロっと感。
いつものジラソーレスタイルで色んなパーツを全部一緒にお口に入れてみてください!
どれが桃でどれがゼリーで?120%桃なデザートです!
桃の香りが大変よくうっとりしながら仕込みをしています!私も幸せな気分に浸りながらお作りしています
今週金曜日からスタートします。
仕入れ状況により、桃の数に限りがある場合があるのでどうしても!な方は是非お問い合わせくださいね!
おまちしておりま~す!
約1年ぶりに復活!ディナーの伝統料理のコース
去年の究極な人手不足が原因で、創業時からの2枚看板でした伝統料理のコースを取り止めていましたが、この度華々しく復活します!
アラカルトでナポリ料理してるから、要らないかな~とも思ってたのですが、結構リクエストありまして。
リクエスト下さる方ほとんど、値段は8500円で良いのでナポリらしいのお願い!って仰りますが、6000円で僕の思うディープなナポリ料理を表現してみたいと思います。
それと、毎日そんなにめちゃめちゃ忙しい訳でもないのですが、月2回以上ディナーコースに来る方が凄く増えてきまして、同じもの出すのも気がひけるし、簡単にアレンジしたような物出すのも失礼ですし、てな訳で9月頃から始めるつもりでしたが、今週から始めます!
お昼に美食家のコースというのを¥6000でご用意してましたが、名称改めこちらも伝統料理のコースとします。
整理しますと、
ランチタイム
・お昼のショートコース(メインなし) 2800円
・ジラソーレランチコース 3800円(ランチコースもご予約をお願いしております)
・ナポリの伝統料理のコース 6000円(当日11時までに要予約)
・季節のシェフのおすすめコース 8500円(前日までの要予約)
ディナータイム
・ナポリの伝統料理のコース 6000円(ご来店までにご予約お願いします)
・季節のシェフのおすすめコース 8500円(当日16時までに要予約)
という事ですね。
ついでにカンティーナの方も整理すると
ランチタイム
・サーヴィスパスタランチ 1300円 (11時30分スタートのみ予約可)
・定番メニューのアラカルト (11時30分スタートのみ予約可)
ディナータイム
・定番メニュー+本日のおすすめ料理のアラカルト
(17時30分から21時30分の間予約随時可能)
ご気分で使い分けて下さいませ。
IL PANE È ORO 〜パンは金なり〜
皆さまこんにちは!
パティシエ藤本です!
いや〜早い!もう7月も下旬ですね!
日本・芦屋に戻ってきて既に4ヵ月経ちました。。。
去年の今頃のナポリはバカンス真っ只中世界中から観光客が来て賑わっていました。
朝は9時から夜は深夜2時。休みの日は他のレストランへ研修という名のアルバイト。
正直イタリア行く前はジラソーレで働いてる時よりもゆっくりできて、スローなイタリアンライフを過ごせちゃうのかしら〜
なんて思っていたのですが、イタリアにいてた方がハードだったかもしれません笑
まあ、幸い海の近くのレストランだったので、休憩時間くらいはビーチでのんびり過ごしたりできました
戻ってきてからジラソーレに馴染みすぎて藤本さん、イタリア行ってたっけ?状態ですが、一年間だけですが、かなり濃い時間を過ごして来ましたよ!
話したいこと。と言うか聞いてほしいカルチャーショック、美味しかった出来事やへぇ~なことなどたくさんあるので今月から勝手に連載始めます。
題して「〜パティシエ藤本が出会ったおかしなナポリ〜」
また杉原シェフに言うとセンス無いやら、失笑されると思うのでこのままコラム強行アップで事後報告にしますね〜
さて今月はイタリア人とは切っても切れないもの「パン」についてお話しようと思います。
私が実際イタリアに住み、レストランで働き始めてから最初に感じたことといえば、イタリア人みんなパン好き過ぎ〜!!
