芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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COLUMNコラム

ディナーのおまかせコース変わります!(オステリアのディナー)

なんやかんや毎月追い詰められながら、何とかメニュー替えてますね。

僕、基本的に真面目ですわ笑。

ただ、毎月1日に変わるとかでもないので、自称ジラソーレの常連さんはHPチェックしてメニューが変わった事をご確認してからご予約下さいね!

2週間後とかにまた来てもメニュー変わってませんから。。。笑

トラットリア併設してますので、詰めて来られる時はトラットリアも合わせてご利用くださいませ~

 

はい、今月のお料理いくつかご紹介します!

まず

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イントロクイズみたいですが、楽しみにしていた方多いのではないでしょうか?

ご存じない方にご説明しますと、ナポリ風のトリッパと豚足のサラダになります。

サラダと言っても葉っぱ入っていません。

トリッパと豚足がサラダなのです。

アミューズ代わりに1品目でお出しします。

急なご予約の場合、違う品になる場合がございます。ご了承下さい。

もちろんトリッパ系苦手な方も違うもん用意します。

 

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アジのタルパッチョ 冷たい白いんげんの煮込み添え

タルパッチョは誤字ではありません。

淡路のえー感じの活けの平アジ(メチャ高いです)、イカッタ状態とトロンとした口当たりを両立させるため、アジのカルパッチョの下にアジのタルタルを仕込んでいます。

一緒に食べると活かった感じとトロっとした感じが合わさって、美味しいです!

そこに動物性脂肪を足さない白いんげんの冷たい煮込みを添えています。

 

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これもファン多数!

今年の初物のポルチーニを穴子の出汁でスープにします。

そこにガットーディパターテというナポリの詰め物をしたジャガイモのオーヴン焼きと蒸し穴子を添えます!

ザ 鉄板です。

 

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原点回帰中に新作!

アワビと玄米の春巻き笑

 

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そして夏のパスタのアイドル、アユとピスタッチオのスパゲッティ

これはちょっとロングランで行きます。

 

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じゃーん。

今月のパッケリ

小ダコでつくった溺れタコの手打ちパッケリ

写真は白いんげんですが、モロッコインゲンに変わっています。

メチャ美味しいです。

ところで、

これらはおまかせのディナーコースの内容の一部です。

トラットリアではご用意しておりませんのであしからず。

トラットリアのおすすめは

 

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溺れダコのリングイネ!

こちらは乾麺でパシッと行きます!

 

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トリッパのポルペッタ!

究極のワインのアテです。

 

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詰め物をしたうずらのロースト!

大人気!

 

てな感じです。

コースのメインの写真は追ってアップします!

この改革はして良かったと心から思います。新パスティエーラと求人詳細(コラム)

16周年も無事に迎え、さらなる飛躍を目指し、小さな、でもドラマチックな革命をいくつか企んでいます。

料理はクラッシックでも、店の在り方はクリエイティヴでありたいと思います。

下準備はコツコツ進んでいますが、いかんせん人手が足りません。

 

求人!!!

 

自分はなんか持ってるんちゃうかと思っている若者よ!

僕は44年間そう思い続け、まだ自分はこんなもんやないと1ミリの疑いもなく勘違いしているぞ!

料理やモノづくりの仕事はキツイ面もあるけど、そんな自分の思い込みをカタチにできる、いや証明できる唯一の方法だと僕は思っています。

料理や仕事も教えますが、」何より夢の実現方法の勉強になると思います。

 

求人サイトに応募を掛けていますので、興味ある方は覗いてください。

<a href="https://job.inshokuten.com/kansai/work/detail/17969?ref=link" target="_blank">オステリア オ ジラソーレの求人情報の詳細は、こちらをご覧ください。(求人@飲食店.COM)</a>

 

前回のコラムでご報告しましたが、6月から少しシステムを変えました。

たった2週間ですが、ずーと前からこの形で営業していたのではないかと錯覚するくらい、自然でおさまりの良いシステムになりつつあります。

料理人になって25年。

オーナーシェフになって16年経ちましたが、言うのがコッパズカシイくらい最近仕事が楽しいです。

しなければいけない事はもちろんきっちりしていますが、したい事もちゃんと出来ていると思いますし、したい事が、ちゃんとしないといけない事にかなり直結してきました。

これは仕事としては最高です。

この数年の一番の反省は、マーケットリサーチや数字を意識し過ぎたかなと思う点です。

まあまあの借金をしていますから、マーケットリサーチや数字の意識が高いのは大切な事です。

僕、こう見えて数字は嫌いじゃありません。

生まれ変わったら数学の勉強を、いまの料理の勉強してるくらいしてみたい位です。

今でも量子力学を分かりやすく説明してるものとか、読むの大好きです。どこまで理解できているかは別として。。。

 

前の店までは、一か月必死に働いて今月売り上げいくらだった、過去最高だった!もしくはこんなに頑張ってるのにこんだけしかなかった。

といった、いわゆる結果としての数字を意識していたのに対し、この店に移ってからはよりシビアに売り上げ予測、予算立てを意識するようになりました。

純粋に固定費が跳ね上がったからですね。

でもビジネスとはそういうものです。

それまでも数字の管理はしていたけど、売り上げを作りにいく意識は低かったと思います。

 

移転後は、特に前バール部分では売れそうなものとか、皆さんどんなん好きかな?という事をよく考えました。

一般的にこういうの皆さん好きやろう?

