芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

tel 0797-35-0847 open AM11:30~PM2:00 PM6:00~PM9:00 (L.O)

COLUMNコラム

8月のメニュー替えも完了しました!明日からです。(オステリアのディナー)

何とか今月も無事メニュー替え出来ました。

レストランページのディナーメニューをご覧ください!

 

今年は魚も野菜もホント品薄です。

僕らレストランも良い食材を安定して仕入れるために、農家にも市場にも予約せざるを得ない状況です。

お客様も是非レストランには予約しましょう!

最近新規のお客様が増えて喜んでいますが、毎回予約なしで来られる方も結構いらっしゃいます。

当然ご用意できない日もあり、びっくりした顔してお帰りになりますが、この暑い中お越し下さってお断りするのも相当心苦しいですし、基本的に仕入れも仕込みも予約状況みてしますので、予約なしでご来店するメリットは何一つありません。

しかも何回かお越し下さっている事に気付いても、お名前すら分からない。。。

お好みやその日召し上がったもお料理のデータも残せません。

今月はウナギの料理をお出ししたいと思っていますが、今年は過去最高に値段が高騰しています。

この値上がりは、本当に鰻が少ないからです。

しつこい位ニュースにもなっていますが、鰻がこの世から減ってます。

ウナギを使わないのがベターだと思い、この夏はメニューに載せないでおこうかと思っていましたが、最近鰻のリクエストが凄いのでそこはお答えしたいのも正直です。

でも、土用の丑の日にスーパーに山積みされた鰻の売れ残りが破棄されてるニュースには、正直げんなりしました。

食べたい人が予約して買えばいいのに。。。

 

資本主義における豊かさは余剰から生み出されてきました。

そろそろ見直さないといけないと思います。

そりゃ予約もせずにスーパーに何気に行って、鰻見て、あ、今晩鰻にしよう!というのは一番楽で楽しいですけどね。

でもそろそろ消費者側も参加していかないとダメな面が出てきたのではないでしょうか?

レストランもそうです。

今や世界規模の大競争社会ですので、お店なんかなんぼでもあります。

予約なんぞしなくても、どこかで食事は出来るでしょうし、要予約などと大層な事を謳うとめんどくさがってお客様が減るリスクもあります。

かと思いきや、同時に予約の取れないお店の席を取るのがステータスにもなっています。

最近聞いたところ、ついに会員制または会員の紹介無しでは入れない、客単価2万円のピッツェリアがあるとかないとか。。。

その希少性部分に対して沢山の方が反応するのは少々驚きですが、虫が嫌いな僕はオオクワガタやヘラクレスオオカブトの価値、価格が全く分からないけど、好きな方はなんぼ払っても欲しいみたいなので、ほぼ同じ世界なんでしょう。

 

ジラソーレの席はそんな希少性はありませんが、相当本気で料理もサーヴィスもしたいと思っていますので、ご来店時は是非ご予約下さいね!

。。。しかし不思議なのがジラソーレも16年の歴史の中、予約が中々取れない時期が3回ありました。

最近は予約取りやすいです涙。。笑

何が不思議ってその予約が取れなかった時期より、どう考えても今現在の方が良い料理してます。

今の料理は僕が思うにジラソーレ史上最高のレベルのものが出せていると思います。

流行の最先端のお店ではないかも知れませんが、逆にいぶし銀になってきたのではないでしょうか。

やっと自分で自分の店が好きになってきました。

これからでっせー!

 

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今月の前菜

タコと生ハムとメロン(部屋とYシャツと私のメロディーで)

 

暑すぎてポーっとしてるとこに、結構な衝撃を与えれると思います。

ヴェルナッチャ ディ オリスターノと是非合わせてみてください。

 

 

 

 

ルチャーナ風イカの煮込みと僕(コラム)

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ご存知の方も多いでしょうが当店にはルチャーナ風スルメイカの煮込みという料理がありまして、自他ともに認めるスペシャリテだと思っています。

 