世界のパン消費量、イタリアは5位の一人当たり年間55キロだそうです。それでも5位なのか。
ちなみに日本は10位。あら、思ったより上位でした。
だいたいイタリアのレストランって12時にお昼、6時に夜の賄いがあり、ちょっと休憩してからお客さんが来だして営業が始まるんですが、毎回毎回当たり前ですがパスタ、サラダなどの賄いの側にパンも並んでいます。
賄い担当のスタッフがうっかり用意するのを忘れていても必ず誰かが、あれパンは?もう切った?で、賄いが始まるまでには準備されています。
忙しい日が続くと賄いに回ってくるパンも少なくなって来て、そういう日は仕方なくパン無しでパスタを食べるんですが、みんな文句言いまくり、パンは?パン無いん?なんでパン無いん?パン無いんかよ〜
それくらいイタリア人にとって重要なものなんですね。
一緒に働いていたパティシエのフランチェスコ君はある日体調を崩して、パスタは消化に悪いから今日は胃に優しいミネストローネ食べるわ〜言いながら一緒にパン食べてました。
私「パスタはあかんくてパンはいいん??」
フランチェスコ「・・・パンはなあ、いいねん。パンは食べなあかんねん。」
ああ、まさしく私達日本人にとってのお米みたいな存在、どの国にもあるんだなあと思ってたんですが、びっくりしたのはスタッフのリクエストに答えて、ある日おにぎりと味噌汁を賄いで用意したんです。
みんな美味しい美味しいと食べてくれたのですが、やっぱりそのお皿の脇にはパン。
おにぎりと味噌汁食べてもパンを食べないと気が済まないらしいですね〜!
ちなみにお寿司とお吸い物作った時も主食はパンでした。
ところで、土鍋で炊いたご飯で最も貴重な部分って「おこげ」じゃないですか?
おこげがちょっと入ってると、なーんか贅沢で、なーんか得した気分になりませんか?
ある時これも賄いでご飯を炊いた時、自分の中ではうまく出来たなあと思っていたのですが、当時前菜担当だったアレッシオ君に日本人失格だと怒られました。
どうやら私がご飯を焦がしたと。日本人のくせしてコメも炊けないのか!と。
いやいやアレッシオ、これが何か知らんの??イタリア料理だけじゃなくてもっと世界の料理も知らんとあかんで!!
彼は料理に関してはかなり保守派で今どきのコックの中では珍しく日本食にも否定的だったので私はこう言いました。
「これはただの"焦げ”じゃなくて‟おこげ”って言って日本人にとってはとーっても重要なもので、日本人がこれを見たらおおーと喜ぶ部分なんやで。
目上の人にはおこげのさらに一番美味しそうな部分をよそったりするんやで。」と説明。
へえー!(゚∀゚)!とまさしくこんな顔してました!
イタリアにもこういうのあるん?と聞くと、
「あーあるある!もう古い話やけど、あのしっかり焼けたガリッとした皮がある部分はお父さんやおじいちゃんが食べたりするかなあ。
自分もパンの端っこがたまらなく好き!焦げる一歩手前くらいが最高!」
パンがしっかり焼けていることはなによりも重要。
日本とイタリア、場所は違えど主食は違えど、どこも同じなんですね〜
この一件があってたらアレッシオ君、日本食に興味を持ち、ご飯の炊き方を始め色んな質問をしてくれるようになり仲良くなるキッカケにもなりました。
私が連れてきたカラブリア出身のマルコ君が日本で住む上で不安だったことの一つは、美味しいパン(日本のふわふわもっちり系パンじゃなくてナポリ、南イタリアのがっしりしっかりした方)がもう食べられないんじゃないかという事。わたしはふわふわ系パンも好きなんですけどね、ちょっと違うらしいです。
私も渡伊前にもう一年は美味しいお寿司は食べられないのかあ。と悲しんだことを覚えています。
旅立つ前に食べたものは卵かけご飯でした(笑)
幸いにもこの不安は解消。ジラソーレの天然酵母のパンはイタリア人のお墨付きです
美味しい部分はお客様に。
端っこの部分は私達スタッフが。
余ったパンはポルペットーネなどのつなぎにも使います。
捨てるなんてとんでもない!!