とか、

こういう風に出した方が食べやすいだろうとか、分かりやすいだろうとホント色々考えました。

でもそんな感じで商品化したもので、人気が出たものは一つもありません。

売れるだろうと思って作ってるものが売れない。

不思議でした。

かなりの努力、工夫をしたけど大した結果が出ませんでした。

悔しかったと言えば悔しかったのですが、いま思い起こしてもそれがどんなものだったか思い出せません。

つまりその程度の物だったという事で、そしてそれをお客さんに見抜かれていたのでしょう。

もちろん失礼な事をしたつもりはありませんし、その時は必至で取り組んでいましたが、まあ僕らしくなかったという事でしょう。

分かりやすい例えをすると、コンビニで売っているワイン。

一昔前は安かろう不味かろうでしたが、最近コンビニで売られているワインはそこそこ美味しいです。

コスパが良いというのですかね。

このお値段でこの味だったらいいじゃん!と大多数の方が納得する味わいのワインを上手にセレクトしてらっしゃると思います。

これはまさにマーケットリサーチです。

でも世の中はもう一歩先に進んでいます。

ワインを作る側が、マーケットリサーチをしたうえでワインを作るのです。

決して世界中のワイナリーがクオリティーに対し、全力投球をした結果ではありません。

これくらいの価格で、このブドウ品種でこんな味わいだと売れるはずという統計学的な見地からワインの味わいを決め、そこに落とし込んでいくというマーケットリサーチが産み落としたワインも沢山あります。

ワイン造りをビジネスと捉えると決して間違った発想ではありませんし、実際コンビニで売られている1000円前後のワインのクオリティは凄く向上しました。

何の文句もございません。

ただ、それらコンビ二のワインを僕が愛飲してるかと言えばしてませんし、いくらコスパが素晴らしいといえどジラソーレでそれらのワインを扱うかと言えば扱いません。

僕は生産者の思いやメッセージ、生産地の風土や歴史なんかが反映してるワインが飲みたいし、ジラソーレのお客様にもそんな作り手の顔が見えるようなワインをご提案したいと思います。

…あれ?

基本的にこんな考えなのに、なんでバールの商品を考えるとき’’売れるものはどんなんか?’’て考えたんでしょう。。。

多分、ホントに僕が作りたいものが余りにも`’インスタ映え’’しないのが分かっていたからでしょうね。

間口を広げ、新規のお客さんを呼び込もうと思っていましたが、あまりにも漠然と間口を広げようとしてたのでしょう。

誰にも届かない、非常に中途半端なメッセージになってしまっていたと思います。

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(僕的にはシズル感満載の、なかなかのフォトジェニックな料理だと思うのですが。。。茶色すぎますか?笑)

(次のメニューの試作、タコのパッケリ)

 

 

そこで原点回帰です。

 

原点回帰がキーワードですが、これはレシピに限った事でなく、お店の在り方、料理人としての在り方もです。

なんか変な感覚ですが、1軒目の小さなジラソーレを始めたときのテンションに近づいています。

16年前、小さなナポリ料理の店を開けたら、それはそれは色々言われました。

まず

なんでピザ無いの?

何でコースなん?

なんで北イタリアちゃうん?

なんでナポリなん?

ナポリ料理ってなんなん?

最初は鼻の穴膨らませて熱心に答えていましたが、そのうちお客さんはそれぞれ一回づつしか聞いてないのでしょうけど、僕としてはそんな同じ質問毎日されて100回も答えているうちに、ほっとってチョーだいと思いましたよ。

ナポリ料理に絞ってお店をしている事を応援して下さる方が1割。

ナポリ料理ってよう分からんけど、杉原が作る料理を気に入って下さったかた3,4割。

イタリア料理を食べに来たのに、自分が思っているような料理やなくて戸惑う方3,4割。

それを不快に思う方1割。

最初の5年位はずーっとナポリ料理の説明を、まるで言い訳のようにせざるを得ない日が多かった思い出があります。

生きていくため

食べていくため

店を潰さないため

同じ材料がないため

色んな理由がありましたが、純粋なナポリ料理じゃない物も沢山作ってきました。

でもあるとき気付きました。

全くナポリ料理の要素のないイタリア料理が作れるのか?

