16周年にむけての改革と求人募集(コラム&インフォメーション)
16周年にむけての改革と求人募集(コラム&インフォメーション)
もう5月も数えるほどですね。
ありがたい事に6月6日で16周年を迎えます。
もし還暦までジラソーレ続いたら32周年かぁ。
まあ続かなかったら路頭に迷う事になりますので、健康に気を付けながらまずは還暦まで頑張ります!
今回もむっちゃ長いので、先に改革事項を書き連ねます。
そしてその改革を推し進めるため、スタッフを募集します。
その改革がどのような考えから始まったか興味ある方は、下の続きも読んでください。
必ずしも読んで頂く必要はありません。
2018年6月から
1.バール シュエシュエのスペースは事実上トラットリアになります。 それに伴い屋号も
OSTERIA e CANTINA O'GIRASOLE
オステリア エ カンティーナ オ ジラソーレ(仮称)に変更予定です。
店全体が オ ジラソーレです。
オ ジラソーレは南イタリア、特にナポリに特化したイタリア理料理店です。
そのオ ジラソーレが提案する原色のナポリ料理とイタリアの地ワインとカフェ文化をアラカルトで楽しんで頂けるスペースが、
今回CANTINA(カンティーナ)と名付けたスペース、そう旧シュエシュエの部分です。
お気づきかも知れませんが、僕が最初にナポリで働いたお店、カンティーナ ディ トリウンフォにちなんで付けました。
カンティーナはワイン蔵の意味ですが、同時にトラットリアの形態のお店の冠でもあります。
勿論その場合ワインの品ぞろえは豊富です。
お昼はパスタランチのご用意もありますが、お昼からアラカルトも対応しております。(17:30以降は更にメニューが増えます。)
カンティーナではある程度小さなお子様もご来店頂けます。
今まで通り、お惣菜やドルチェのテイクアウトもご用意しております。
よりお料理にも力が入り、仕込みも増えましたので営業時間を下記のように変更いたしました。
カンティーナ 11:30〜16:00 14:30火を使う料理のラストオーダー 15:30ラストイン
17:30〜23:00 21:30火を使う料理のラストオーダー 22:30ラストイン
テイクアウトのお引き取りは11:00〜16:00
17:00〜22:30
2.奥のレストランスペースは変わらずオステリア オ ジラソーレです。
手前のスペース、カンティーナはアラカルトに特化した、アラカルトで召し上がって頂くのにふさわしい力強く地味深い料理をご提案するのに対し、奥のオステリアでは日本で進化し続けるナポリ料理とイタリアの銘醸ワインをコースで楽しんで頂くスペースです。
日本中、世界中の厳選食材はもちろん、地元兵庫の素晴らしい食材にスポットをあて、この地でしか作れない、ジラソーレでしか食べれないお料理をお届けします。
ランチコースはパスポート無でナポリにお連れするのがテーマの、ナポリ色の強いお料理。
2800円 3800円 6000円(いずれも税別)
ディナーコースは旬の食材を駆使した、兵庫生まれのナポリ育ち、黄色いナポリ人と呼ばれたシェフ杉原の頭の中にある美味しさの妄想を形にしたお料理です。
ディナーコースは8500円(税別)の一種類です。(パスタとメインはテーブル単位でお選び頂けます。)
ご希望の方には追加オーダー用のアラカルトメニューもお出しします。
* 今年に入り、特に3月ごろから原材料や送料の値上がりが激しく、心苦しいのですがほんの少しお値段を改訂させて頂きます。
それに伴い、税込み表示だったのを税抜き表示に変更いたします。特にテイクアウトは今後軽減税率など複雑になりますので、この機会に外税表記にさせて頂きます。
今年はスタートから大変でした。
僕の右腕にまで成長していたパティシエの藤本がイタリア修行に出たため、またもやデザート、お菓子、パンの仕事も全部僕がやる事になりました。
意地を張ってこのシステムで始めましたけど、無理過ぎました笑。
絶妙なタイミングで串カツあーぼんの男前が手伝ってくれる事になり、ジェラートは任せれるまで上手になりました。
どさくさに紛れてカスタードやらティラミスも教え込みましたが笑
彼が仕込みを手伝いに来てくれなかったら、アウトでしたね。
1月2月は3人で店を回してましたから。
回ってなかったですけどね笑
特にバールスペースのシュエシュエはレストランの予約がそこそこ入ると、事実上開けれませんでした。
夜はシュエシュエを開けなかった日も多いですし、カフェ営業のみの日も多かったです。
3月はパティシエ藤本が出発前の軍資金を稼ぎに少し手伝いに来てくれたので、いつもの状態に戻せましたし、3月下旬から若い衆が2人入りましたので、バタバタしながらも教えながら元の状態に戻しました。
以前から何となくずーっと頭にあった考えでしたが、この3か月どん底の状態で店をしてみて、頭がスッキリしました。
うちの店の何がイケていて、何がイケていないのか。
それ以上に僕は何がしたくて、何がしたくないのか。
そして長い事店を続ける為には、このどん底の状態にいかに陥らないかを計画的に考えないと、もう何度もこんな体力の限界まで働くような解決法は出来ません。
まず僕は一体何がしたいのか?