僕はこの写真を見ると(といってもほぼ毎日作る料理ですが)、懐かしい気持ちになります。

小学生のころ、近所の公園で野球してた情景、グローブの皮の匂い、友達とファンタオレンジを3人で1本飲んだ日のファンタオレンジの美味しさと、3人目だった僕には一口しか当たらなかった事、夕方家に帰る途中、各家庭から漏れてくる夕食の匂いを思い出します。。

カレー、すき焼き、おでん、八宝菜、みそ汁、秋刀魚を焼く匂い。

色んな匂いが混ざると’’日本の夕食の香り’’に変身します。

この料理からは間違いなく’’夕食の香り’’がします。

もしかしたら世界の夕食の香りと言えるのかも知れません。

イカを炊いた香り、みたいに単純じゃありません。

イカの香り、トマトの香りに加えレーズンやナッツが入っています。

これはアラブの影響です。

ナポリは(ナポリ料理は)2度アラブの影響を受けています。

1度目は直接サラセン人から。

2度目はアラブの影響を濃く受けたスペイン人から。

この料理は2度目のスペインの影響だと思います。

(特にスペインのカタロニア料理とナポリ料理は共通点が多い気がしますね。)

このちょっとエキゾチックな香り、トマトの香り、イカの凝縮した香りが混ざると何故か郷愁漂う香りになります。

ナポリで初めてこれを食べたとき、めっちゃ外国の味!!!と思ったのと同時におばあちゃんの味やなとも思いました。

このインパクトと優しさの共存は何なんだ。

滅茶ダイナマイトボディーで挑発的な服装なのに、2人きりになると信じられないほど古風な女性、のような料理だと思いました。

ナポリの修行先でこのパスタ食べながらニヤニヤしてたのを覚えています。

美味しかったから半分、この料理覚えて帰ったら間違いなく行列が出来るなと確信したから半分でした。

ちなみに16年店していますが、行列が出来た事はありません笑

 

他にもスペシャリテと胸を張れる料理はいくつかありますが、ジラソーレにおけるこの料理の立ち位置は,

西城秀樹の傷だらけのローラであり、おニャン子クラブのセーラー服を脱がさないでだと思っています。

2002年のオープン初日のコースにも入れていましたし、今までしてきた沢山のイベントもこの料理を中心に挑んできましたし、小学校の給食もこれを作りますし、もしジラソーレの最終日というのが来るとすれば必ずこの料理も作ると思います。

更に言えば、再出発をするとしてもこの料理から始めるのではないでしょうか。

 

そういえば2002年のオープン当初はタコで作ることが多かったのですが、その後あまりにナポリ風タコのマリネが人気者になり、ジラソーレ美味しいけどタコばっかり食わされるとネットで叩かれた経験もあり、この料理はスルメイカでするのが定番になりました。

当店のカンティーナでアラカルトで召し上がって頂けるほか、3800円のランチのパスタで初来店ぽい方によくお出しします。

アラカルトでは前菜として、揚げたパンの上にイカの煮汁をドパーっとぶっかけてお出ししています。

揚げたパンのカリッとした感じと、油とイカの煮汁を吸って柔らかくなりかけているところのパンとイカの煮込みを一緒に食べると悪魔的に美味しいです。

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もしくはパスタソースとして、主にリングイネでお出ししています。

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こんなに思い入れの強い、自分の一部というか、自分と同化してるような料理ですが、一般的なスペシャリテのイメージのように出し惜しみしたり、店の奥に鎮座させる訳でなく、むしろ店の入り口に立たしています。

誤解を恐れずにいうと僕なりのパブリックアート作品です。

これほど異質さと安心感が共存してる料理もないと思っているのと、いかなる批評にも耐える骨太さがあるからです。

でもその結果、結構沢山の方に僕が受けた同じような衝撃を与えれたようで、常連さんの多くはこの料理でジラソーレにハマったと仰って頂く事は多いです。

そしてこの超古典料理を’’僕のパブリックアート作品’’と呼ぶのにも理由があります。

簡単な例を挙げると、3枚目の写真だけイカが輪切りですね。

以前はこのように輪切りでしたし、ナポリでも輪切りにしていました。

もし僕が地方料理、伝統料理しか作らない料理人なら今もイカを輪切りにしていると思います。

 

