COLUMNコラム
ディナーコースのお料理替わりましたよ!~僕なりの原点回帰~
ほんのつい先日色んな支払いして、ほんのつい先日給料払ったのに、また次の請求書も来てるしまた給料日がやってくる。
それだけで十分息苦しいのに、ひと月経ったという事はメニューも変えなければいけないという事でもあります。
もう少し引っ張りたくても予約帳ペラペラとめくれば、そんなに真っ黒に埋まってる訳ではないのに、律儀な常連さん達の月一来店は目前なのでこれまた必死のパッチでメニュー替えです。
全品についてコラム書くと長すぎてメニュー変わっちゃいますので、1品ずつフォーカスしていきます。
お料理名はレストランメニューのディナーのページで見れますので、のぞいて下さいね!
今日ご紹介する料理は16年以上作っている春から初夏のジラソーレの風物詩的な料理
スルメイカとジャガイモとアーティチョークの蒸し煮です。
ナポリ料理でもソレントからアマルフィーにかけての海岸線地帯で良く作られる料理です。
原型はアーティチョークは入っておらず、スルメイカとジャガイモだけです。
結構家庭的というか田舎っぽいというか、見た目は色気のない料理です。
そもそも日本でスルメイカを美味しいと思ったことはなく、固いイカくらいにしか思ってませんでした。
初めて現地で食べたとき、あ、どうせイカ固いやろな。芋だけ食べたらいいわ位にリスペクトゼロで食べました。もちろんジャガイモから。
!!!!!!!うめー!
和食のイカと大根を炊いたやつも大根だけやたら美味しいのと同じで、その大根くらいの美味しさと思って食べたら仰け反りました。
うわー、これジャガイモだけでもメチャ値打ちあるわーと、あまりにジャガイモが美味しいのでイカでテンションが下がらない様、3口連続芋を食べました。今度イカばっかり残っても嫌なのでイカも渋々食べました。
…なんで固くないん?
もちろんトロケル柔らかさではありませんが、くちゃくちゃ噛み続けないといけないという事なく、むしろジャガイモと一緒に食べても口どけスピード一緒やん!と衝撃を受けました。
なんでイタリア料理ってこんな適当感満載やのに理にかなってるのでしょうか。
しかもスルメイカとジャガイモという超庶民的な食材の料理で感動がある。
僕がナポリ料理に妄信的にハマったきっかけの料理の一つでもあります。
ね、美味しそうでしょ?
これは2017年の写真
これは2016年の写真
画像が悪いのは別として、イカが輪切りですね。
イカは輪切りじゃないとダメだと思ってた最後の年。
2017年からスルメイカの繊維が見えるようになり、輪切りを辞めました。
味は大きく変わったわけではありませんが、確実に美味しくなりました。
この料理は煮込み料理として温前菜としてお出しするのが定番ですが、これを使ったパスタやリゾットもめちゃ美味しいです。
イカのカットを変えて完成形を見たかなと一瞬思いましたが、まだ美味しくなるはずとモヤモヤしていました。
ジャガイモがイカの出汁を吸い、アーティチョークが筑前煮のごぼうの様に料理全体に美味しい苦みと香りを与え、イカも歯切れよく美味しく食べられる。
正直ナポリで食べたどのスルメイカとジャガイモの煮込みより美味しく出来ていると思うのですが、なんかモヤモヤしていました。
唯一引っかかるのが、メチャ美味しいけど味に隙間がない事。
このジャガイモ、イカの味吸い倒してホンマに美味しいわーと、皆さん仰って下さる。
確かにそうなんですが、もう少し、しかも所どころジャガイモのニュートラルな味が残っているともっと美味しいはず。
イカも切り方変えてさらに口当たり良くなったけど、この時期のスルメイカの新子はさっと火を通すとまさにトロケル柔らかさがあります。
この大鍋で長時間加熱した煮詰まった出汁感の美味しさと、食材のフレッシュさを何とか共存できないもんか。。。
多分10年位考えていました。
いっそガストロヴァック(メチャ高い最新(でもないか)調理機器。ここで妄想してるようなことが、この機械を使えば出来ます)買うかな。と真剣に考えた事もありました。
まあ、スチームコンベクションオーブンすら改めて検討して要らんわ、と思った僕がそんな機器を買うはずもなく、悶々としたまま今年もスルメイカの新子の季節がやってきました。
丁度前回のディナーの来店から2週間しかたってないのに、また予約を下さったせっかち常連さんの来店が目前で、なんかちゃうモン出さないとなーと更に悶々としてたらフッと閃きました。
あ、こうしたら個々の素材の味が全部際立ったまま、イカの出汁を適度に吸いかつ調和するはず。。。
折角閃いたのに、今年は空前のスルメイカ不漁。
前もって予約注文入れてもスルメイカがないという国家的危機。
スルメイカと秋刀魚位だったんですよ、日本の食料自給率ほぼ100%だったの。
これを国家的危機と言わずなんと言いますか?