ナポリで約5年過ごしました。
基本的にずーっと貧乏でしたが、常に美味しい物だけは食べれていました。
特にユーロになる前のリラの時代は素晴らしい国でしたね。イタリアは。まあ食に関してだけですが。
まず、ピッツァを代表に、イタリア特有のファストフードが最高に美味しく、ジャンクだけどケミカルではありません。
ファストフードなのに愛があり、そして職人が朝から一生懸命作っています。
一体どれだけこれらのストリートフードに助けられたか。
それとナポリで垣間見たカフェ文化。
5年で病院に2回しか行きませんでしたが、バールに行かなかった日はほとんどありません。
それくらい生活に密接してます。
多分イタリアでバールは道路や水道、電気の次に人が生活するのに必要なインフラなんだと思います。
この2点はお金がなくても人を幸せにする力があるなぁ、カッコいいなと憧れていました。
シュエシュエを作ったのはこの2点がしたかったからです。
ではこれが一番したい事かと言えば、NOです。
やはり僕は何はともあれ料理人です。
とにかくうまいもん作りたい。
ナポリで超古典料理の店、そうカンティーナ ディ トゥリウンフォで働き、ナポリとは、ナポリ人とは何ぞやから始まり、パスタとは何ぞやを胃をもって教わり、豆の暴力的なまでの優しい美味しさにシビレ、軟体動物や海老の旨みは肉を凌ぐ事を発見し、そして野菜のエレガンスとパワーに完全に恋に落ち、旨い料理とは茶色いもんであると確信し、
数か月だけお世話になったお菓子屋では、生地を焼くとは何ぞや、発酵とは、甘さとは、甘さの中の塩とは、甘さ同志を重ねながらどうグラデーションを出すかなどを学び、そしてそこでも美味しい物は茶色いもんであると確信し、
そして今や世界的なシェフになったトッレデルサラチーノのジェンナーロに出会い、更にこの世にはこんなにも美味しい物、美しい物がたくさんあることを知り、それらを見るときのピントの合わせ方を覚え、ストロボの焚き方を知り、シャッターを押すことを学びました。
そしてその料理人のファインダーからは未来ものぞける事も知りました。
食の世界の超庶民的なものから、王侯貴族の食卓までそのファインダーでのぞいた結果、ノーブルな玉ねぎ料理もあれば、農家のトリュフ料理、漁師のイセエビ料理、そして庶民が骨ごとむしゃぶりつく生まれたての仔羊料理がある。
そして100年前と同じ作り方の料理もあれば、最近の傾向もあるし、来年生まれる料理が100年後の料理の本に載ってるかも知れない。
ナポリ料理という狭いカテゴリーなようで、時間軸も社会階級も行ったり来たりしたらとんでもなくスケールのデカい話だと気づきました。
さらにナポリは昔、南イタリア全体の王国の首都だったとか、ナポリ近郊のカセルタにある王宮の狩猟用の別荘はベルサイユ宮殿よりでかくて、庭も5キロあるとか、その辺にはナポリでも珍しく野鳥料理があるとか、超下町のやや治安のよろしくないところに週末だけ出没する屋台の揚げピザ屋の揚げピザが神がかってるとか、ポジターノの超高級絶景5ツ星ホテルのディナーは席に着くと、アマルフィー辺りの工芸品の絵皿がセットされていて、付き出しとして焼き立てのピッツァがごく少量出てくるという伝統とスーパーラグジュアリーさと自然との調和が絶妙だったり…気づけばナポリ最強説に完全に洗脳されていました。
逆にいうと、ナポリ料理のカジュアルなレストランだけしても、逆に高級リストランテ仕様のナポリ料理だけしても、本当のナポリ料理の全容は見えてきません。下町文化と上流階級文化が隣接し、ひしめき合っているのがナポリなんです。
2002年に10坪の小さなオ ジラソーレをオープンした時から一貫してナポリ料理のピンからキリまでご紹介することを心掛けてきました。
2軒目、3軒目とお店が大きくなるたびに出来る事が増え、3軒目のこの店で初めてバール機能を持ちました。
相当意気込んでバールを作ろうと3年半ほど取り組みましたが、僕が思うバールには中々近づきませんでした。
既に日本でバールブームが巻き起こり、バールという言葉の認知度は上がっていましたがイタリアのバールとは全然違う、スペインのバルが主体ですね。
むしろスペインバルでもない、何じゃらバルとか何じゃらソムリエが沢山現れ、バリスタというイタリア語ではありますがイタリアでは殆ど使わない言葉の職業も生まれ、そして花形はラテアートという現実は、僕がナポリでカッコいいなと思った要素とはかけ離れていました。
そしてお客さんのニーズをくみ取ると、自然にバール(イタリアンバール=喫茶メイン)がバル化(スペインバル=食事中心)していきました。
実際、アヒージョないんですか?ってメチャ聞かれてました。
エスプレッソだけピュッと引っ掛ける方も少なく、こんなに本気で皆さん料理食べに来るならバールな必要があるのか?という自問自答が長く続きましたが、そんな悶々としてるのは僕だけで、お客さんはトラットリアとして来ていると仮定してみました。
するとストレスは一気になくなり、僕もお客さんもハッピーです。
そう思いだすと、話は一気に前に進み、それならバールじゃなくここはトラットリア。現地そのままの料理をアラカルトで楽しんでもらおう。
いっそのこと、今まで受けが悪いとか、地味だからなどの理由で封印していた原色のナポリ料理をしよう。
僕は昨今のカジュアルという言葉の使い方が嫌いです。
最近安価という意味合いで使われがちですが、何かしっくりこない。
アラカルトでは安価なお料理もしますし、そこそこのお値段の物もします。
中華の具の無い汁そばをカジュアルな料理だと言いますか?