でも僕は素材の声を聞いて料理を考えるクリエイティブな料理もします。でも創作料理ではありません。イカなりタコなりアワビなり、色んな方向からつんつんしてやると、時々今まで見せたことない表情を見せてくれます。

その表情を一皿の主題として料理を組み立てるのですが、その蓄積の中にはイカの切り方だけでこんな新食感が出るとか、イカの体表から裏面に向けて一枚のイカでもどう違うかなどの発見が無数にあります。

ずーとイカを扱っているうちに、イカの切り取り線が見えるようになりまして、輪切りをあまりしなくなりました。

そうした新しい発見で新しい料理を作るのはもちろん、これらの新しい発見とはつまり、その素材をより深く理解したという他なりません。

その知識と技術をもって古典料理に取り組むと、古典料理が古典料理でなくなります。

古典料理に見えて、僕しか作れない料理になりえます。

イカの切り方くらいで大層な、と仰る方はホロヴィッツの伸ばした指もそんな事くらいと仰るのでしょう。

僕は表現とか何かに対してクリエイティブであるという事は、実はこういった繊細なアプローチからしか生まれないと思っています。

そしてこれこそがナポリの伝統料理を提供するカンティーナと、クリエイティヴなナポリ料理を提供するオステリアを有するオ ジラソーレの強みだと思います。

 

新たな発見。

ナポリ料理とは、幾多の侵略を受けた歴史的背景から食文化の観点でもギリシャ、アラブ、フランス、スペインなどの影響を受けてきました。

そして今日、遠く離れた日本で生まれナポリで育った、黄色いナポリ人と呼ばれた料理人、杉原の影響を少なからず受けていると言わざるを得ません。

TOTANI ALLA LUCIANA

ルチャーナ風スルメイカの煮込み

現在進行形の伝統料理の最前列の料理です。

初めてジラソーレにお越しになるなら、是非お試し下さい。

 

今月のお休みのご案内(インフォメーション)

急なお知らせですが(告知を忘れていました。。。)今週の8日日曜日、ランチは通常営業いたしますが、ディナータイムはオステリアもカンティーナもお休みを頂きます。

僕が師と仰ぐお一人、大阪のエルポニエンテの小西シェフの20周年のお祝いに参加してきます。

この方と出会わなければ、今日の僕は居ません。

18歳くらいからお世話になってまして、若いころはよくお家にも泊めて頂きました。

そんな師匠の20周年に参加しない訳にはいきません!

行ってきます!

 

その先の16日(月祝)ですが、お休みを頂きます。

滅多なことでは店を閉めませんが、辻井伸行さんのコンサートのチケットが取れてしまいました。

去年も取れたのですが、急に都合がつかなくなり友人に譲ったので今年は行かない訳にはいきません。

行ってきます!

 

8日の日曜の夜と月曜で連休扱いしますので、それ以外はカレンダー通りです。

勝手申しますがよろしくお願いいたします。

 

ディナーのおまかせコース変わります!(オステリアのディナー)

なんやかんや毎月追い詰められながら、何とかメニュー替えてますね。

僕、基本的に真面目ですわ笑。

ただ、毎月1日に変わるとかでもないので、自称ジラソーレの常連さんはHPチェックしてメニューが変わった事をご確認してからご予約下さいね!

2週間後とかにまた来てもメニュー変わってませんから。。。笑

トラットリア併設してますので、詰めて来られる時はトラットリアも合わせてご利用くださいませ~

 

はい、今月のお料理いくつかご紹介します!

まず

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イントロクイズみたいですが、楽しみにしていた方多いのではないでしょうか?

ご存じない方にご説明しますと、ナポリ風のトリッパと豚足のサラダになります。

サラダと言っても葉っぱ入っていません。

トリッパと豚足がサラダなのです。

アミューズ代わりに1品目でお出しします。

急なご予約の場合、違う品になる場合がございます。ご了承下さい。

もちろんトリッパ系苦手な方も違うもん用意します。

 

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アジのタルパッチョ 冷たい白いんげんの煮込み添え

タルパッチョは誤字ではありません。

淡路のえー感じの活けの平アジ(メチャ高いです)、イカッタ状態とトロンとした口当たりを両立させるため、アジのカルパッチョの下にアジのタルタルを仕込んでいます。

一緒に食べると活かった感じとトロっとした感じが合わさって、美味しいです!