神戸の中央市場で3日連続スルメイカがなかったので、シビレを切らして大阪までスルメイカゲットしに行きました。
欲しいサイズより少し大きかったけど、せっかちさんの予約当日。試作もなしで一発本番ですが僕の頭の中では完成してました。
ちなみに理想のサイズはこれ。
はい、こんな感じです。
どのみち地味ですが、イカはプリっとトロっとしてますし、ジャガイモはイカの出汁もアーティチョークの出汁も吸っていますが何より超ジャガイモの味がしますし、全体をア―ティチョークが上手い事まとめています。
何が違うかと言えば、今までは2日分位をまとめて仕込んでいました。
少量で作るよりある程度の量を仕込む方が美味しいからです。
カレーの原理ですね。
今回の工夫は大鍋で炊いた旨み、香りを引き出しつつ全食材の風味、個性を最大限表現するというテーマでオーダーごとに通ってから作っています。
簡単に書いていますが超難しいです。
しかしリターン大。
我ながら気の済んだ仕事になりました。
しばらくこれで行きます。
見た目メチャ地味ですが、れっきとした、紛れもないリストランテ料理だと思います。
臨時休業のお知らせ
誠に勝手ながら5月23日(水)は臨時休業させて頂きます。
G.Wの激務のちょっとした休息です。
24日のランチからばっちり営業しておりますので、よろしくお願いいたします。
今更ですが、5月1日は振替休日です!
すみません、GWのご案内をすっかり忘れていました!!!
相変わらず振替休日の告知まで僕の仕事なのです笑!
お陰様で忙しく過ごさせて頂いてます。
今日はお店は休みですが、ナポリ風ババが殺人的な出方で仕込みが追っつかず、ついに休日出勤です。
そしたら予約の電話鳴りまくりでババが作れません笑
何名様かに一人でもHP見てくれたらラッキー作戦です。
それとちょっと水漏れしてまして、応急処置で連休しのいでましたが、今日はちょっと本格的に工事が入ってる次第です。
また明日以降よろしくお願いします!
HP頑張る宣言と春の食材の案内
世の中の便利さに振り回されてるなーと思います。
便利さに追い付こうと必死です。
自称アナログ人間ですが、気付けばfbもインスタもラインもしてるし、HPの管理もしています。
僕なりに必死に更新してるつもりですが、ちょっと中途半端かな。
という訳で、まずは自社のHPからの発信を頑張ります。
春らしい食材が目白押しになって来ました。
この前子羊をご案内しましたが、今回イタリアはピエモンテ州、ファッソーネ ピエモンテーゼ種の仔牛が入荷しました。
あっさりしてるのに、グッとくる旨味があり永久に食べれそうなお肉です。
あっさりしすぎてても食べ飽きますが、これはなんとも言えない美味しさですね。
仔牛と言えばカツレツ。
絶対に裏切らない美味しさがあります。
今回メインの食材十分あるのにこの子牛思わず買っちゃいました。
仔牛はあまり日持ちしませんので、えい!と太っ腹。
ランチのメインでもお出ししてます。
無くなり次第終了。
また必ず仕入れますが、ランチでお出しするのは今回限り!
