完全変態 ~バールからトラットリアへ~
完全変態 ~バールからトラットリアへ~
不本意ながら、時々変態料理人と呼ばれることがあり、無理やりそれは賞賛だと思うようにしています。
今回のお題は完全変態。
そう、賢い皆様ならお分かりですね。
生物が成長過程で著しく姿を変える事も変態と言います。
僕も痩せたり太ったりが著しいですが、こういった変化は不完全変態。
幼虫、サナギ、蝶みたいなのを完全変態というそうです。
サナギがポイント。
活動がほぼ停止した状態のサナギ期間がドラマチックです。
なんの話かというと、バールの話です。
お気づきかも知れませんが、去年末、特に今年に入ってからバールという言葉を使わなくなりました。
店内でもNGワード指定です。
そう、脱バールを図っています。
丸3年半、バールを色んな形で模索してきましたが、どうやら僕はバールするの向いてなさそうです。
そして何より来客数、売上が上がれば上がる程、シュエシュエがバールとしての体をなしていません。
95%のお客さんがシュエシュエをバール扱いしていないという現実。
皆さん、ビックリするくらい本気で食べに来てくださります。
カフェだけピュッとひっかけてお帰りの方なんて、年間5人いません。
レストラン扱いなんです。
試しにシュエシュエ(つまりはバールスペース)で子豚のローストや乳飲み仔羊の炭火焼きをメニューに載せると、出まくります。
乳飲み仔羊の炭火焼き
去年の秋ごろから本気で悩んでいましたが、その頃はレストランのディナーコース3種とレストランのアラカルト、それと別でバールの惣菜とバールのアラカルトをしてまして、アラカルトは被る部分もありましたが、気が遠くなる仕事量でまいっちんぐマチ子先生でした。
思い切ってレストランはクリエイティヴなナポリ兵庫料理のコース、シュエシュエはスタンダードなナポリ料理をアラカルトでという風に変えたら、非常に評判が良いです。
確かに、こんな感じのトラットリアあったら行きたいなと思います。
イタリア料理のド定番のトリッパの煮込み
バールだと思うと躊躇しましたが、トラットリアとリストランテと思うと、なんや、僕の修行の一番頑張ったとこで、一番得意なとこだと気づきました。
3月はシュエシュエの売り上げ過去最高でした。
完全にトラットリアになってきました。
レストランのコースで出しにくい煮込み系もできるし、超地味な現地料理もできるし、コースでしかできない物、アラカルトでしかできない物をきっちり分ける事が出来て、料理人としては非常に楽しい店になりました。
コントローネ産白いんげんとスカローラとパスタの煮込み
超地味かつ超マニアック。現地感200%
そう思うとこんなことも出来る、あんなこともしたいと、沢山のアイデアも出てきて、ああ、この店して良かった。とつくづく思います。
この直前は史上最恐の人手不足の期間でして、シュエシュエが開けれない、もしくはカフェのみの営業という日も多かった。
つまりサナギ期間ですね。
これでお茶だけのお客さんがそこそこあればバールに固執していたかも知れませんが、カフェ利用なんてほんと少ない。
ならトラットリア化を本気でする方が、皆ハッピーでしょう。
と思い、脱バール作戦が始まったのです。
そもそもほとんど誰もバール扱いしてませんので、そんなに問題なさそうですが。
骨付き豚ロースの炭火焼き アリスタ
とこんな感じでトラットリアに向けて変態中です。
今年中にシュエシュエは改装も予定しています。
美しい蝶になって羽ばたきますので、お楽しみに!