宣誓
宣誓
苦笑。
昨年一年間の超人手不足(4人体制)から脱出し、春から6人体制に戻りましたが又しても4人に逆戻り。
多分世の中的には、杉原がきっと狂っていてスタッフが続かないんだ、と疑われているかも知れません。
何故か僕はめっちゃ怖いシェフだという噂もありますし笑
でも実際のところ、僕は優しすぎる位優しいです。
特にこの10年、もちろん自分にもスタッフにも厳しい面はあるでしょうが、有り余って優しいと思います。
その証拠に、この10年でジラソーレから独立した(独立できた)スタッフは一人もいません。
逆に僕はこの10年間で、過去最高の伸び幅でスキルアップしたと思います。
料理人としても、指導者としても、経営者としても。(利益の出し方はまだ習得してませんが、潰れない工夫の引き出しは相当増えました)
そしてまだまだ成長過程にいると感じます。
正直、この10年で指導者としてどれだけの結果が出せるか?をかなり意識して取り組みました。
ほぼ結果ゼロですね。苦笑
たくさんのスタッフが来て辞めて行きましたが、僕が思うにジラソーレの仕事が嫌とか、僕が苦手で辞めた人はそんなにいないと自負しています。
おそらく、こんなにがむしゃらにフルパワーで働き続けないと店なんか出来ない現実を見て、考えが変わった人がほとんどだと思います。
そして確かに、この店舗に移転してからの仕事量(僕の)は尋常じゃなかったと思います。
6人から8人で運営する予定の店でしたから、人手が足らない時は3人分くらい働かないと店として成立しません。
前回のコラムでテイクアウトを一旦中止にするご案内をしましたが、ポイントはここなんです。
いずれまた6人から8人で働くのが前提なら、6人から8人雇える売り上げが必要です。
住宅地で商売をしてますので、お客さんの入りは少なからず波があります。
1週間の間でも波がありますし、年間通しての波もあります。
ビッグウェーブを掴むにはスタッフがたくさん必要ですし、静かな時期でも何らかの売り上げを作るために、テイクアウトやカジュアルなパスタランチも用意しました。
しかし、実際これだけの仕事を4人、5人でやり続けるのは無理があります。
今回の改革は実際に長く働いてくれている中心メンバー4人プラスαで、どれだけステキな事が出来て、どれだけお客さんに喜んで頂けて、どれだけスタッフも幸せになれるかを考えまくります。
そして僕個人の目標は、人を育てると言った大層な事は考えず、自分がどこまで高みに登れるか挑戦します。(もうスタッフを雇わないということではありません)
それがきっと、僕にもスタッフにもお客さんとってもいい事だと思います。
そして自分が料理をする事によって、少しでも社会貢献出来ればと思います。
原発問題、環境問題、食の安全、水産資源、生産者や生産地の価値向上、これらのテーマに料理人ならではの貢献が出来るよう尽力したいと思っています。
この考えの根底に、知れば知るほど惹かれる瀬戸内海や兵庫県の豊かさ、歴史、文化を大切にしたい気持ちがあります。
皆さん、知ってますか?
・どれだけ魚が減ってるか?
・食べても絶対安心な食料を揃える難しさ。そして今後更に難しくなります。
・何故明石の鯛が美味しいか?
・何故赤穂の牡蠣が美味しいか?
・冬が旬のヒラメがごく一部の湾で真夏にめっちゃ美味しい理由。
・瀬戸内海にもスナメリ(イルカの一種)が住んでるの知ってました?
スナメリは瀬戸内海での食物連鎖の頂点です。
故に汚染物質も体内に溜め込みやすく、個体数はかなり減ってます。
(瀬戸内海の環境保全のシンボルです)
・瀬戸内海の平均水深知ってますか?(31メートル)深いとこで400メートル強。
・瀬戸内海の面積は大体四国と同じ。
・ちなみに日本海の平均水深1600メートル、最深部は3700メートル以上。
富士山がすっぽり入ります。
頭のおかしいどこぞの知事が、大阪湾に原発の処理水を流そうと発言してましたが、これを見ればそんな希釈能力がある容量でないのは歴然ですね。
汚染物質は海底に蓄積されますが(海の養分も海底に溜まります)、瀬戸内海の特徴として水深が浅く、強く複雑な海流が海底の養分を適度に巻き上げます。
これもこんな小さな内海なのに上質な魚が獲れる理由でもあります。
海の養分と一緒に放射性物質もよーくかき混ぜる事になるという事は、食物連鎖でスナメリの上をいく僕らは、超効率的に濃縮汚染物質を摂取する事になります。
そして忘れてはいけないのが、世界中の海は繋がっていること。
全世界の海洋の表層と深層の循環、ブロッカーのコンベアーベルトというそうですが、おおよそ1000年から2000年かけて世界中の海水は一巡する循環機能があるそうです。
どうですか?
僕は反対です。
これからは、これらの問題やテーマに真正面に向かいます。
美味しいのは当たり前。その先にあるもの、そしてすべての根源である自然の豊かさを表現したいと思います。