そこに動物性脂肪を足さない白いんげんの冷たい煮込みを添えています。

 

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これもファン多数!

今年の初物のポルチーニを穴子の出汁でスープにします。

そこにガットーディパターテというナポリの詰め物をしたジャガイモのオーヴン焼きと蒸し穴子を添えます!

ザ 鉄板です。

 

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原点回帰中に新作!

アワビと玄米の春巻き笑

 

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そして夏のパスタのアイドル、アユとピスタッチオのスパゲッティ

これはちょっとロングランで行きます。

 

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じゃーん。

今月のパッケリ

小ダコでつくった溺れタコの手打ちパッケリ

写真は白いんげんですが、モロッコインゲンに変わっています。

メチャ美味しいです。

ところで、

これらはおまかせのディナーコースの内容の一部です。

トラットリアではご用意しておりませんのであしからず。

トラットリアのおすすめは

 

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溺れダコのリングイネ!

こちらは乾麺でパシッと行きます!

 

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トリッパのポルペッタ!

究極のワインのアテです。

 

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詰め物をしたうずらのロースト!

大人気!

 

てな感じです。

コースのメインの写真は追ってアップします!

この改革はして良かったと心から思います。新パスティエーラと求人詳細(コラム)

16周年も無事に迎え、さらなる飛躍を目指し、小さな、でもドラマチックな革命をいくつか企んでいます。

料理はクラッシックでも、店の在り方はクリエイティヴでありたいと思います。

下準備はコツコツ進んでいますが、いかんせん人手が足りません。

 

求人!!!

 

自分はなんか持ってるんちゃうかと思っている若者よ!

僕は44年間そう思い続け、まだ自分はこんなもんやないと1ミリの疑いもなく勘違いしているぞ!

料理やモノづくりの仕事はキツイ面もあるけど、そんな自分の思い込みをカタチにできる、いや証明できる唯一の方法だと僕は思っています。

料理や仕事も教えますが、」何より夢の実現方法の勉強になると思います。

 

求人サイトに応募を掛けていますので、興味ある方は覗いてください。

<a href="https://job.inshokuten.com/kansai/work/detail/17969?ref=link" target="_blank">オステリア オ ジラソーレの求人情報の詳細は、こちらをご覧ください。(求人@飲食店.COM)</a>

 

前回のコラムでご報告しましたが、6月から少しシステムを変えました。

たった2週間ですが、ずーと前からこの形で営業していたのではないかと錯覚するくらい、自然でおさまりの良いシステムになりつつあります。

料理人になって25年。

オーナーシェフになって16年経ちましたが、言うのがコッパズカシイくらい最近仕事が楽しいです。

しなければいけない事はもちろんきっちりしていますが、したい事もちゃんと出来ていると思いますし、したい事が、ちゃんとしないといけない事にかなり直結してきました。

これは仕事としては最高です。

この数年の一番の反省は、マーケットリサーチや数字を意識し過ぎたかなと思う点です。

まあまあの借金をしていますから、マーケットリサーチや数字の意識が高いのは大切な事です。

僕、こう見えて数字は嫌いじゃありません。

生まれ変わったら数学の勉強を、いまの料理の勉強してるくらいしてみたい位です。

今でも量子力学を分かりやすく説明してるものとか、読むの大好きです。どこまで理解できているかは別として。。。

 

前の店までは、一か月必死に働いて今月売り上げいくらだった、過去最高だった!もしくはこんなに頑張ってるのにこんだけしかなかった。

といった、いわゆる結果としての数字を意識していたのに対し、この店に移ってからはよりシビアに売り上げ予測、予算立てを意識するようになりました。

純粋に固定費が跳ね上がったからですね。

でもビジネスとはそういうものです。

それまでも数字の管理はしていたけど、売り上げを作りにいく意識は低かったと思います。

 

移転後は、特に前バール部分では売れそうなものとか、皆さんどんなん好きかな?という事をよく考えました。

一般的にこういうの皆さん好きやろう?