お早めにどうぞ~
淡路のムラサキウニ、通称黒ウニです。
ミョウバンを使っていないので、ナチュラルなウニの潮の香りと甘みが堪りません!
白アスパラとあわせています。
つづく
完全変態 ~バールからトラットリアへ~
不本意ながら、時々変態料理人と呼ばれることがあり、無理やりそれは賞賛だと思うようにしています。
今回のお題は完全変態。
そう、賢い皆様ならお分かりですね。
生物が成長過程で著しく姿を変える事も変態と言います。
僕も痩せたり太ったりが著しいですが、こういった変化は不完全変態。
幼虫、サナギ、蝶みたいなのを完全変態というそうです。
サナギがポイント。
活動がほぼ停止した状態のサナギ期間がドラマチックです。
なんの話かというと、バールの話です。
お気づきかも知れませんが、去年末、特に今年に入ってからバールという言葉を使わなくなりました。
店内でもNGワード指定です。
そう、脱バールを図っています。
丸3年半、バールを色んな形で模索してきましたが、どうやら僕はバールするの向いてなさそうです。
そして何より来客数、売上が上がれば上がる程、シュエシュエがバールとしての体をなしていません。
95%のお客さんがシュエシュエをバール扱いしていないという現実。
皆さん、ビックリするくらい本気で食べに来てくださります。
カフェだけピュッとひっかけてお帰りの方なんて、年間5人いません。
レストラン扱いなんです。
試しにシュエシュエ(つまりはバールスペース)で子豚のローストや乳飲み仔羊の炭火焼きをメニューに載せると、出まくります。
乳飲み仔羊の炭火焼き
去年の秋ごろから本気で悩んでいましたが、その頃はレストランのディナーコース3種とレストランのアラカルト、それと別でバールの惣菜とバールのアラカルトをしてまして、アラカルトは被る部分もありましたが、気が遠くなる仕事量でまいっちんぐマチ子先生でした。
思い切ってレストランはクリエイティヴなナポリ兵庫料理のコース、シュエシュエはスタンダードなナポリ料理をアラカルトでという風に変えたら、非常に評判が良いです。
確かに、こんな感じのトラットリアあったら行きたいなと思います。
イタリア料理のド定番のトリッパの煮込み
バールだと思うと躊躇しましたが、トラットリアとリストランテと思うと、なんや、僕の修行の一番頑張ったとこで、一番得意なとこだと気づきました。
3月はシュエシュエの売り上げ過去最高でした。
完全にトラットリアになってきました。
レストランのコースで出しにくい煮込み系もできるし、超地味な現地料理もできるし、コースでしかできない物、アラカルトでしかできない物をきっちり分ける事が出来て、料理人としては非常に楽しい店になりました。
コントローネ産白いんげんとスカローラとパスタの煮込み
超地味かつ超マニアック。現地感200%
そう思うとこんなことも出来る、あんなこともしたいと、沢山のアイデアも出てきて、ああ、この店して良かった。とつくづく思います。
この直前は史上最恐の人手不足の期間でして、シュエシュエが開けれない、もしくはカフェのみの営業という日も多かった。
つまりサナギ期間ですね。
これでお茶だけのお客さんがそこそこあればバールに固執していたかも知れませんが、カフェ利用なんてほんと少ない。
ならトラットリア化を本気でする方が、皆ハッピーでしょう。
と思い、脱バール作戦が始まったのです。
そもそもほとんど誰もバール扱いしてませんので、そんなに問題なさそうですが。
骨付き豚ロースの炭火焼き アリスタ
とこんな感じでトラットリアに向けて変態中です。
今年中にシュエシュエは改装も予定しています。
美しい蝶になって羽ばたきますので、お楽しみに!