COLUMNコラム
HP頑張る宣言と春の食材の案内
世の中の便利さに振り回されてるなーと思います。
便利さに追い付こうと必死です。
自称アナログ人間ですが、気付けばfbもインスタもラインもしてるし、HPの管理もしています。
僕なりに必死に更新してるつもりですが、ちょっと中途半端かな。
という訳で、まずは自社のHPからの発信を頑張ります。
春らしい食材が目白押しになって来ました。
この前子羊をご案内しましたが、今回イタリアはピエモンテ州、ファッソーネ ピエモンテーゼ種の仔牛が入荷しました。
あっさりしてるのに、グッとくる旨味があり永久に食べれそうなお肉です。
あっさりしすぎてても食べ飽きますが、これはなんとも言えない美味しさですね。
仔牛と言えばカツレツ。
絶対に裏切らない美味しさがあります。
今回メインの食材十分あるのにこの子牛思わず買っちゃいました。
仔牛はあまり日持ちしませんので、えい!と太っ腹。
ランチのメインでもお出ししてます。
無くなり次第終了。
また必ず仕入れますが、ランチでお出しするのは今回限り!
お早めにどうぞ~
淡路のムラサキウニ、通称黒ウニです。
ミョウバンを使っていないので、ナチュラルなウニの潮の香りと甘みが堪りません!
白アスパラとあわせています。
つづく
ヒーヒー言いながらディナーメニュー替え中
あっという間にひと月経ちますね。
もうメニュー替えないとあきませんやん。
ところで大阪の万博公園の太陽の塔の内覧できるの知ってます?
予約制ですって。
近々行くつもりなんですが、予習も兼ねて久しぶりに岡本太郎の本を読んでいますが泣けますね。
20代のころにも読んだ事ありましたが、その当時は何とも思わなかったのに今はもう一行ごとに赤線引きたくなります。
エラそうな言い方ですが、そうなのか!と新しく何かを理解するというより、え、そう思ってて良いのか?岡本太郎もそこで戦っていたのか!と魂の共感を覚えます。
特に、何か残せるなと思ったものから破壊するべし、
否定されることを恐れない
孤独を恐れない
この辺はありきたりな言葉のようですが、創作する、制作する、評価されることが日常なこの仕事を長く続けると、何度も壁にぶち当たります。
で、大変ですがその壁は乗り越え(岡本太郎的にはぶち壊す)ないと先には進めません。
これは数年前から気付いていましたが、壁にぶち当たったときの壁とはまさに自分自身です。
大変でもこの壁を超えると必ず視界が広がっていきます。
それに気づいてからは、壁にぶち当たるのが嬉しくもあります。
今まで良いと思っていたものを、良いと思えない。
今まで満足できていたものに、満足できない。
スランプとか壁にぶち当たってるときは、大体これです。
明確な目標とかテーマが見えてるときは、そんなにスランプになりません。
今の自分になれてくるとやってくるのです。
去年ぐらいから新作が増えています。
理由の一つが、海の旬と畑の旬がずれてきているため、今までの鉄板の組み合わせの仕入れが出来ない事が増えたため。
でももう一つの理由も結構重大で、今まで感じ取れなかった食材の個性や表情を感じれるようになったから。
感じてしまったものは仕方ありません。
形にしないと。
それでも未だに全く魅力が失せない料理もあります。
大体地味な料理ですけどね。
1品でも多く、これ以上工夫の仕様がないというところまで持って行きたいものです。
目板カレイと原木椎茸とほうれん草のズッパ
新しくて懐かしい味がします。
完全変態 ~バールからトラットリアへ~
不本意ながら、時々変態料理人と呼ばれることがあり、無理やりそれは賞賛だと思うようにしています。
今回のお題は完全変態。
そう、賢い皆様ならお分かりですね。
生物が成長過程で著しく姿を変える事も変態と言います。
僕も痩せたり太ったりが著しいですが、こういった変化は不完全変態。
幼虫、サナギ、蝶みたいなのを完全変態というそうです。
サナギがポイント。
活動がほぼ停止した状態のサナギ期間がドラマチックです。
なんの話かというと、バールの話です。
お気づきかも知れませんが、去年末、特に今年に入ってからバールという言葉を使わなくなりました。
店内でもNGワード指定です。
そう、脱バールを図っています。
丸3年半、バールを色んな形で模索してきましたが、どうやら僕はバールするの向いてなさそうです。
そして何より来客数、売上が上がれば上がる程、シュエシュエがバールとしての体をなしていません。
95%のお客さんがシュエシュエをバール扱いしていないという現実。
皆さん、ビックリするくらい本気で食べに来てくださります。
カフェだけピュッとひっかけてお帰りの方なんて、年間5人いません。
レストラン扱いなんです。
試しにシュエシュエ(つまりはバールスペース)で子豚のローストや乳飲み仔羊の炭火焼きをメニューに載せると、出まくります。