とか、

こういう風に出した方が食べやすいだろうとか、分かりやすいだろうとホント色々考えました。

でもそんな感じで商品化したもので、人気が出たものは一つもありません。

売れるだろうと思って作ってるものが売れない。

不思議でした。

かなりの努力、工夫をしたけど大した結果が出ませんでした。

悔しかったと言えば悔しかったのですが、いま思い起こしてもそれがどんなものだったか思い出せません。

つまりその程度の物だったという事で、そしてそれをお客さんに見抜かれていたのでしょう。

もちろん失礼な事をしたつもりはありませんし、その時は必至で取り組んでいましたが、まあ僕らしくなかったという事でしょう。

分かりやすい例えをすると、コンビニで売っているワイン。

一昔前は安かろう不味かろうでしたが、最近コンビニで売られているワインはそこそこ美味しいです。

コスパが良いというのですかね。

このお値段でこの味だったらいいじゃん!と大多数の方が納得する味わいのワインを上手にセレクトしてらっしゃると思います。

これはまさにマーケットリサーチです。

でも世の中はもう一歩先に進んでいます。

ワインを作る側が、マーケットリサーチをしたうえでワインを作るのです。

決して世界中のワイナリーがクオリティーに対し、全力投球をした結果ではありません。

これくらいの価格で、このブドウ品種でこんな味わいだと売れるはずという統計学的な見地からワインの味わいを決め、そこに落とし込んでいくというマーケットリサーチが産み落としたワインも沢山あります。

ワイン造りをビジネスと捉えると決して間違った発想ではありませんし、実際コンビニで売られている1000円前後のワインのクオリティは凄く向上しました。

何の文句もございません。

ただ、それらコンビ二のワインを僕が愛飲してるかと言えばしてませんし、いくらコスパが素晴らしいといえどジラソーレでそれらのワインを扱うかと言えば扱いません。

僕は生産者の思いやメッセージ、生産地の風土や歴史なんかが反映してるワインが飲みたいし、ジラソーレのお客様にもそんな作り手の顔が見えるようなワインをご提案したいと思います。

…あれ?

基本的にこんな考えなのに、なんでバールの商品を考えるとき’’売れるものはどんなんか?’’て考えたんでしょう。。。

多分、ホントに僕が作りたいものが余りにも`’インスタ映え’’しないのが分かっていたからでしょうね。

間口を広げ、新規のお客さんを呼び込もうと思っていましたが、あまりにも漠然と間口を広げようとしてたのでしょう。

誰にも届かない、非常に中途半端なメッセージになってしまっていたと思います。

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(僕的にはシズル感満載の、なかなかのフォトジェニックな料理だと思うのですが。。。茶色すぎますか?笑)

(次のメニューの試作、タコのパッケリ)

 

 

そこで原点回帰です。

 

原点回帰がキーワードですが、これはレシピに限った事でなく、お店の在り方、料理人としての在り方もです。

なんか変な感覚ですが、1軒目の小さなジラソーレを始めたときのテンションに近づいています。

16年前、小さなナポリ料理の店を開けたら、それはそれは色々言われました。

まず

なんでピザ無いの?

何でコースなん?

なんで北イタリアちゃうん?

なんでナポリなん?

ナポリ料理ってなんなん?

最初は鼻の穴膨らませて熱心に答えていましたが、そのうちお客さんはそれぞれ一回づつしか聞いてないのでしょうけど、僕としてはそんな同じ質問毎日されて100回も答えているうちに、ほっとってチョーだいと思いましたよ。

ナポリ料理に絞ってお店をしている事を応援して下さる方が1割。

ナポリ料理ってよう分からんけど、杉原が作る料理を気に入って下さったかた3,4割。

イタリア料理を食べに来たのに、自分が思っているような料理やなくて戸惑う方3,4割。

それを不快に思う方1割。

最初の5年位はずーっとナポリ料理の説明を、まるで言い訳のようにせざるを得ない日が多かった思い出があります。

生きていくため

食べていくため

店を潰さないため

同じ材料がないため

色んな理由がありましたが、純粋なナポリ料理じゃない物も沢山作ってきました。

でもあるとき気付きました。

全くナポリ料理の要素のないイタリア料理が作れるのか?

