芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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2025年1月

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2025年の抱負

明けましておめでとうございます。

本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

2024年の12月も沢山のお客様にお越し頂き、本当にありがとうございました。

相変わらず20年くらい通ってくださってるお客様もいれば、

コロナ禍後くらいから頻繁にお越し頂く様になったお客様も増え、

踏み込んだ接客をさせて頂く機会が増えたなぁと嬉しく思います。

逆にアラカルトを辞めた事で、全くお見えにならなくなった方も結構いらっしゃいます。

当初はやはり精神的にも経済的にもダメージがありましたが、2024年を振り返って

『ああ、このスタイルに変えて良かった。こんなに沢山の方に支持してもらえる様になったんだ…』と

熱いものが込み上げてきました。

2024年はかなりの事にチャレンジしました。ほぼ毎月お越しの常連様でも、

もしかしたら気付いてないかも知れませんし、気付いてなかったら大成功です。

去年1年間、マグロ、ノドクロ、鱈の白子など長年ジラソーレでも大活躍してきた食材を全く使わず、

瀬戸内の魚介だけで通しました。(鰻、鮎などの川魚は除きます)

僕自身コンセプトは陳腐化すると思っている方で、コンセプトがやたらと先行しているものは

好みませんし、そうならない様自戒しています。少し前まで瀬戸内ナポリ料理というのは

コンセプトでした。ですので、瀬戸内の幸をより楽しんで頂くために、瀬戸内では獲れないマグロや

鱈の白子も使っていました。コースの流れに起伏をつける目的です。さすが僕、賢い戦略です。

しかしそれは同時に簡単な戦略でもあり、誰もが考える事です。

生産者通いを続けているうちに、だんだん考えが変わりました。

僕がお付き合いしてる生産者さんたちは、皆さん揃って狭く、深くご自身の仕事を追求していて、

僕はそこに惚れ込んでいます。誰一人、何でもありますよ、何でも作りますよって方がいません。

そして皆さん、ご自身が根を張る地域に強い思い入れがあります。

これですよ、これ。これこそが僕が長年憧れ続けたイタリアの本質で、

残念ながらイタリアでも薄れつつあります。そして物事の本質が失われていく原因はいつもお金です。

利益に走りすぎるか、全くお金にならないか。どちらの両極にも触れず、その間をバランス良く

生き抜く。それには地場産業になる必要があると結論が出ました。

ジラソーレのコースの値段を上げ過ぎない様留意してるのもそこから来ています。

やはりサッカーは手を使ったらダメだからあんなスーパープレイが生まれるんですよ。

制約こそクリエイティブの源。

マグロ、ノドクロ、鱈の白子を手放したら、身近な、でも最高の素材で新しい料理が

沢山生まれました。まさか自分からこんな料理が生まれるなんて…

そして最近の新しい料理は軒並みシンプルです。でも作るのが難しい。

そんな料理を丁寧に作ってる時が一番、今しか作れない料理だなぁと思います。

という訳で、2025年に特別新しい事をしようと企んでる訳ではありません。

さらに進化、深化を目指すのみです。

しかしその先には店名を変えてリニューアルしようかな、という気持ちもあります。

今年特に大きな変化を考えている訳ではなく、既に大変換機に入ってるんです。料理人として、

後何年現役で行けるか分かりません。生涯現役を目指してますが、今向き合っている料理は

後10年か15年が限界でしょう。体力的にも、もしかしたら環境的にも。

その先は思いっきりイタリアの家庭料理に戻るかも知れません。

後10年から15年で極みに近づこうと思えば、思いっきりやるしかありません。

その一端に、今年は僕自ら接客に出る機会を少し増やそうと思います。

早く食べて早く帰りたい方には迷惑な話しかも知れませんが笑

2つめに、今までは最後のお料理だけテーブル単位でお選び頂いてましたが

3月からは完全にお任せでさせて頂きます。

もちろん食べれない物を無理矢理お出しする事はありませんが、

こちらのご提案として選択肢は無くなります。

3つめはそれにともない、コースの価格を

3月から9月 15000円(税込)

10月、11月 16500円(税込)

12月 19800円(税込)

とさせて頂きます。

万人に100点を貰うのは土台無理なら、

僕たちが思う料理、おもてなしを完全にやり切る方向に向かって行こうと思います。

我が家にお招きする様に。より表現の純度は増すと思います。

しかし自分達の好きな様にやってるのも事実で、食べ手あってのレストランです。

今後も量や品数の調整など個別で丁寧にさせて頂きます。

何卒2025年も宜しくお願い申し上げます。

杉原一禎

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