そう思ってからはホントに自由に料理を考えました。

沢山のアイディアが生まれました。

今でもふっと新しい料理のアイディアが浮かびます。

必ず作ってみますが、審査をより厳しくしています。

以前は伝統的なナポリ料理の韻を踏んでいるか等が大事なポイントでもありましたが、今はそこに感動があるのか、またこれが食べたいとリピートしてもらえるかが一番のポイントです。

そしてナポリの伝統料理を作るときも、以前より審査を厳しくしています。

ナポリ人に100点貰っても安心しない。

ナポリ人にも日本のお客様にも感動して貰えるクオリティを模索します。

これはマーケットリサーチの対極かもし知れません。

車でいうとフェラーリ。

車好きだろうが、車に興味なかろうが、免許持ってなかろうが、フェラーリになんも感じない人は多分あまりいないと思います。

何故かと言えば、ただの高級車でなく工芸品で美術品でもあるからです。

(僕は決してフェラーリが欲しくてたまらないタイプではありませんが)

フェラーリみたいな料理をしようというと、高級路線に走るの?と思われるかも知れませんが、そうじゃないです。

自分が良いと思うものを作りこんで、作りきって、また工夫して、作りこんで、作りきる。

これを後何年出来るかが、お店が長く続く(続けさせて頂く)贅沢な部分だと思います。

という訳で、今日の原点回帰シリーズ

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新生パスティエーラ。

僕はストラパスティエーラ(超パスティエーラ)と呼んでいます。

パスティエーラはご存知ですね?

え、知らない?

3大ナポリ菓子に入る偉大なタルトです。

復活祭に必ず食べるお菓子で、茹でた麦とリコッタとオレンジピール、あとオレンジフラワーウォーターが詰め物の焼き込み系タルトです。

瀬戸内のイカナゴのように、復活祭の時は家庭でも必ずパスティエーラ作りますので、釘煮の交換よろしくパスティエーラもあげたり貰ったりと、しばらくパスティエーラ漬けになる感じです。

今まで数々のナポリ人がジラソーレのパスティエーラを絶賛してくれています。

しかし、日本のお客さんの手が伸びません。

麦が入ってるとか、多分意味が分からないからでしょう。

僕もなんで入ってるかは知りません笑。

中々選んでいただけない以上、間違って選んで頂いた方にはもれなく悶絶していただきたい。

これもずーっと考えていました。

なんかソース付けるとか、フルーツ載せたら見た目良くなるのでしょうが、パスティエーラの味が変わります。

味わいは唯一無二な味です。

この味に変にチョコレートやイチゴなんざ乗せれません。

んー。

あ、そうか。

昔は鳩とか鴨に果物のソースやそれこそチョコレートを使ったソースというのが、古典料理では盛んでしたが、今は鴨には鴨のジュと呼ばれる鴨を液体表現したものといえる、ソースというが焼き汁というか出汁というか。。みたいなソースが主流です。

簡単に言えば鴨ソテーの鴨ソース、鳩炭火焼きの鳩ソースって感じです。

抜群の焼き加減の鴨に」丁度良い塩加減。

本来それだけで十分美味しいです。

そこに鴨の香りと旨みが凝縮した鴨のジュを添えれば、そりゃ絶対更に美味しいです。

パスティエーラもそれでいこう。

パスティエーラ パスティエーラのソース

と閃き、丁寧に焼いたパスティエーラを程よく熟成させ(これが大事)、パスティエーラの半液体表現的なソースを作ってみたらこれまた凄い事になりました。

このストラパスティエーラ、芦屋発で逆輸入されると思います。

是非お試しください。

 

こんな感じで今年は今まで作りこんできたものを、ことごとく破壊再生させています。

お楽しみに。

 

続く

 

16周年にむけての改革と求人募集(コラム&インフォメーション)

もう5月も数えるほどですね。

ありがたい事に6月6日で16周年を迎えます。

もし還暦までジラソーレ続いたら32周年かぁ。

まあ続かなかったら路頭に迷う事になりますので、健康に気を付けながらまずは還暦まで頑張ります!

 

今回もむっちゃ長いので、先に改革事項を書き連ねます。

そしてその改革を推し進めるため、スタッフを募集します。

 

その改革がどのような考えから始まったか興味ある方は、下の続きも読んでください。

必ずしも読んで頂く必要はありません。

 

2018年6月から

1.バール シュエシュエのスペースは事実上トラットリアになります。 それに伴い屋号も

 OSTERIA  e CANTINA  O'GIRASOLE

 オステリア エ カンティーナ オ ジラソーレ(仮称)に変更予定です。

 店全体が オ ジラソーレです。

 オ ジラソーレは南イタリア、特にナポリに特化したイタリア理料理店です。

 そのオ ジラソーレが提案する原色のナポリ料理とイタリアの地ワインカフェ文化をアラカルトで楽しんで頂けるスペースが、

 今回CANTINA(カンティーナ)と名付けたスペース、そう旧シュエシュエの部分です。

 お気づきかも知れませんが、僕が最初にナポリで働いたお店、カンティーナ ディ トリウンフォにちなんで付けました。

 カンティーナはワイン蔵の意味ですが、同時にトラットリアの形態のお店の冠でもあります。

 勿論その場合ワインの品ぞろえは豊富です。

 お昼はパスタランチのご用意もありますが、お昼からアラカルトも対応しております。(17:30以降は更にメニューが増えます。)

