芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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豆男

豆男

僕は、マメ男です。
信じないなら、嫁さんに聞いてみて下さい。
きっと、ハトが豆鉄砲食らったような顔をすると思います。

確かに、女性にも昔はもっとマメでした。
これは嫁さんには聞かないで下さい。
僕が、豆鉄砲以上の物を食らいます。

はい、食材の豆です。
毎度、しょーもない前書きにお付き合い頂きありがとうございます。
これからもがんばって、前書き中心のコラムを綴ってまいります。

豆嫌いな方多いですよね。もしくはすごい好きな方。普通に豆と社交的に大人な付き合いの方はあまり見受けられません。
憎悪か偏愛か。
豆って地味なようで実はこんなにキャラが立っているのですね。
オリーヴもそうですね。すっごい好きで、突き出しお代わりする方もいますし、全く召し上がらない方もいらっしゃいます。
たま―に、黒オリーヴのパスタご注文して、オリーヴを全部残す方もいらっしゃいます。
なんかのおまじないですかね?

そういえば、うちの店もちょっとこんな感じかもしれません。
合う人、合わない人いらっしゃいます。
多分、こんな好き嫌いの分かれるオリーヴや豆を多用するからかもしれません。

ですので、常連さんは豆好きの方が多い気がします。

何を隠そう、僕もイタリアに行くまでは豆に別にそれほど興味があった訳ではありません。
むしろ、黒豆とか、和食の甘い豆は苦手でした。
そもそも、和食が苦手でした。だから西洋料理の道に進んだんです。醤油が子供の時から嫌いで、なんでも塩味で食べたい子でした。


イタリアで、何が美味しいって豆です。種類もかなり豊富ですし、料理のヴァリエーションも豊富です。
旬の生の豆を楽しんだら乾燥させ、1年中使えるようにします。
ざっと挙げてみても
そら豆
エンドウ豆
さやいんげん
ウズラ豆
ヒヨコ豆
レンズ豆
白インゲン豆
干しソラ豆
等など
そら豆と干しソラマメを分けたのは、あまりに干すと香りが強くなり、同じ感覚では使えないからです。
最初の3つは、春から夏にかけてのフレッシュな豆です。
春のジラソーレのメニューは青い豆と、アスパラ、アーティチョークで一杯です。

後半の5つは、乾燥させたものが一般的ですが、今年ウズラ豆のフレッシュが少しだけ入荷しました。
僕が約半分食べて、豆ラヴァ―の何組かのお客様であっという間になくなりました。
来年も入れば是非します。

今日はこんな感じで、豆好きを増やすプロモーションです。
後は写真付で、お楽しみくださいませ。

 

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これが噂のフレッシュのウズラ豆。
シルヴィオちゃん作。
ウズラ豆のフレッシュはイタリアでも使った事が無く、初めての試み。
 
マンマミーア!!!
豆料理って重たいイメージありますよね?
これは全くそんなことありません。
鮮烈な香り、軽やかさ、丁度いいコク。
 
自然の摂理からいうと、まずこの生の豆を体験しなければなりませんでした。
その後干した豆を使う経験をするのが自然ですね。
生のウズラ豆を使ってから、干したウズラ豆の料理も俄然上達しました。
着地点がより明確に見えた感じです。
 
ちなみに器は、スガワラさんのガラス食器。
豆みたいなベタな物をモダンな器に盛るのも楽しい。
でも、味は一切モダンにはしません。

 

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こちらはレンズ豆。
ウズラ豆も、このレンズ豆も全部パスタ入りの煮込みにしています。
ナポリでは、ミネストラ ディ なんじゃらと呼ばれ、そりゃもー、そっちゅう食べます。
まさにソウルフード中のソウルフード。
 
当店ではランチタイムに真夏を除く時期、なんらかのこういったパスタと豆や野菜の煮込みをお出ししています。
 
レンズ豆は、魚介より圧倒的に肉っ気の方が合います。
今なら、鹿のカルパッチョのソースにもなっています。

 

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こちらは干しソラマメとパスタの煮込み。
ミネストラと呼ばれますが、汁だくではありません。
常にパスタとスープが一緒に食べれる濃度です。
 
パスタで作ったリゾットと言えばイメージしやすいですかね。
ホントに疲れた体と心をいやしてくれる味です。

 

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写真で見えますかね?
豆でもないパスタでもないトロッとした所。
これがうまいんです。
そら豆のアップです。
 
ココに豆の原型を残すとか、見栄えとかの介入の余地はありません。
目をつぶって食べたら、イタリアの田舎の風景が目に浮かびます。

 

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最も得意な一つ。
ヒヨコ豆とパスタの煮込み。
 
先日、パレルモ出身のイタリア人がこれを食べて、過去10年さかのぼってもこんなパスタ食べた事無いと喜んでくれました。
 
今、ディナーでしている潮の香りのパッケリ。
ウニやカラスミや、今ならアワビも入っていて、贅沢なパスタです。
当店のダントツ1番人気。
 
でも、この豆のパスタは、それに匹敵すると信じています。

 

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ヒヨコ豆のアップ。
我ながら完璧な仕上がりです。

 

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あまりにも写真映えしない今回。
まー、これも似たようなもんですが干しソラマメのピュレ。
 
プーリア州のまさにソウルフード。
そら豆のピュレ、チコリア、黒オリーヴ、玉ねぎちょっと。
この組み合わせで、永遠に豆が食べれます。
 
バッカラのフリットにちょっと付けてみました。
 
どうでしょう?
ちょっと豆に興味が出ましたか?
 
イタリアで働いていた時、師匠のジェンナーロがそら豆のパスタを作っている時に、おもむろに僕に言いました。
日本帰ったら、こんな料理をせなアカンでと。
 
当時、最先端のレストランで最先端の料理を、最前線で作っていました。
へ?何で?
と正直思いました。
 
今、料理の創作性、創造性を僕は、こんな見栄えの悪い豆料理に費やしています。
こんなベタな料理ですが、物凄く緻密な計算と、科学的な理論と自然の摂理にのっとって作っています。
 
イタリアに住んでいた頃より、断然今の方が料理が上手です。よりイタリアを醸し出せています。
最近は、イタリアのプロのコックに負けていない完成度だと自負しています。
 
イタリア、ナポリへの偏愛、地方料理への偏愛、豆への偏愛。
今、ナポリ料理をしているのは、スタイルでもなければコンセプトでもありません。
僕の個人的な偏愛です。
 
一度ご賞味下さいませ。

 

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