2011年3月
自家製シリーズ パート1 パン編
ついに人類は月に足を下ろしました。今年の初めに、僕もスマートフォンを購入しました。
しかし、なんでちゃんとした説明書が無いんでしょうかね?ちょっと前まで只の持ちにくい携帯でした。
努力の甲斐あって、携帯で撮った写真をホームページに載せる裏技を発見しました。まだやり方の分からない方、ご来店時にこそっと声をかけてください。お教えします。
youtubeで、ナポリ風ミックスホルモンの煮込みで検索して頂くと動画もでます。しかしなんであんなに画像が悪いんでしょ?
てな訳で、今回の更新から写真付きでいきます。何回続くか賭けたりしないで下さい。
ちなみに、イタリアに4年半住んでいて、僕自身が撮った写真はフィルム一本分ない位です。 オッズの参考までに。
今回から自家製シリーズ?です。自分で作れるものは自分で作ってみる。ウチの店出身者には、世界中どこででも働けるようになりなさい、と言ってます。技術者の特権です。
場所と、環境が変われば当然食材も変わるし、手に入らない物もあります。あきらめずに解決する方法の1つが自家製です。
まずはパンから。
ただ今当店で焼いているパン4種類です。これ以外で突き出しのタラッリ、メニューによってはブリオッシュ、ピッツァ系も焼ます。
あと、玉ねぎのパニーノ、パニーノナポレターノ、ゴマパン、松の実とレーズンパン、玉ねぎとオリーヴのパン。。。
オープン当初から、惣菜パン的な物をずっと出してきまして、評判も良かったのですが、皆さんパンを食べすぎて料理が食べきれなくなる事が多く、止めました。
イタリア料理におけるパンは非常に重要です。料理やワイン同様、パンも地方ごとに特色があり、その地方のパン、料理、ワインと揃って初めて地方料理が成り立ちます。
ナポリ料理食べながらバゲットやクロワッサンは、合いません。しっかりした味付けの料理を食べ、しっかり焼き込んだかたく、モチモチしたパンを食べると口の中がニュートラルになり、また次の一口に手が伸びます。
パンを食べすぎるとお腹が一杯になりますが、パンが全くないのと、パンが適量あるのでは、パンを全く食べない方が料理もあまり食べれません。
あと、パンにオリーヴオイルやバターを付けるのもマナー的な事で無く本来の料理とパンを一緒に食べる美味しさを損ないます。
皆様、家庭のご飯のおかずで1番好きなおかずを思い描いて下さい。チンジャオロースーでも、生姜焼きでもすき焼きでもなんでも結構です。
その1番好きなオカズの日、ご飯が炊きこみご飯なのと、好みの炊き具合の白ご飯とどちらがいいですか?
もちろん好みの問題ですけど、僕は白ご飯の方がいいです。
パンも同じで、美味しい料理の汁(別鍋で作ったソースでなく、その料理の汁、煮汁、焼汁、焼脂をイタリア語でス―ゴと言います。)とパン。
至福です。
パンにオリーヴオイルやバターも美味しいですが、オカズとご飯を食べるように料理とパンを食べてみてください。
このパンはそのための、その美味しさに狙いを合わせたパンです。
オープン当初から定番のパーネナポレターノ。プレーンタイプとアニスシード入りがあります。アニスシードは苦手な方もたまにいますが、非常に個性的な美味しさがあり、またアニスは生地の発酵を助ける性質があるらしく、昔ながらのパン屋では、アニスを入れてる所が多いように思います。
当店のパンは、ヨーグルトで起こした100%自家製の自然発酵種です。当店を卒業するスタッフには暖簾分けの様にこの天然酵母を持たして、店創りの基本にしてねと言ってます。
どんな料理のアレンジをしようと、ワインが飲める、パンが欲しくなる。これだけは外したらアカンでーとも。
最近の新作かつ超お気に入り、アルタムーラ風プーリアパン。小麦でなくセモリナです。焼き立てで無く、1日熟成させてから皮目を炭火で焼いてお出ししています。セモリナはアルタムーラ産、酵母も自然発酵、足らないのは石窯だけです。
南イタリア料理をするのに欠かせないフリセッレ。元は船乗りが航海に持って出たカチカチに乾燥した保存性の高いパンです。しかもネズミ等に食べられないようロープに吊るして保存していました。その名残で、今でもロープが通せそうな穴あきパンです。
このままだと硬すぎて口が切れる程です。昔の船乗りは海水につけて、ふやかして食べていました。
いまでも、水につけて少し柔らかくしてからトマトを乗っけたり、そのままスープをかけたりします。
フリセッレの魅力は、水分を吸って柔らかくなった所の素朴な粉の美味しさと、その吸った水分の旨味、そして何より柔らかくなった所と、まだ固くカリッとしている所のコントラストです。
ケロッグに牛乳をかけて直ぐ食べると一体感が無いし、置いとき過ぎるとブヨブヨで気持ち悪いですよね?
カリッ、グニャが入り混じる所が美味しいと思うのですがフリセッレもそれに通じます。
料理と同じウエイトでパンに取り組んでいます。好きなのもありますが老後はパン等の粉モンで生計を立てたいと小さな夢を持っています。
と、こんな感じで第一回自家製自慢大会パン編を終わります。