 カンティーナではある程度小さなお子様もご来店頂けます。

 今まで通り、お惣菜やドルチェのテイクアウトもご用意しております。

 よりお料理にも力が入り、仕込みも増えましたので営業時間を下記のように変更いたしました。

カンティーナ 11:30〜16:00 14:30火を使う料理のラストオーダー  15:30ラストイン

       17:30〜23:00 21:30火を使う料理のラストオーダー  22:30ラストイン

       テイクアウトのお引き取りは11:00〜16:00

                    17:00〜22:30

 

2.奥のレストランスペースは変わらずオステリア オ ジラソーレです。

 手前のスペース、カンティーナはアラカルトに特化した、アラカルトで召し上がって頂くのにふさわしい力強く地味深い料理をご提案するのに対し、奥のオステリアでは日本で進化し続けるナポリ料理イタリアの銘醸ワインをコースで楽しんで頂くスペースです。

日本中、世界中の厳選食材はもちろん、地元兵庫の素晴らしい食材にスポットをあて、この地でしか作れない、ジラソーレでしか食べれないお料理をお届けします。

ランチコースはパスポート無でナポリにお連れするのがテーマの、ナポリ色の強いお料理。

2800円 3800円 6000円(いずれも税別)

ディナーコースは旬の食材を駆使した、兵庫生まれのナポリ育ち、黄色いナポリ人と呼ばれたシェフ杉原の頭の中にある美味しさの妄想を形にしたお料理です。

ディナーコースは8500円(税別)の一種類です。(パスタとメインはテーブル単位でお選び頂けます。)

ご希望の方には追加オーダー用のアラカルトメニューもお出しします。

 

 今年に入り、特に3月ごろから原材料や送料の値上がりが激しく、心苦しいのですがほんの少しお値段を改訂させて頂きます。

それに伴い、税込み表示だったのを税抜き表示に変更いたします。特にテイクアウトは今後軽減税率など複雑になりますので、この機会に外税表記にさせて頂きます。

 

 

今年はスタートから大変でした。

僕の右腕にまで成長していたパティシエの藤本がイタリア修行に出たため、またもやデザート、お菓子、パンの仕事も全部僕がやる事になりました。

意地を張ってこのシステムで始めましたけど、無理過ぎました笑。

絶妙なタイミングで串カツあーぼんの男前が手伝ってくれる事になり、ジェラートは任せれるまで上手になりました。

どさくさに紛れてカスタードやらティラミスも教え込みましたが笑

彼が仕込みを手伝いに来てくれなかったら、アウトでしたね。

1月2月は3人で店を回してましたから。

回ってなかったですけどね笑

特にバールスペースのシュエシュエはレストランの予約がそこそこ入ると、事実上開けれませんでした。

夜はシュエシュエを開けなかった日も多いですし、カフェ営業のみの日も多かったです。

3月はパティシエ藤本が出発前の軍資金を稼ぎに少し手伝いに来てくれたので、いつもの状態に戻せましたし、3月下旬から若い衆が2人入りましたので、バタバタしながらも教えながら元の状態に戻しました。

 

以前から何となくずーっと頭にあった考えでしたが、この3か月どん底の状態で店をしてみて、頭がスッキリしました。

うちの店の何がイケていて、何がイケていないのか。

それ以上に僕は何がしたくて、何がしたくないのか。

そして長い事店を続ける為には、このどん底の状態にいかに陥らないかを計画的に考えないと、もう何度もこんな体力の限界まで働くような解決法は出来ません。

 

まず僕は一体何がしたいのか?

ナポリで約5年過ごしました。

基本的にずーっと貧乏でしたが、常に美味しい物だけは食べれていました。

特にユーロになる前のリラの時代は素晴らしい国でしたね。イタリアは。まあ食に関してだけですが。

まず、ピッツァを代表に、イタリア特有のファストフードが最高に美味しく、ジャンクだけどケミカルではありません。

ファストフードなのに愛があり、そして職人が朝から一生懸命作っています。

一体どれだけこれらのストリートフードに助けられたか。

 

それとナポリで垣間見たカフェ文化。

5年で病院に2回しか行きませんでしたが、バールに行かなかった日はほとんどありません。

それくらい生活に密接してます。

多分イタリアでバールは道路や水道、電気の次に人が生活するのに必要なインフラなんだと思います。

 

この2点はお金がなくても人を幸せにする力があるなぁ、カッコいいなと憧れていました。

シュエシュエを作ったのはこの2点がしたかったからです。

 

ではこれが一番したい事かと言えば、NOです。

やはり僕は何はともあれ料理人です。

とにかくうまいもん作りたい。

ナポリで超古典料理の店、そうカンティーナ ディ トゥリウンフォで働き、ナポリとは、ナポリ人とは何ぞやから始まり、パスタとは何ぞやを胃をもって教わり、豆の暴力的なまでの優しい美味しさにシビレ、軟体動物や海老の旨みは肉を凌ぐ事を発見し、そして野菜のエレガンスとパワーに完全に恋に落ち、旨い料理とは茶色いもんであると確信し、