今回のタイトル"IL PANE È ORO"
パンは金なり、つまりパンは金のように価値のあるものという意味。
イタリアの3つ星レストランのスーパースーパーシェフ"マッシモ・ボットゥーラ"の出した本のタイトルであり、イタリアの有名シェフ達が考案した余ったパンを活用した料理がたくさん載ったレシピ本です。世界のために捨てずに美味しく食べようね。と、ご飯が十分に食べられない子供達への慈善活動もしているようです。
私がイタリアで働いていたレストランのシェフ"ジェンナーロ・エスポージト氏のレシピも載っていたはず。
話が逸れましたが、こういった背景があり、ジラソーレではオープンして以来ずっと、私たちがおかずと必ずご飯を食べるのと同じように、必ずお料理と一緒にパンをお出ししているんです。
今の店舗に移転してカンティーナのスペースでアラカルトメニューを始めてからもオーダーを伺った際必ず、自家製の天然酵母のパンもご一緒にいかがですか?とお伺いするのもこういった背景、文化があってのことなんです。ふーん
こういった食文化の違いを頭の片隅になんとな~くでも置いてもらった上でジラソーレのお料理を召し上がっていただけるとまたお料理の味が違って感じられるかもしれません。
ご存知でしたか?ジラソーレの自家製天然酵母のパン、テイクアウトもできますよ!
どうやったらジラソーレで食べる時みたいに美味しく焼けるの?と質問をいただくのですが、オーブントースターがあれば、お好みの薄さに切って霧吹きでサッとだけ軽く表面に水分を与えてから焼いてもらうと、不思議とパリッと感が増すんです。
1本お買い上げ頂いてすぐに全部食べきれない場合はお好みの厚さにスライスしてからきちんとラップして冷凍しちゃってください。
意外と持ちます
私は自宅にオーブントースターすら持ってないので、魚焼きグリルで焼いたことがありますがあれも結構いけますね!ただしごく弱火で。しっかり焼けるのでブルスケッタのように薄めのスライスでアンチョビとバターとフレッシュのペペロンチーノのせて食べたり。
ハイ、こんな感じで月一回目標にイタリア体験記アップしていきま~す。イタリア菓子やナポリのコーヒーなども絡めて書いていきますね。
初回からかなり長くて読みにくかったですか?
でも話したいこといっぱいやからなあ。2回に分けたりしようかなあ。
もしおもしろいって言ってもらえたらいつか本にして出版します。
自分の本を出して何か一つでも世の中に残したい。密かな私の夢なんです。
なんせ話し下手なので。
では次回もお楽しみに〜
ワインの楽しみ方の新しいご提案。
おはようございます!
ソムリエ湯浅です。
最近、こんな事はじめました。
そうです。
量りです。
何を量るのかといいますと、
〝ワイン〟です。
それなら、こっちじゃないの?と、シャープなツッコミが飛んできそうですが、
敢えてタニタで、ハカリマス!
入口すぐのフロア、“カンティーナ”で、
毎日、12種類くらいのワインを60ml、90ml、120ml、375ml、500mlの量り売りで、
楽しんで頂く事が出来ます。
折角、カンティーナ=酒蔵という名のスペースですので、
更に、柔軟にワインを楽しんでいただければ、という想いではじめました。
カンティーナのお料理は、ナポリの伝統的な郷土料理をアラカルトで楽しんでいただけます。
そんなアラカルトメニューに合わせてワインをくださいとオーダーされることもあれば、
たくさん気軽にぐいぐい飲みたい方もいらっしゃったり、
はたまた、もうこれだけのお料理しか残ってないから、1杯は多いの・・・や、
ひとつのお料理に2種類のワインを合わせてみたい!という風に、ワインを少しづつ、色々試したい方にもぴったりです。
ワインバー的に、2軒目使いのお客様も大歓迎ですが、なにぶん小さなお店ですので、
一度お店まで、お席の空き状況の確認のお電話をくださいますよう、お願いいたします。