名店のネギ汁そばは、決してカジュアルではないと思います。
そう、汁そばみたいな料理も普通にお出ししたい。
好き嫌い分かれるけど豆料理したい。(コースでも豆は使いますが豆料理(豆が主役)ではありません。。。)
あ、そうやコース料理ではメインに煮込みをお出しすることもありません。
煮込みもしたいと考え出すと、バリバリのアラカルト面白そうやな―とテンション上がりまくりです。
そうなると、ディナーコースは3種類もいらないな。と結論が出ました。
8800円のコースを考えて、7000円のコースに何を抜くか考えるのがちょっと苦痛になってました、
抜くとコースのバランスは成立しません。
量の心配をする方が多いですが、一品づつの量は7000円の方が多いので量は変わりませんし。
ちょっとプラス料金が掛かるチョイスをするとお値段もほとんど変わらないし、7000円のコースは終了しました。
10800円のご注文もかなり多いのですが、そちらはアラカルトから好きな物追加していただこうと思います。
より自由で良いのではないでしょうか?
ディナーメニューの1本化は今月中旬からしていますが、料理のクオリティーはかなり上がりました。
満足度がかなり上がっていると思いますので、是非お試しください!
ランチコースもこうしていきたいという考えはありますが、もう少し先になるかな?
お値段帯などは変わりませんが、更に色々突き詰めていきたいと思います。
カンティーナのアラカルトですが、お昼はパスタランチとアラカルトのグランドメニューもご注文頂けます。
ディナータイムは更に別紙で20品ほど本日のお料理が追加されます。
ちょっと力を入れてるのがフリットです。
毎日4,5種類のフリットネタをご用意しております。
HPのバールのページのフードメニューをご覧ください。
毎日結構変わるので参考程度になりますが、楽しんで頂けると思います。
前菜の盛り合わせ
トリッパパート1
トリッパパート2
ランプレドットの煮込み
ナポリのチェリートマトとリコッタのカンデーレ
究極のパスタエファジョーリ(パスタと豆の煮込み)
黒オリーブとクルミとケイパーのフェットゥッチェ
仔羊の炭火焼き
こちらババの新作、その名も日焼けしたババ!
カミングスーン!!!
いやー、茶色いな!!!!
イイよ!
我ながらイイ!
アラカルトはこんなんです。
色々上手い事いかない事もありながら、少しずつ整理して店作りを見直すと、結局僕が修業期間に多くの時間を費やした部分に帰依しました。
ナポリの地方料理も、ナポリ料理のクリエイティブな料理も、パンもお菓子もそしてイタリアワインも20年以上向き合っています。
ナポリ料理というカテゴリーから脱却したいと願った時期もありましたが、そんなことを考えれば考えるほどナポリ料理から抜けれませんでした。
自分は日本人であるというのと同じくらい、僕の料理はナポリで受けた衝撃の軌跡なんです。
多少の遠回りもあったかもしれませんが、今一度、ナポリ料理のピンからキリまで、ナポリ料理の昨日、今日、明日をテーマに料理、ドルチェを作っていきます。
そして優先順位は変えましたが、バール シュエシュエは必ずデビューしなおします。
野望としてはJR芦屋、神戸三宮、京都、そして日本の観光地の新幹線の駅近くに出店したいと本気で思います。
これは僕が店舗展開したいのではなく、うちの弟子たちが僕と同じようにナポリ料理のレストランとバールを地元でしたら素敵だと思っています。
まずはこの芦屋でナポリの食の総合商社笑として、さらにステップアップします。
大きくなるのでなく、強く、固くなりたいと思っています。
そんな訳でスタッフも募集しますので、興味ある方はご連絡下さいませ。
あー長かった。