数か月だけお世話になったお菓子屋では、生地を焼くとは何ぞや、発酵とは、甘さとは、甘さの中の塩とは、甘さ同志を重ねながらどうグラデーションを出すかなどを学び、そしてそこでも美味しい物は茶色いもんであると確信し、

そして今や世界的なシェフになったトッレデルサラチーノのジェンナーロに出会い、更にこの世にはこんなにも美味しい物、美しい物がたくさんあることを知り、それらを見るときのピントの合わせ方を覚え、ストロボの焚き方を知り、シャッターを押すことを学びました。

そしてその料理人のファインダーからは未来ものぞける事も知りました。

 

食の世界の超庶民的なものから、王侯貴族の食卓までそのファインダーでのぞいた結果、ノーブルな玉ねぎ料理もあれば、農家のトリュフ料理、漁師のイセエビ料理、そして庶民が骨ごとむしゃぶりつく生まれたての仔羊料理がある。

そして100年前と同じ作り方の料理もあれば、最近の傾向もあるし、来年生まれる料理が100年後の料理の本に載ってるかも知れない。

ナポリ料理という狭いカテゴリーなようで、時間軸も社会階級も行ったり来たりしたらとんでもなくスケールのデカい話だと気づきました。

さらにナポリは昔、南イタリア全体の王国の首都だったとか、ナポリ近郊のカセルタにある王宮の狩猟用の別荘はベルサイユ宮殿よりでかくて、庭も5キロあるとか、その辺にはナポリでも珍しく野鳥料理があるとか、超下町のやや治安のよろしくないところに週末だけ出没する屋台の揚げピザ屋の揚げピザが神がかってるとか、ポジターノの超高級絶景5ツ星ホテルのディナーは席に着くと、アマルフィー辺りの工芸品の絵皿がセットされていて、付き出しとして焼き立てのピッツァがごく少量出てくるという伝統とスーパーラグジュアリーさと自然との調和が絶妙だったり…気づけばナポリ最強説に完全に洗脳されていました。

逆にいうと、ナポリ料理のカジュアルなレストランだけしても、逆に高級リストランテ仕様のナポリ料理だけしても、本当のナポリ料理の全容は見えてきません。下町文化と上流階級文化が隣接し、ひしめき合っているのがナポリなんです。

 

2002年に10坪の小さなオ ジラソーレをオープンした時から一貫してナポリ料理のピンからキリまでご紹介することを心掛けてきました。

2軒目、3軒目とお店が大きくなるたびに出来る事が増え、3軒目のこの店で初めてバール機能を持ちました。

相当意気込んでバールを作ろうと3年半ほど取り組みましたが、僕が思うバールには中々近づきませんでした。

既に日本でバールブームが巻き起こり、バールという言葉の認知度は上がっていましたがイタリアのバールとは全然違う、スペインのバルが主体ですね。

むしろスペインバルでもない、何じゃらバルとか何じゃらソムリエが沢山現れ、バリスタというイタリア語ではありますがイタリアでは殆ど使わない言葉の職業も生まれ、そして花形はラテアートという現実は、僕がナポリでカッコいいなと思った要素とはかけ離れていました。

そしてお客さんのニーズをくみ取ると、自然にバール(イタリアンバール=喫茶メイン)がバル化(スペインバル=食事中心)していきました。

実際、アヒージョないんですか?ってメチャ聞かれてました。

エスプレッソだけピュッと引っ掛ける方も少なく、こんなに本気で皆さん料理食べに来るならバールな必要があるのか?という自問自答が長く続きましたが、そんな悶々としてるのは僕だけで、お客さんはトラットリアとして来ていると仮定してみました。

するとストレスは一気になくなり、僕もお客さんもハッピーです。

そう思いだすと、話は一気に前に進み、それならバールじゃなくここはトラットリア。現地そのままの料理をアラカルトで楽しんでもらおう。

いっそのこと、今まで受けが悪いとか、地味だからなどの理由で封印していた原色のナポリ料理をしよう。

僕は昨今のカジュアルという言葉の使い方が嫌いです。

最近安価という意味合いで使われがちですが、何かしっくりこない。

アラカルトでは安価なお料理もしますし、そこそこのお値段の物もします。

中華の具の無い汁そばをカジュアルな料理だと言いますか?

名店のネギ汁そばは、決してカジュアルではないと思います。

そう、汁そばみたいな料理も普通にお出ししたい。

好き嫌い分かれるけど豆料理したい。(コースでも豆は使いますが豆料理(豆が主役)ではありません。。。)

あ、そうやコース料理ではメインに煮込みをお出しすることもありません。

煮込みもしたいと考え出すと、バリバリのアラカルト面白そうやな―とテンション上がりまくりです。

そうなると、ディナーコースは3種類もいらないな。と結論が出ました。

8800円のコースを考えて、7000円のコースに何を抜くか考えるのがちょっと苦痛になってました、

抜くとコースのバランスは成立しません。

量の心配をする方が多いですが、一品づつの量は7000円の方が多いので量は変わりませんし。

ちょっとプラス料金が掛かるチョイスをするとお値段もほとんど変わらないし、7000円のコースは終了しました。

10800円のご注文もかなり多いのですが、そちらはアラカルトから好きな物追加していただこうと思います。

より自由で良いのではないでしょうか?

