芦屋のイタリア料理とイタリアワインのお店

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2023年5月

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杉原です。

またもや暫くコラムから遠ざかっておりました…

時々お客さんに、もうコラム書かないの?楽しみにしてるよ!と仰って頂くと非常に嬉しいのですが、気がつくと数ヶ月経ってますね…

意外かも知れませんが、僕は幼少の頃から活字中毒で、本を読むのが大好きでした。

そして文章を書くのも好きでした。(過去形)

オーナーシェフになると料理はもちろん、経理も雑用も日曜大工もしなければなりません。そしてその気になればブログ等で文章を書くのも自由です。

ある意味マルチな才能を発揮出来る職業かも知れません。

10数年に渡り、料理と同時にコラムでもその瞬間の思いをそれなりに情熱を持ってお伝えして来たつもりです。

しかしながら、不思議なことに言葉で何かをお伝えしようという発想が最近とんと湧きません。

自分では饒舌でもあったと自負してましたが、正直最近話すのも凄く下手になってきた気がしてます。

いつからか、自分では分かっています。

瀬戸内ナポリ料理という僕の中で起きた小さなビッグバンが原因です。

料理には沢山の可能性と力が秘められていると信じています。

音楽には音楽でしか伝えられない感動があり、料理には料理でしか伝えられない事があります。特にこの自然の豊かさ、もっと言えば自分達が住む地域の豊かさを表現するのに料理に優る方法はないと思います。

言語化出来ない情報、言語化出来ない感動を余す事なくお皿に乗せたい。しかも整然と。

その事で頭がいっぱいになってきた頃から、非常に文章を書くのが難しくなってきました。

以前はもう少し右脳と左脳のバランスが良かったのでしょう。

最近は右脳に振り切ってるのかも知れません。

逆に以前はお皿に表現しきれなかった事をツラツラと書いていたのかも知れません。

間違いなく最近の料理は少しシンプルになってきていますが、お皿の上の情報量、熱量、仕事量ジラソーレ史上群を抜いてます。

そして、僕が喝采を浴びる為の料理でなく、いかにこの時期の針イカが美味しいか、明石のタコって、この火入れでこんな表情するんですよとか、メイタカレイとアーティチョークのこの時期1ヶ月弱だけの最強の相性とか、北海道の高橋さんって羊バカが育てる、愛情を畜産で表現した羊に何とか2人分の愛情乗せて焼きたいなとか、僕の頭の中は素材と産地と生産者さんの自慢しかなく、彼らが届けてくれる素材を料理する喜び、感動をお客さんと共有したいという気持ちしかなくなりました。

そしてジラソーレの料理に欠かせない淡路島の樂久登窯さんの器との出会い。

樂久登窯の西村さんとも良く時間を忘れて数時間語り会います。それも僕にとって貴重で素敵な時間です。(明石の魚屋とも時間と次の日の仕事も忘れて長時間飲みますが)

彼の渾身の新作の器に初めて料理を盛る時、ちょっと一瞬時間が止まったんちゃうかと思う事があります。

一皿作り上げるのに、沢山の生産者からの言葉にならない情熱と工夫と苦労の詰まった素材が届き、ヒーヒー言いながら必死のパッチで作った料理を淡路島の風景を切り取った様な器に盛る。

その時のお皿の上の情報量は何時間話しても説明しきれません。

もし料理で伝わらないなら、言葉で伝わるはずがないのです。

めっちゃ体よくコラムを書かない理由をツラツラと書きましたが、事実です笑

ではご機嫌よう

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