乳飲み仔羊の炭火焼き
去年の秋ごろから本気で悩んでいましたが、その頃はレストランのディナーコース3種とレストランのアラカルト、それと別でバールの惣菜とバールのアラカルトをしてまして、アラカルトは被る部分もありましたが、気が遠くなる仕事量でまいっちんぐマチ子先生でした。
思い切ってレストランはクリエイティヴなナポリ兵庫料理のコース、シュエシュエはスタンダードなナポリ料理をアラカルトでという風に変えたら、非常に評判が良いです。
確かに、こんな感じのトラットリアあったら行きたいなと思います。
イタリア料理のド定番のトリッパの煮込み
バールだと思うと躊躇しましたが、トラットリアとリストランテと思うと、なんや、僕の修行の一番頑張ったとこで、一番得意なとこだと気づきました。
3月はシュエシュエの売り上げ過去最高でした。
完全にトラットリアになってきました。
レストランのコースで出しにくい煮込み系もできるし、超地味な現地料理もできるし、コースでしかできない物、アラカルトでしかできない物をきっちり分ける事が出来て、料理人としては非常に楽しい店になりました。
コントローネ産白いんげんとスカローラとパスタの煮込み
超地味かつ超マニアック。現地感200%
そう思うとこんなことも出来る、あんなこともしたいと、沢山のアイデアも出てきて、ああ、この店して良かった。とつくづく思います。
この直前は史上最恐の人手不足の期間でして、シュエシュエが開けれない、もしくはカフェのみの営業という日も多かった。
つまりサナギ期間ですね。
これでお茶だけのお客さんがそこそこあればバールに固執していたかも知れませんが、カフェ利用なんてほんと少ない。
ならトラットリア化を本気でする方が、皆ハッピーでしょう。
と思い、脱バール作戦が始まったのです。
そもそもほとんど誰もバール扱いしてませんので、そんなに問題なさそうですが。
骨付き豚ロースの炭火焼き アリスタ
とこんな感じでトラットリアに向けて変態中です。
今年中にシュエシュエは改装も予定しています。
美しい蝶になって羽ばたきますので、お楽しみに!
baba' napoletano! o' baba' na cosa seria...ナポリ風ババ
早い物でもう3月中旬。。。
年明けたと思ったらもう確定申告ですよ。
ご存知の通り、年明けからパティシエ不在で今年が始まり、15年前のオープン当初並みに出勤時間が早くなり、1月2月はほとんど僕と木原とトッキーの3人で店を回しました。
お客さんにも多少ご迷惑をお掛けしたと思います。
何より、お席がまだ空いていてもお断りするケースもありましたし、電話に出れないときもありました。
3人だとレストランでコースのご予約がある程度入ると、シュエシュエを機能させれません。
これが悔しかった。
でも木原さんもトッキーも、少しでもシュエシュエも機能させる努力を最大限してくれて、男3人超体育会系なのりで結構楽しく働けました。
お二人には感謝です。
それでも1日24時間。
仕事の総量を考えると、ある程度整理しないととても間に合いません。
苦渋の決断でしたが、続けたかったドーナツは諦め、ショーケースのデザートを4種に絞りました。
出来れば5種にまで戻そうとは企んでいますが。
それプラスジェラートが5,6種類。ジェラートは串カツあーぼんから研修に来てる大くんが、頑張ってくれてるとして
レストランのコース料理は仕込みも全部僕がしますし、シュエシュエの惣菜半分、パンも僕がしてますのでお店がゆっくりしてる日も、1秒も止まらず必死のパッチで仕込み続けないと間に合いません。
さらにレストランでお出しする用のオーダーごとに仕上げるレストランデザート。
これも去年までは2,3種類常備してましたが、これは1種が限界だなと。
そこで思いついたのはデザート部門で潮の香りのパッケリ級の人気者を育て、それを年間定番で置こう!作戦でした。
そこで白羽の矢が立ったのが、ババ。
昔ナポリで習った通りに作り続けてたつもりですが、何となく漠然とまだもっと美味しくなる予感がしていました。
よし、せっかく自分で作るからには生地や発酵全部見直して、ナポリ人が椅子から転げ落ちるくらいのババに仕上げようと1月から工夫しまくりました。
大体こういうテコ入れで工夫しだすと、最初は失敗します。
すみません、1月はイマイチでした。。。
しかーし!2月下旬ごろからイメージ通りのババに近づき、かなりの完成度になりました。
丁度そのころナポリから僕の友達が遊びに来ましてジラソーレで食事をしたのですが、試しに黙ってババを食べさせたら、椅子から転げ落ちませんでしたが椅子から立ち上がり、厨房まで来てまさかこのババもお前作っての?とある意味ドン引きしてました。
よし。
まずこの写真の左側2つは去年までの作り方の物です。
右側2つは一回り大きいのが分かりますか?