ディナーメニューの1本化は今月中旬からしていますが、料理のクオリティーはかなり上がりました。

満足度がかなり上がっていると思いますので、是非お試しください!

 

ランチコースもこうしていきたいという考えはありますが、もう少し先になるかな?

お値段帯などは変わりませんが、更に色々突き詰めていきたいと思います。

 

カンティーナのアラカルトですが、お昼はパスタランチとアラカルトのグランドメニューもご注文頂けます。

ディナータイムは更に別紙で20品ほど本日のお料理が追加されます。

ちょっと力を入れてるのがフリットです。

毎日4,5種類のフリットネタをご用意しております。

HPのバールのページのフードメニューをご覧ください。

毎日結構変わるので参考程度になりますが、楽しんで頂けると思います。

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前菜の盛り合わせ

 

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トリッパパート1

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トリッパパート2

 

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ランプレドットの煮込み

 

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ナポリのチェリートマトとリコッタのカンデーレ

 

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究極のパスタエファジョーリ(パスタと豆の煮込み)

 

 

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黒オリーブとクルミとケイパーのフェットゥッチェ

 

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仔羊の炭火焼き

 

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こちらババの新作、その名も日焼けしたババ!

カミングスーン!!!

 

いやー、茶色いな!!!!

イイよ!

我ながらイイ!

アラカルトはこんなんです。

 

色々上手い事いかない事もありながら、少しずつ整理して店作りを見直すと、結局僕が修業期間に多くの時間を費やした部分に帰依しました。

ナポリの地方料理も、ナポリ料理のクリエイティブな料理も、パンもお菓子もそしてイタリアワインも20年以上向き合っています。

ナポリ料理というカテゴリーから脱却したいと願った時期もありましたが、そんなことを考えれば考えるほどナポリ料理から抜けれませんでした。

自分は日本人であるというのと同じくらい、僕の料理はナポリで受けた衝撃の軌跡なんです。

 

多少の遠回りもあったかもしれませんが、今一度、ナポリ料理のピンからキリまで、ナポリ料理の昨日、今日、明日をテーマに料理、ドルチェを作っていきます。

 

そして優先順位は変えましたが、バール シュエシュエは必ずデビューしなおします。

野望としてはJR芦屋、神戸三宮、京都、そして日本の観光地の新幹線の駅近くに出店したいと本気で思います。

 

これは僕が店舗展開したいのではなく、うちの弟子たちが僕と同じようにナポリ料理のレストランとバールを地元でしたら素敵だと思っています。

 

まずはこの芦屋でナポリの食の総合商社笑として、さらにステップアップします。

大きくなるのでなく、強く、固くなりたいと思っています。

そんな訳でスタッフも募集しますので、興味ある方はご連絡下さいませ。

 

あー長かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

僕なりの原点回帰3 師匠のスペシャリテへのオマージュ(コラム)

いつの間にかシリーズものになりました、原点回帰編パート3です。

え、じゃあ原点回帰1は何なん?と意地悪な質問が飛んできそうなので先にお答えすると、デザートのナポリ風ババです。

何となく完成を見たつもりになっていましたが、往年のジラソーレの名物料理はもっと美味しくなるのではないか?

という偽善的な自問自答から、

自分が得意料理だと思っているものから順番に自らダメ出しして、さらにレベルの底上げをするという決意をしました。

まず標的になったのがご存じナポリ風ババ。

これは気持ちいい位結果出ました。

まだ美味しくなりますよ。

お楽しみに!

 

スルメイカとジャガイモとアーティチョークもイメージ通りに作れました。

後は数をこなして完成度を徹底的に上げます。

でもあの大鍋で作る方もアラカルトでお出ししようかと思っています。

 

次の標的は、僕の師匠Torre del Saracino のシェフ、Gennaroのスペシャリテ 甲殻類と岩場の小魚とグラニャーノ産のミックスパスタのミネストラのオマージュ、瀬戸内の魚介とミックスパスタの煮込みです。

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このGennaroのスペシャリテは僕が日本に帰ってから生まれました。

ですのでどうやって作るか知りません。

でもこの料理が生まれて間もなくイタリアに行く機会があり、3回食べました。

10皿くらいのコースのパスタ2品のうちの1品がこれで、あまりに美味しくて褒めちぎったらメインの後にまさにどんぶり鉢で出てきました。

あまりに美味しかったので、もう一回食べに行きました。

簡単にいうとズッパディペッシェ(ブイヤベース)の中で色んな形のパスタを混ぜこぜで煮込んじゃった料理です。

鍋の〆で雑炊やうどんを食べる僕らからすると決して不思議なことはありませんが、イタリアではありそうでなかった。

もの凄く斬新なような、でもみんな知っている大好きな味で、しかも仕事の緻密さ、工程の複雑さはリストランテでないと作れないものです(多分)

