2006年10月
前回は茄子のチョコレート風味をご紹介しましたが
前回は茄子のチョコレート風味をご紹介しましたが、今回はサングイナッチョの話を少し。
サングイナッチョとは、イタリア語のサングエ(血、血液)から来る物で主に豚の血液を使ったソーセージの事を指します。
ナポリでは、サングイナッチョと言うとカーニバルの頃に食べる濃厚なチョコレートクリーム の事ですが、こちらも伝統的には、チョコレートクリームの中に豚の血液を入れていました。なぜわざわざ血液を使っていたのでしょう?
それは、純粋に美味しくなるからだと思います。キリスト教(少なくとも旧約聖書では)動物の血液を口にしてはいけないとあります。(たしか) 実際、宗教が関係するかどうか別として一般的なイタリア人はお肉は、良く焼けていないと気持ち悪がります。(焼いた時に出る肉汁に血が混ざってると返品されます。)
僕は、この退廃的にも取れるサングイナッチョに憧れに近いものを感じていました。 話はそれますが、サングイナッチョと同じく20代前半に憧れていた料理に子豚の丸焼きがあります。サングイナッチョと子豚の丸焼きが並ぶと退廃的というより祝祭のイメージですね。
で、まあ今も難しいですが、当時豚の血やら子豚なんかは仕入れルートが無く入手が非常に困難で、イタリア修行を終えて店をする時は毎日が収穫祭見たいな事がしたかったので、仕入れルートを今の内自分で作ろうと イタリアに行く前、養豚場で3ヶ月ほど働きました。この話は今度ゆっくりします。 いざ実際ナポリに住みだしてもなかなかサングイナッチョに出合いませんでした。それで、新しいイタリア人の友達が出来るたびに僕がどれほどサングイナッチョに憧れていて、どうしても食べたいんだけどどこに行けばいいかを片っ端から聴きまくってたら 大体変人扱いされていましたが、やはり諦め無くてよかったです。
ある友達のおじいさんが毎年正月後くらいに自分が1年間育てた豚を〆て、生ハムやサラミなんかを作ると聴き無理やり頼んで参加させてもらいました。 朝6時くらいの早朝にその儀式は行われました。残念ながらサングイナッチョは作らなかったけど、昔は豚のノドを切って〆ていたこと(今は、ピストルみたいな機械)や、その時勢い良く噴出す豚の血をバットに受け、すぐさま塩、コショーしてオーヴンに入れて焼き スプーンで食べるとすごく旨いという話、また、その日豚を解体している間中、そこで飼っている犬が豚の血をずっと舐めているのを見て、なんだか本質に触れた気がしました。うまいんだと。
その後昼食にその豚の肺とレバーと端肉のピーマン煮込みを出してくれて、サイコーに美味しかった事を昨日のように覚えています。
只今ジラソーレでは、魚介類のサングイナッチョをご用意しています。海老、イカ、タコ、ホタテをイカ墨でマリネしてソーセージ用の豚腸に詰めソテーし、海老の味噌のソースを添えています。海老とイカ自体と、その内なる物で作ったソーセージはまさにサングイナッチョ。見た目も黒いソーセージです。