1つの生地の重さは計量してますので同じですが、発行具合その他もろもろで大きく膨らもます。
大きく膨らめば良いという訳ではないのですが、これで中に巣が入らず、たっぷりシロップを吸いながらベチャベチャでなく、柔らかいのに弾力があり、こんなボリューミーなのに超軽い。そこを目指し続けました。
更に発酵も研究したことろ、
じゃーん。
真ん中と右のは、上の写真の右側と同じ生地です。
この左側のババの存在感!
もうね、全身鳥肌ですよ。
1年かけてこのレベルになれば良いなあと思ってましたが、偶然でもあるでしょうが2か月で出来ちゃった。
この感覚を忘れないうちに続けて焼いて、まあ、大体このレベル焼けるようになってきたのでご報告します。
僕、優しいのでイタリア出発前の藤本にも自慢げに食べさせたら、
非常に腰が低くなり、シェフ、これもう一度教えて下さい!だって。わはは。
という訳で出発までのわずかな期間、また修行に来てます。毎日ではありませんが。
師匠の面目保てましたが、やはり本職のパティシエにはかなわない事も多いです。
一回りも二回りも大きくなって帰ってきて欲しいもんです。
という訳で、
シュエシュエのショーケースに並んでいるババのビジュアルは現在こちらです。
以前はこんな感じでアマレーナチェリー乗せたりしてましたが、撤去しました。
無いほうが圧倒的に美味しいです。
上のも生クリームの下にババ用に開発したクリームも入っていてクリーム2層です。
僕が作ると料理もお菓子も装飾がどんどん無くなりますが、知った事ではありません。
装飾が美味しさを上回ったケースを44年間見た事ないので却下。
そして
この装飾ゼロのでも完璧に鍛え上げられたボディーを持つババに、立てたての生クリームを添え、お好みの高級グラッパをお選びいただき数滴かけてお出しするのがディナーの新しい定番になりました。
もう一つ
ババには酸味のあるフルーツは要らないと思う。
まあ、のっけりゃ売れるのでしょうが、それよりこれをお試し頂きたい。
ババ用に開発したクリームと生クリームまではシュエシュエ仕様と同じですが、オーダーごとにマラスキーノでマリネしたバナナをキャラメリゼした物と、ラムレーズンの自家製ジェラートを添えるバージョン。
こちらはお酒飲めない方でも大丈夫!
勿論酒好き、甘いもん好きにもお勧めです。
これぞ茶色の美学。
ディナーコースのデザートの新定番です。
最近はオーブンの中でぷくーっとふくれるババが可愛くて仕方ありません。
という訳で、苦手なバースデイケーキもババにしてしまおう作戦です。
今年バースデーケーキのご依頼は全てババでお受けしますのであしからず。
ところで、ちょっと色気づいて流行りっぽい皿買ってみました。
お皿は超カッコいいし、こう見ても悪くないけど、店中から僕らしくないと凄いブーイングでした。
上のナポリの皿が似合ってるとの事。
がくっと来たけど、考えようによってはお皿自体に作家性の強いものと僕の料理やお菓子が喧嘩するなら、こんなに装飾がない料理やお菓子を作っているのに僕の料理やお菓子には作家性、個性が十分あるのかな?と思いました。
2枚だけこのお皿ありますので、興味ある方は声かけてください。
同じ料理を別のお皿でお出ししますよ。
長くなりましたが、ババ美味しいです。
食べてみてください。