あの時の衝撃と感動の記憶をもとに、この料理を再現したらメッチャ難しかった。

味の複雑さとコクとキレの共存が、普通に作っても全然でないんです。

食事のあと、師匠に作り方を聞けば必ず教えてくれたと思いますが、僕はその手の質問をしたことがない。

同じものが作りたいのではないから。

これを食べた僕がこんなに感動したように、誰かを同じように感動させるのが目的だからです。

作り方を聞いちゃうとその再現が目標になり、日本に帰って日本の食材で作るとき必ず壁にぶつかります。

レシピの継承でなく感動の継承。

だから働いていた時も、レシピはほとんどメモしていません。

彼から何を学んだか。

ものごとの捉え方と考え方。

これに尽きます。

これを学べば、新しい物、事に出会うたびに、それをどう理解するか、どう接するかを考えれば100通りのアイディアが浮かびます。

このアイディアのチョイスは、センスや運や経験がものをいうのでしょうが、それでも浮かんでくる100通りのアイディアが本質から大きく外れる事はなくなったので、大失敗もしません。

 

という事で、一回普通にズッパディぺッシェ的な物作って、その汁でパスタを煮込んでみましたがダメでした。

まあやっぱりなといったとこですが、2回目の試作でかなり近づきました。

師匠ならこう考えるやろなというのも想像できますし、何よりまず素直にズッパディぺシェの汁で煮込んでみて良かった。

食べてるとズッパディぺッシェで煮込んだような味と思いますが、ズッパディぺッシェに茹でたパスタ加えてもこうはなりませんし、何も考えずズッパディぺッシェの汁で煮込んでも薄まり、かつ味が濁ります。

この様に良い面、悪い面が見えたら半分成功したような物です。

良い面を残しつつ悪い面を改善すればいい。

 

そんなこんなで、味わいとしては中々の料理が出来ましたが、この2年ほどは作っていませんでした。

コースに組み込むと普通のパスタ料理よりどうしても少し多くなる。

これだけがずーっと解決できず、また悶々としていました。

量減らせばいいやん、と簡単に言われそうですが、これ以上減らすとこの料理の体をなさないとこまで少量で作っていました。

うーん。

かつ丼の最小単位のカツが何切れかという命題と同じです。

うーん。

と考えるのを辞めた2年でしたが、考えるのをやめると当然答えは出ない訳で、この機にまた悶々としてました。

まあ、閃くときは閃くもんです。

むしろ量を減らすとこに対して、実は本心はネガティブだったのかも知れません。

量を減らしつつも、同等以上の満足度と感動を与えれる結果を出さないと死刑。

というルールを自分に課せました。

やっぱりそうなると閃くもんです。

今回も自分の限界を自分で作っていたのが露呈しました。

今回の工夫は細かい沢山の項目でここで書いてもさっぱり面白くないかもしれませんが、分かりやすい一例を。

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師匠のパスタミスタは乾麺ですが、ジラソーレのパスタミスタは乾麺に手打ちを混ぜます。

そもそもボリュームを減らす工夫で始めましたが、1種類でした。

手打ち率をあげればさらにボリュームは減らせるのは直感で分かりましたが、つまり手打ちの種類も増やすことになりますね。

あーあ。

ほんま仕事減りません。

という訳で手打ち5種作ってみました。

写真じゃ分かりませんが、通常の3分の1とか4分の1のサイズです。

メッチャ小さい可愛いオレキエッテとかパッケリとかストラッシナーティとかチェカテッリとかラーガネとかタリオリーニとか。

作りながら(笑)けてきました。

上手い事いきませんように。

ちなみに乾麺も6種類位混ざってますので10,11種くらいのパスタが1皿になります。

 

やっぱり神様はいますね。

結構ドS.

上手いとこいきました。

また仕事が増えましたが、料理って楽しいなぁ。

 

ディナーコースのお料理替わりましたよ!~僕なりの原点回帰~

ほんのつい先日色んな支払いして、ほんのつい先日給料払ったのに、また次の請求書も来てるしまた給料日がやってくる。

それだけで十分息苦しいのに、ひと月経ったという事はメニューも変えなければいけないという事でもあります。

もう少し引っ張りたくても予約帳ペラペラとめくれば、そんなに真っ黒に埋まってる訳ではないのに、律儀な常連さん達の月一来店は目前なのでこれまた必死のパッチでメニュー替えです。

 

全品についてコラム書くと長すぎてメニュー変わっちゃいますので、1品ずつフォーカスしていきます。

お料理名はレストランメニューのディナーのページで見れますので、のぞいて下さいね!