そう思ってからはホントに自由に料理を考えました。

沢山のアイディアが生まれました。

今でもふっと新しい料理のアイディアが浮かびます。

必ず作ってみますが、審査をより厳しくしています。

以前は伝統的なナポリ料理の韻を踏んでいるか等が大事なポイントでもありましたが、今はそこに感動があるのか、またこれが食べたいとリピートしてもらえるかが一番のポイントです。

そしてナポリの伝統料理を作るときも、以前より審査を厳しくしています。

ナポリ人に100点貰っても安心しない。

ナポリ人にも日本のお客様にも感動して貰えるクオリティを模索します。

これはマーケットリサーチの対極かもし知れません。

車でいうとフェラーリ。

車好きだろうが、車に興味なかろうが、免許持ってなかろうが、フェラーリになんも感じない人は多分あまりいないと思います。

何故かと言えば、ただの高級車でなく工芸品で美術品でもあるからです。

(僕は決してフェラーリが欲しくてたまらないタイプではありませんが)

フェラーリみたいな料理をしようというと、高級路線に走るの?と思われるかも知れませんが、そうじゃないです。

自分が良いと思うものを作りこんで、作りきって、また工夫して、作りこんで、作りきる。

これを後何年出来るかが、お店が長く続く(続けさせて頂く)贅沢な部分だと思います。

という訳で、今日の原点回帰シリーズ

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新生パスティエーラ。

僕はストラパスティエーラ(超パスティエーラ)と呼んでいます。

パスティエーラはご存知ですね?

え、知らない?

3大ナポリ菓子に入る偉大なタルトです。

復活祭に必ず食べるお菓子で、茹でた麦とリコッタとオレンジピール、あとオレンジフラワーウォーターが詰め物の焼き込み系タルトです。

瀬戸内のイカナゴのように、復活祭の時は家庭でも必ずパスティエーラ作りますので、釘煮の交換よろしくパスティエーラもあげたり貰ったりと、しばらくパスティエーラ漬けになる感じです。

今まで数々のナポリ人がジラソーレのパスティエーラを絶賛してくれています。

しかし、日本のお客さんの手が伸びません。

麦が入ってるとか、多分意味が分からないからでしょう。

僕もなんで入ってるかは知りません笑。

中々選んでいただけない以上、間違って選んで頂いた方にはもれなく悶絶していただきたい。

これもずーっと考えていました。

なんかソース付けるとか、フルーツ載せたら見た目良くなるのでしょうが、パスティエーラの味が変わります。

味わいは唯一無二な味です。

この味に変にチョコレートやイチゴなんざ乗せれません。

んー。

あ、そうか。

昔は鳩とか鴨に果物のソースやそれこそチョコレートを使ったソースというのが、古典料理では盛んでしたが、今は鴨には鴨のジュと呼ばれる鴨を液体表現したものといえる、ソースというが焼き汁というか出汁というか。。みたいなソースが主流です。

簡単に言えば鴨ソテーの鴨ソース、鳩炭火焼きの鳩ソースって感じです。

抜群の焼き加減の鴨に」丁度良い塩加減。

本来それだけで十分美味しいです。

そこに鴨の香りと旨みが凝縮した鴨のジュを添えれば、そりゃ絶対更に美味しいです。

パスティエーラもそれでいこう。

パスティエーラ パスティエーラのソース

と閃き、丁寧に焼いたパスティエーラを程よく熟成させ(これが大事)、パスティエーラの半液体表現的なソースを作ってみたらこれまた凄い事になりました。

このストラパスティエーラ、芦屋発で逆輸入されると思います。

是非お試しください。

 

こんな感じで今年は今まで作りこんできたものを、ことごとく破壊再生させています。

お楽しみに。

 

続く

 

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