 

今日ご紹介する料理は16年以上作っている春から初夏のジラソーレの風物詩的な料理

スルメイカとジャガイモとアーティチョークの蒸し煮です。

ナポリ料理でもソレントからアマルフィーにかけての海岸線地帯で良く作られる料理です。

原型はアーティチョークは入っておらず、スルメイカとジャガイモだけです。

結構家庭的というか田舎っぽいというか、見た目は色気のない料理です。

 そもそも日本でスルメイカを美味しいと思ったことはなく、固いイカくらいにしか思ってませんでした。

初めて現地で食べたとき、あ、どうせイカ固いやろな。芋だけ食べたらいいわ位にリスペクトゼロで食べました。もちろんジャガイモから。

!!!!!!!うめー!

和食のイカと大根を炊いたやつも大根だけやたら美味しいのと同じで、その大根くらいの美味しさと思って食べたら仰け反りました。

うわー、これジャガイモだけでもメチャ値打ちあるわーと、あまりにジャガイモが美味しいのでイカでテンションが下がらない様、3口連続芋を食べました。今度イカばっかり残っても嫌なのでイカも渋々食べました。

…なんで固くないん?

 

 

もちろんトロケル柔らかさではありませんが、くちゃくちゃ噛み続けないといけないという事なく、むしろジャガイモと一緒に食べても口どけスピード一緒やん!と衝撃を受けました。

なんでイタリア料理ってこんな適当感満載やのに理にかなってるのでしょうか。

しかもスルメイカとジャガイモという超庶民的な食材の料理で感動がある。

僕がナポリ料理に妄信的にハマったきっかけの料理の一つでもあります。

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ね、美味しそうでしょ?

これは2017年の写真

 

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これは2016年の写真

画像が悪いのは別として、イカが輪切りですね。

イカは輪切りじゃないとダメだと思ってた最後の年。

 

2017年からスルメイカの繊維が見えるようになり、輪切りを辞めました。

味は大きく変わったわけではありませんが、確実に美味しくなりました。

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この料理は煮込み料理として温前菜としてお出しするのが定番ですが、これを使ったパスタやリゾットもめちゃ美味しいです。

イカのカットを変えて完成形を見たかなと一瞬思いましたが、まだ美味しくなるはずとモヤモヤしていました。

ジャガイモがイカの出汁を吸い、アーティチョークが筑前煮のごぼうの様に料理全体に美味しい苦みと香りを与え、イカも歯切れよく美味しく食べられる。

正直ナポリで食べたどのスルメイカとジャガイモの煮込みより美味しく出来ていると思うのですが、なんかモヤモヤしていました。

唯一引っかかるのが、メチャ美味しいけど味に隙間がない事。

このジャガイモ、イカの味吸い倒してホンマに美味しいわーと、皆さん仰って下さる。

確かにそうなんですが、もう少し、しかも所どころジャガイモのニュートラルな味が残っているともっと美味しいはず。

イカも切り方変えてさらに口当たり良くなったけど、この時期のスルメイカの新子はさっと火を通すとまさにトロケル柔らかさがあります。

この大鍋で長時間加熱した煮詰まった出汁感の美味しさと、食材のフレッシュさを何とか共存できないもんか。。。

多分10年位考えていました。

いっそガストロヴァック(メチャ高い最新(でもないか)調理機器。ここで妄想してるようなことが、この機械を使えば出来ます)買うかな。と真剣に考えた事もありました。

まあ、スチームコンベクションオーブンすら改めて検討して要らんわ、と思った僕がそんな機器を買うはずもなく、悶々としたまま今年もスルメイカの新子の季節がやってきました。

丁度前回のディナーの来店から2週間しかたってないのに、また予約を下さったせっかち常連さんの来店が目前で、なんかちゃうモン出さないとなーと更に悶々としてたらフッと閃きました。

あ、こうしたら個々の素材の味が全部際立ったまま、イカの出汁を適度に吸いかつ調和するはず。。。

 

折角閃いたのに、今年は空前のスルメイカ不漁。

前もって予約注文入れてもスルメイカがないという国家的危機。

スルメイカと秋刀魚位だったんですよ、日本の食料自給率ほぼ100%だったの。

これを国家的危機と言わずなんと言いますか?

 

神戸の中央市場で3日連続スルメイカがなかったので、シビレを切らして大阪までスルメイカゲットしに行きました。

欲しいサイズより少し大きかったけど、せっかちさんの予約当日。試作もなしで一発本番ですが僕の頭の中では完成してました。

 

ちなみに理想のサイズはこれ。

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はい、こんな感じです。

どのみち地味ですが、イカはプリっとトロっとしてますし、ジャガイモはイカの出汁もアーティチョークの出汁も吸っていますが何より超ジャガイモの味がしますし、全体をア―ティチョークが上手い事まとめています。

何が違うかと言えば、今までは2日分位をまとめて仕込んでいました。

少量で作るよりある程度の量を仕込む方が美味しいからです。

カレーの原理ですね。

 

今回の工夫は大鍋で炊いた旨み、香りを引き出しつつ全食材の風味、個性を最大限表現するというテーマでオーダーごとに通ってから作っています。

簡単に書いていますが超難しいです。

しかしリターン大。

我ながら気の済んだ仕事になりました。

しばらくこれで行きます。

見た目メチャ地味ですが、れっきとした、紛れもないリストランテ料理だと思います。

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